4発目
ばびゅーん!
「俺もお人好しになったもんだ…」
「あ~!あ~!あ~!もう!」
この前の事件から一週間ほどたった。
今更ながら恥ずかしさに襲われ、一人部屋で悶えている今日この頃。
結局、銀行で金を下ろせずに恥を忍んでマスターに金を借りた。
頭を抱え足をバタバタしてるとタンスの角に足の小指がヒットした。
「…£%ゞ£!」
あまりの痛さに声にもならない、足をさすっていると、不意に新聞に目が行く。
正義の使者ソルブレイバーと悪の組織ブリューナクの闘いといった記事が大々的に書かれていた。
「ふむ…」
見出しだけ見てすぐにスーパーの広告を探す。終わったことより今日の特売品だ。
「…6時から卵か」
1パック8個入り89円、今夜は卵パーティーが開催するだろう。
そうこうしてるとバイトの時間だ。サクッと着替えて部屋を後にする。ちなみに俺の住んでるアパートはマスターがオーナーだったりする。
「おはよーございます!」
「おはー!高松君」
こうして今日1日が始まる。エプロンを着けていつものように開店準備を始める。開店した後は客が来ない間は掃除、やら店内冷蔵庫へドリンク補充やらだが、基本的にマスターとだべってるか本を読んでる。
マスターが言うには
「気軽な感じな店にしたいんだ♪」
…だ、そうだ。
チャリチャリン♪
来客を教えるベルがなる。
「こんちゃ~♪」
大吾がやけに上機嫌で入って来た。
「あれ?大吾君、学校はどしたの?」
マスターが大吾に尋ねる。…学生なんだな。
「今日は開校記念日なんだ~…あっ千晶兄ちゃんカフェオレね」
「あいよ」
ヒョイッと手際良くカフェオレを作ってやる。
「ふんふん♪」
「やけに機嫌が良いじゃないか」
大吾に話しかける。どうせ今日の朝刊でも読んだんだろう。
「いや~参ったね~」
あの時、最終的にどうなったかなんて実際のとこ俺しか知らない。
「いや~、でもいいのかな~?俺の手柄みたいで気分は良いんだけどな~」
嬉しさのあまり頭がどうかしてしまったのだろうか?それともあの時気がついていたのだろうか?
「先輩に悪いな~」
「先輩?」
「そう、先輩。サイナード先輩」
「!!」
大吾は語りだした。
ー閃光のサイナード
何年か前にこの近辺で活躍していた正義のヒーローで、その当時、全世界を脅威的な武力と恐怖で世界征服しようとした悪の組織に対し正義のヒーロー達が連合軍となり攻めかけた。サイナードは連合軍に参加する時、大吾に力を与え、街を任せたらしい。そして悪の組織こそ、ダムデストロイだった。
「きっとこの前のも先輩が助けてくれたに違いない」
大吾は一人頷く。
だが俺は知っている。ダムデストロイとヒーロー連合の戦いで組織は壊滅したがヒーロー側も何人も犠牲者が出ていたこ、サイナードも内の一人だってことも。
「…きっとその先輩とやらもお人好しなんだな」
俺は知っている、サイナードはもういないことを
あの日サイナードを殺ししたのは他でもない俺だから…。
あざーす(・ω・)/