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対話体小説 小話集  作者: 藤原 てるてる
16/32

十六話  アパートにキラキラ姉御が、紫のストールをまとってやって来た

東京西部は川のある町、築40年弱の日当りの悪い部屋にである。

私がゴールデンタイムに、いつものネットサーフィンをしていたとき。

海でのモテモテサーファーと違って、独身男大好きマル秘ネット遊びを。

ちょうど、その時、佳境を迎えている最中であった。寸前に邪魔が入る。

トントン、トン……トントントン……


私 「はいっ、どちら様で、何か……」

姉御「すみません、こんな時間に、あのー、藤原てるてるさんですよね」

  「いつもブログ拝見しています。小説読みましたわ、一気にファンに」

  「それで、今度は私の事も書いて頂きたくて、突然やって来ました」

私 「いきなりですな、いくら私のファンでも、時間が時間でしょう」

  「明日にしませんか、今日はもう遅い。イチャイチャ時間ですぞ」

姉御「私の方は、それで結構です。夫には内緒で名古屋から来たのです」

  「明日の昼前までには帰らないとなのです、でないとバレるので」

私 「あなた、お子さんは? 旦那さんとうまくいってられると、お見受け」

姉御「ええ、夫とは週末デートを楽しんでいます。子供はまだですけど」

私 「あなたは、何かされているのですか? その前に、どうしてここが」

姉御「藤原さんのやっている姉ブログと妹ブログ、全部読みましたわ」

  「住所や職業に繋がるのがありました。それと本名がわかるのもあった」

  「めずらしい本名ね。表札出てるからわかった。ああ、私は元スタイリスト」

  「今は、ブログで集客をやっています。あなた、私に良く訪問、知ってるわ」

私 「そんなにファンなのですか、ではファン一号になります。うれしい」

  「ささっ、立ち話もなんです、汚い所ですが、どうぞ、中へ……」


昔流に言えば、据え膳食わぬは男の恥である。ご馳走を前にして何とする。

私は食べ放題に目がない。一番好きなのはステーキである。めったにないが。

この女の方は、着痩せしているのであろうか、実はモチモチかも知れん。好物か。


私 「では、旦那さんには、くれぐれもバレない様に出来ますかな、うまくね」

姉御「大丈夫、ええ大丈夫、私の愛ある毒舌で巻く。一回位はわからないわ」

  「ねえ、私、あなたと? どう? 気に入ったのなら好きにしていいのよ」

  「あなたのものになりたい。私との波長の繋がりを感じます。会いたかった」

私 「うん、心持ちは良くわかりました。でも、旦那さんに悪くて、ちと、どうか」

  「やはり、よした方がと。こうしましょう、私は台所で寝ますので、いいです」

  「この布団で、お一人でどうぞ、イカ臭さもありますが独身ゆえです、さあ」

姉御「そうですか、残念ですわ、ではこうします。このイカ布団だけで満足と」

私 「ええ、そうしてください、夢の中でガチンコしましょう。もう、寝ます」

姉御「わかったわ、思いっ切りね。待ってるわ、おやすみなさい……」



翌朝、彼女は綺麗なまま名古屋へと帰って行った。一時の間違いをするではなく。

あの方はそれでいい。旦那さんが大好きなのが良くわかった。綺麗でいてください。

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