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第四条 努力と未来、そして戦友

「...なんだあれは?」


と、立花小一郎中将は言った。中将は、岸田の出している物が権利ではないと分かった。


「どゆことっすか?」


と、功美は言う。彼女は権利だと思っている。


「とゆうか、あんな権利あるんすね、実体が現れて...みたいな」


「いや、ない」


その言葉を功美が聞き、きょとんとしている。

そう二人は話し合っている会話の裏でも戦いは続いている。


岸田が、ズンズン前へ進む。覚悟を決めた目だ。

莞爾も、前へガシガシ進む。嬉しさを秘めた目だ。


岸田と自分は「対等」、初めて対等な存在とまともに戦えると莞爾は嬉しさをかみ締めている。


「ここから本領発揮です!莞爾!」


「かかってきやがれ!岸田ァ!」


二人は激突した。岸田は日本国で攻撃。莞爾は拳で受け止めるという選択をした。


岸田の日本国は莞爾を攻める。連続で殴り続けている。


莞爾は、権利でそれを受け止め続ける。


2人は攻め続ける、攻撃が直撃することは無い。

...はずだった。


岸田の日本国が攻撃した後、莞爾はそれを受止めカウンターをかけようとした。が、次の瞬間


岸田の日本国が莞爾を攻撃すると同時に岸田も攻撃をしてきた。


莞爾は予測することが出来ず、岸田の右フックにぶち当たってしまった。


莞爾の権利は膨大な情報を詰め込むため、1人にしか権利を使用することが出来ないのだ。だから岸田の攻撃を予測し、避けることは出来なかったのだ。


「予測されて反撃されてしまうのなら、予測したとしても反撃出来ないようにすればいい。」


莞爾が受けたこのショックは莞爾の力を加速させる。


「いいぜ、やったるよ。別にできないことは無い。権利を拡大する。質は下がるが量は2人になる。」


岸田は、さらに追撃を重ねる。日本国を前に、たまに岸田がそれをカバーする。


莞爾は完全では無いが8割の攻撃を受け止めることが出来た。が、攻撃を返すことは出来ない。


莞爾は、自分で攻めることはあまりしなかった。いつも相手が勝手に疲れてそこを突くだけの単純な「作業」


だが岸田だとそうはいかない。だからこそ新鮮。そう思い莞爾は━━


莞爾は、思い切って立体的に空間を使うことにした。


莞爾は、一旦引く。が、岸田が逃さない。


岸田の攻撃が来る。そこを突いた。攻撃をするということは必ずしも隙が生まれる。


権利を使いそこを見た莞爾は、完全に隙を作るため岸田に攻め入る!


岸田は驚くが、怯まない。莞爾は予想通りだ。


岸田が日本国と共に攻撃する。莞爾は、しめた。


莞爾は、攻撃が当たる瞬間地面を蹴り上げた。舞う土ぼこり。まさに一瞬の出来事。蹴り上げた瞬間岸田の背後に頭を越えて飛び、逆さの状態で岸田の顔面を吹っ飛ばすことに成功。


岸田は、倒れ込んだ。莞爾は、持ち前の運動神経で何とか怪我せず立ち上がれた。


「なんとか行けた。臨機応変って意外とムズいんだな」


そう莞爾が吐いた。岸田が立つ。


「莞爾にも出来ないことがあったんですね。」


そう煽る岸田。未だ2人はバチバチだ。


岸田の体制が変わる。莞爾は予測した。今度は岸田が前で日本国が後ろであると。


「あくまで自分の腕でやろうってことか!」


そう唸ると、再び激突。


岸田は、アドレナリンがとても出ている。痛みを感じていない。


莞爾も同様。


岸田が、攻撃を仕掛ける。莞爾は読み解く。岸田が下からの攻撃と日本国は、上からの攻撃をすると、


ならば最善の手は……伏せる!


すぐさま下にしゃがみ体を丸め込む。これは避ける...ということは出来ず、攻撃を最低限に防ぐというやり方だ。


岸田は、なるほどと思った。だが、岸田も頭脳戦では負けていなかった。


岸田は下からのアッパー。当たっていたら脳震盪は免れなかった。だが莞爾には当たらなかった。


だが岸田は見切っていた。避けることを。あろうことか岸田はアッパーで飛んだ状態で日本国に殴られた。


自爆かに思われたが、そうじゃあなかった。軌道を変更したのだ。上から下へ!


このままでは1秒も立たないうちに岸田の攻撃が莞爾の頭へと届いてしまう。思考を巡らせる莞爾。だがもう時間が無い。


このまま体制を崩す?いや致命傷は免れない。というかこの短さで何とかできる方がおかしい。もはやこのまま俺は終わってしまうのか……?と、莞爾は思いを巡らせた。


岸田の攻撃が当たる━━━━━━━━


負けてたまるかよ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


俺の家系は名家だったらしい。

まぁ、戦争だの、権力だの、いざこざがあって、剥奪されたらしいけどな。俺が戦う理由なんてない。ただ


勝ちたい。 1番になりたい。


それだけが俺が戦う意味だ。

だからここで負けてたまるかよ、1度たりとも負けたことない。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


岸田は、攻撃を当てたと確信した。莞爾の軍帽に当たった瞬間、拳が軍帽にツルッと滑った。


まさに奇跡...数ある可能性から当てた。外れを


岸田は、そのまま体が莞爾とぶつかった。


両者にダメージがいった。


「あれは、なんすか?」


と、功美が思う。功美は権利の範疇だとしたら少しおかしいような気がすると感じた。ただの事故...という訳でもない。


「あの体制なら必ず攻撃が入ったはずっすよね」


確かにそうだ、あれなら当たる。だが必ずともとは言いきれない。当たる可能性の方が抜群に高いだけなのだ。今回はハズレを引いたという訳だ。


「おもしろすぎる!二人とも!、今回は莞爾!」


と、莞爾を名指しする。

そしてあのことについて話し出す。


「お前、窮地で「恩恵」を発動させたな?」


莞爾には、分からなかった。莞爾もただ、運が良かっただけだと思った。岸田はおかしいと感じた。入らないはずがないと思っていた。


「お前の権利は膨大なパターンを予測し最善を選ぶ。」


「多分お前の恩恵は、相手の攻撃自体を選択できる。まぁかなり膨大、複雑な上限があるかもな。」


恩恵。それは権利の最高潮。莞爾は少しずつだが、着々と進んでいる。


「岸田、何が起こったか俺もわからん。だが、負けるチャンスはもう消えた。勝ちに行かせてもらう。」


莞爾は、調子に乗るかと思いきや更に警戒心を高めた。莞爾は、確実に歩む。


岸田は、立ち上がる。


莞爾は、額と腕や脚に、内出血や出血をしている。


岸田は、白シャツはところどころ赤く染まり、唇から血が出たり、顔に血がついている。


二人はボロボロだが、覚悟は同じ。


恐らくこの一撃で全てが決まる。莞爾は走り出す。

岸田は歩く。足への負傷は岸田の方が大きい。

それは莞爾に倒された時の負傷。

莞爾は、腕。散々岸田と日本国の攻撃を受け止めていたからだ。


2人一斉に、攻撃を当てる。


入ったのは━━━━━━━━━━━━━━━




莞爾。頬に1発をぶちかませた。岸田の日本国が消える。完全に勝ちだ!莞爾は口角をあげる。その時


黒く白い閃光が迸った。それは莞爾を襲った。それと同時に


岸田は


「国政ッッ!!!!!」


その瞬間あたりは光で見えなくなった。黒い輪郭の白い閃光。


国政は、権威と身体的強さに依存する技。それは権威をそのまま相手にぶつける技だ。タイミングが非常にシビアで、権利を使用してない状態で、相手を殴ったその瞬間に自分の権威をぶつける。それを同時に行うのだ。正確には1.993×10^(-23)秒の誤差内でだ。


莞爾は、その攻撃で意識を失った。

つまりそれは岸田の勝利を意味する。


「莞爾、私は勝ちました。貴方に。」


「ただの天才じゃあ、私には勝てないということを証明することが出来ました。」


そういい岸田は、その場に倒れこむ。


すぐさま功美と小一郎中将は駆け寄る。そして小一郎中将は2人を担ぎ病室にぶち込んだ。


━━━━━━━━━━あれから日を越え


莞爾は、目覚める。


「あれから何があったんだ...」


「……なんで俺は勝てなかったんだ?」


莞爾は自分が負けたことに強くショックを受けている。岸田の予告通り「挫折」を味合わせたのだ。


「岸田...お前は絶対に俺が倒す。越えてやるよ。」


一方その頃岸田は。


「うむむ……、ここは?また病室?」


また死んだのかと不安になった岸田だが、年が変わってないことを知り、安堵した。


「たしか莞爾に、勝ってそのまま倒れた……。」


岸田は、ゾッとした、このまま莞爾に会ったら殺されてしまうと。


「弱気になってはいけない。友情を培っていかなければ。」


そう思って外を出ようと布団をめくった瞬間。


ガチャリ


「わっ、岸田!?、起きたの?」


可憐な声……功美が来た。どうやら莞爾の方へ朝食を届けた所で私にも届けに来たみたいだ。


「ありがとうございます和田さん。」


「ちょ岸田!、功美でいいって言ってるでしょ!」


と、突っ込まれる岸田。フレンドリーな女性だと岸田は思った。


「功美さん、あれからどうなったんですか?」


そしたら功美が話し始める。


「あれからね、大変というか面白かったよ。


岸田がさ腕ぇーって言いながら中将に担がれてたよ


それと莞爾もね、負け……?って言いながら担がれてた!


二人ともおもろいね、でもそれ以上に勝負に一生懸命だったね。いいなぁー私も戦いたくなっちゃった。」


戦う……そうだった。功美さんはこれでも陸軍の一員であった。そのことをすっかり忘れていた岸田であった。


朝食を終え、莞爾の所へ歩む。ドアを開けたら彼は居た。


「よう岸田。」


「おはようございます。莞爾。」


2人は戦いを超え、戦友となった………………?


「すごくバチバチ」


傍から見ていた功美は、2人の間にとてつもない何かが生まれているように感じた。それは、友情か、はたまた敵意か。果たしてどちらなのか……?

次回 「それを世界は戦争って言うんだぜ」

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