8発目
「ガキーン!」
鈍い音が鳴り響いた。
「な、何!」
想定外の出来事に思わず距離をとる怪人。
「…この私の!「スレイヤ」の刃で斬れないなんて!」
動揺が隠せない怪人、もといスレイヤははっ!としたように俺を睨み付ける。
「…大丈夫か?」
構わず大吾を立たせる。
「ち、千晶兄ちゃん!!」
状況が飲み込めない奴ここにも一人っ…と。
無理もない、なんせとっさの出来事だったもんで、ついつい普段の姿で飛び出してしまったからね。
「…大吾、お前はその男を守っておけ」
「えっ」
俺は一歩前に出て呟く。
「…変身」
目の前に巨大な黒いオーラの塊。おもむろにその中へ突き進む。
「き、貴様はベオウルフのメモリに映っていた!」
「千晶兄ちゃん…」
黒のメッキに赤と紫色で彩られた鎧を身にまとい。
「…遊びが過ぎたな、三下!!」
スレイヤを指差して決め台詞。
「そうですか、貴方があの御方のお気に入りですね。…貴方さえ居なければ…私が!!」
そう言うとスレイヤはまた自慢の駿足で駆け出す。
「…」
俺は手のひらを広げながら片手を差し出し、次の瞬間、
「ガキーン!」
三度、鈍い音が鳴り響いた。
「ば、馬鹿な!」
俺は差し出した片腕でスレイヤの剣ガッチリ掴み…その刃を握りつぶした。
「…お前はやりすぎたんだ」
「ばかな!バカな!馬鹿な!ばかな!馬鹿な!馬鹿な!」
剣はとスピードが奴の自信の全てだったのだろう。
その両方を意図も簡単に破られ、スレイヤは動転し始めた。
「…!」
無言でスレイヤを殴り飛ばし、斧槍「スマウグ」を取り出し構える。
「馬鹿な!馬鹿な!馬鹿な!馬鹿な!何故!何故!何故!何故!」
「…ファントムクロス」
「何故!何故ぁぁぁあああ!」
スレイヤの胴体は四分割にわれ爆発した。
「…千晶兄ちゃん」
気を失った武藤を寝かせ、大吾が俺を見つめる。
「…あのな、コレはその」
「…」
大吾が謎の怪人レーダーを俺に向ける。「極悪!極悪!」
聴いたことない声がレーダーから鳴る。
「千晶兄ちゃんは…何者なの?」
真剣な声がソルブレイバーのマスクから聞こえる。
「…さっきの怪人も兄ちゃんのこと知ってる風だった。」
…何故だろう、潮時って言葉が頭をよぎった。
話さなくてはいけないのだろう。
ブリューナクのこと、
ダムデストロイのこと、
…サイナードのことを、