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1:『悪役令嬢不在【200字】』

学園の卒業パーティーの真っ只中。


「私はここに、婚約の破棄を宣言する」


会場全体に聞こえる大きな声の主は某伯爵家二男。

その傍らには、しなだれかかる男爵令嬢。


「個人情報保護の観点から、婚約者だった者の名は伏せることとする」


そう前置きした上で、二男は元婚約者の悪逆無道な行いを次々に暴露していく。

男爵令嬢は目にうっすら涙を浮かべ、時折体を震わせている。

言い終えた二男は男爵令嬢の腰を抱き、会場を去っていった。


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