第二条 110年の成長
この世の誰もが「死」について、考えるだろう。「死」とは幸福か?はたまた絶望か?それとも・・・
何が言いたいかっていうと、前世と来世の話。
前世は何していたか、誰も分からない。
来世は何がしたいか、望みたい。その程度
実際何になるか、何であったかは、誰も予想がつかない。
何が来ようと、受け入れなければならない運命なのだ。
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辺りを見回した私は、あることに気づく。
そこには一人の男がたっていた。
「やっと目が覚めたか」
その男は「大きかった」、身長はざっと190はある。とてつもない広さの肩幅、自衛隊のような迷彩柄の重厚な服装。頭には帽子をかぶっている。目付きが鋭く少し背筋が凍てついた。
それよりも、なぜそのような格好をしている者が、ここにいるのか?。私は疑問に思った、それが態度に出たのかその男は、
「どうした?、まだ具合が悪いか?」
と、問いかけてきた。
慌てて私は
「大丈夫です。」
と返した。そして状況を理解するために
「ところであなたは誰なんですか?」
そう問いかけた瞬間、男は笑った。
「アッハァハァハァ! ついに記憶喪失まで来たか。
ふざけるな、記憶喪失でもこの立花小一郎中将の名を忘れるでないッ!!」
怒涛の声に、私は驚きが隠せなかった。
というか私はなぜ怒られなければならないのか?
そして立花小一郎という名前・・・どこかで、
状況整理のため、一度出ていってもらおう。
「立花中将、少し席を外してもらっても
「岸田~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!」
とやけに高い声で私の名前を呼ばれた。
女性の声?聞いたことがない声だ。雄子さんではないか、、?
ちなみに雄子さんは私のかみさん、自慢できるほどの別嬪さんだ。
ガロォォォォォン!
「大丈夫!?」
とてつもない扉が開く音を出し、彼女が現れた。
なんということだろう、えらく美しい。
金髪の長い髪は、人を引き寄せる魅力を感じる。肩幅が狭く華奢な感じを連想させるが、いちいち目につく物があるが、これは触れておくのはやめておこう・・・
身長は女性の平均より少し高いぐらいか、私より少し小さい。
彼女も軍の方なのか?
「あなたも、軍のお方ですか?」
と、聞いてみることにした。
そしたら彼女は目を点にして、
「何言ってんの?私も岸田もそしてこのアホ中将も同じ軍の人よ?」
と言われ、
とっさに
「いや、当たり前だろみたいな顔されても」
と言いたくなる。というか言ってた。
そしたら立花中将が、
「アホ中将とはなんだ、立花小一郎中将だ。馬鹿野郎が」バシッ
と、彼女を叩く
それもそのはず相手は、言わば上司なのだから、
「いてッ」
彼女が苦笑をした。未だに状況がわからない。
そしたら立花中将が、
「どうやら、すこし状況を理解していないようだ。しばらく一人にさせてみないか?or「どうやら、すこし状況を理解できていないようだ。しばらく一人にさせてみないか?or「どうやら、すこし状況が理解できないようだ。しばらく一人にさせてみないか?
和田・・・なんだっけ」
「功美!和田功美ですっ!やっぱりアホじゃないっすか!」
と、また中将をアホといった。
ん?私は何かに気づいた。
「それではゆっくりしておけ、それと午後3時00分から来客があるぞ」
来客?恐怖が襲い掛かってきた。
私にとって、リケチュ選手との戦いはトラウマなのだ。
私は、中将に軽い会釈を交わして、じっくり考えてみた。
まずは、リケチュ選手について、
私とは接点がない。私を殺すような動機はない。依頼されたとか言っていたな、トルコに対して失礼なことを?いやそんなはずはない
なぜなら私は「総理」総理を殺せるのは、実質「失うものがない」もしくは「愉快犯」に絞られる。いや、もう一つあるが、あまり現実的ではない。それは、
岸田首相を殺すことで「何か」ができるようになるのでは?
私が何かキーを握っている。そう考えた。
ん?そもそもの話。体がすごく元気で気づかなかったが、なんで私は無傷で生きているんだ?
あのとき、体を確かに撃ち抜かれたはず。と考え、体中をくまなく調べてみた。
衝撃の事実が発覚した。
「体にしわがない、、、」
私は、世間一般的に見たらご老体。しかしご老体と呼べる根拠が完全に消えているのだ。若返った?
思考を張り巡らせ、一つの結論にたどり着いた。
「この「肉体」は、私のものではない?」
服装や視力、髪の長さ、体の感覚。何もかも撃たれる前の体と完全に同じだ。ただ、
異和感。
それが私の心の中にあった。直感だ。気のせいだと言う奴らもおると思うが、
直感それは、物事に対する意識の、8割の要素を含む。一度植えた意識は決して「抜く」ことはできない。
私はSNSなどで見かけたことがある。これは、「転生」というものだ。
無理やり理解しようとした。なんとか脳がこの状況に一枚かんでくれたようだった。
転生することをリケチュ選手が知っていたかどうかはさておき、この今の立場について、
私は、どうやら軍の一員らしい。中将よりも下の身分あの和田さんと同期のようだ。
そうそれと和田さんについて、雄子さんに似ている。
外見は全く似ていないが、なんだか彼女と雄子さんに共通点があるように感じる。
ただの、気のせいではないような・・・まぁ、今はいいだろう。
一番大事なのは、時間だ。
カレンダーがある。
1914年 7月 21日!?!?!?!?!?
1914年!?1914年といえば、110年前だ! そんな過去に私はきたのか?
そして1914年の出来事、みんなからは2回目のほうが有名だろうが、わたしは、覚えている。
「第一次世界大戦だ、それも一週間前」
私は確定した運命からは、逃れられないのか?
・・・いや、私は総理だ。国民の未来を守るため、戦い抜くしかない。私はやるぞ。と、私は喝を入れた。それと同時に事の深刻さに気付いた。
「もう3時12分じゃないですか!?」
少なくとも、3時集合といったのは、3時5分ほど・・・。ー5分前行動?
悠長としていられない急いで外に出ることにした。
そうしたら、あるものが目に映った。人型のようだけど、浮いている?
白タイツのような格好にすらっとした体、少し線が入っている筋肉。顔には赤丸が入っていて、日本の国旗みたいなデザインの人が立っていた。
「あなたは誰です?」
と、問いかけても返事は返してはくれなかった。
喋れないのか?そう思いながら、今は無視することにした。
だが、それは確実に背後に着いてきている。
背後に警戒しながら外へ向かう。
外へ向かい、広々としているが、整備され草ひとつも生えてない地面に、大人数が綺麗に並んで立っていた。
その姿は今の自衛隊と何ら遜色も無かった。そして、中将が私を見つけ、
「20分の遅刻だ、岸田。で、24万人いるから、480万回腕立てだ。」
と、1914年らしい屁理屈を言い出された。
流石にやったら心身がボロボロになって、今度こそ死にそうだ。と、どう切り抜けようか考えていたら、
「岸田、大丈夫だった??」
とさっきの女性が話に割り込んできた。陸軍所属なのに非常識なのか?。
「大丈夫ですよ。」
とりあえず返しておいた。
立花中将の反応が少し怖かったが、意外にも反応はなかった。少しホッとした。
「今日は予告していた通り、我が軍を見学したい奴らが来る!」
私の本当の肉体の持ち主なら、知っているだろう。が、私は知らない。一体誰が来るんだ?
と、考えているとそれは来た。
「ここが陸軍大学校?」
青少年らしい中性的な声に年下と思えない身長の高さ。帽子の左右からはみ出る髪と整った輪郭で、とてつもない美青年に見える。それに意外と体も鍛えられている。
なかなか強い…、と感じてしまった。
「そうだ自己紹介を頼む。」
中将がそういうと、自信満々に話し始めた
態度が少し悪いような気もする。
「俺は、陸軍歩兵中尉、石原莞爾です。」
石原莞爾。名前だけ聞いたことがある、歴史の人物はさほど覚えていない。
彼の第一印象は、生真面目。悪い人ではなさそう、と感じた。
「石原莞爾は、頭の切れる次世代の希望と呼ばれている。だから陸軍大学校に見学しに来た。」
私の目に狂いはなかった。
彼はやはり、光るものがある。敵に回したら厄介な何かが
「俺がここに来たのは、他でもないです。」
ただ見学に来たわけじゃない?と思っていると
彼に興味が湧いてきた。
「それでは、何しに来たんです?」
私が答えた。少しの沈黙の後、風が吹いた。
そして被せて彼が喋る。
「お前みたいな、中途半端なやつを叩きに来たんだ。」
突然何を言い出すかと思いきや…
とはいえ、彼の目はどうやら本気だ。彼と戦って勝てるかどうか、そう考えると中将が
「元気なのはいいが、まずは戦いの基礎を学ばないとな」
と言い、何とか仲介した。一時的だが、
当たり前のことだが、私は戦闘をしたことがない。ここで完璧にマスターしなければ命に関わる。
「俺はもう知ってますよ。常識です。」
と言った。この世界の当たり前を私は知らないのだよ。と言いたくなったが、中将が代弁してくれた。
「ここにいる岸田は、記憶喪失気味で基礎が抜けてるんだ。復習も兼ねて、やるんだ。いいな?」
良い奴がすぎますよ、中将…。バカは余計ですが。
しっかり学んで、石原さんの攻撃で致命傷を避けなければ、、
授業開始
まず最初に、この世界はやっぱりおかしい。異世界転生などでよくある、超能力の概念があるらしい。正確な名称と説明をしていこうと思う。
中将が言うには能力の強さを表す、「権威」というものがある。その権威の強さで能力の強さが決まるらしい。
次に「権利」 これは=能力と思って欲しい。個人が持つ権利は基本ひとつだが、極稀にふたつある人もいるだとか。個々の持つ権利は多種多様。自分の性格に依存するようだが、実際あまり分かっていないらしい。権利を持たないものもいるが、基本持っていると考えた方がいい。
次に「恩恵」 権利を極め権威も最大級にまで成長したら得られることの出来る能力。いわゆる必殺技と言うやつだ。私らみたいな半端者はまだまだ遠い道らしい。石原さんも怒っていたな…。
最後に「国政」 これは、権威の強さと個々の身体的強さに依存する。実戦で出した方がわかりやすい。
と説明が終わって、いよいよバトルが開始する。
私はふと
「110年の間に人類は退化したのか?」
と思った。現実ではありえないこの状況にひたすら困惑の思考を出す。
「逆に110年でここまで成長するんだな日本は」
と、人類の退化と文化の進化を身をもって感じた。
それと、今まで気づかなかったが、私の病室の近くにいた白い人が、目の前にいる。少し邪魔だなと思いながら戦いを始める。
「石原さん準備はいいですか?」
そう呼びかけると、
「石原さんじゃねぇ、莞爾と呼べ」
親近感が欲しいらしい。
あくまで私をライバルと思っている。
「2人とも準備は良さそうだ。倒れるまで辞めないぞ。」
緊張で口が閉じる、目が開く、体が固まる。
私ならやり切れる!そう自分に根入れする。
「用意、はじめぃ!」
と、静かだった風景に火蓋が切られ、荒れていく
岸田文裕=東条英機です。
次回 「ただの恵まれた天才」