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対話体小説 小話集  作者: 藤原 てるてる
15/32

十五話  キラキラ熟女と、深夜の無料セミナー    後編

あのキラキラ熟女に憑りつかれたのだろうか、夢の中では、たびたびと会った。

もう、こうなったからには私の方こそ憑り付きたい、ガチンコ魂で喰らいつく。

抱き観音に、抱いて抱かれて共に極楽沼に浸かろうか、これ男の本懐ではないか。

ただのキラキラ熟女ではない、男を狂わせる何か、とっておきの媚薬のような女。


私は、お約束の小説を一気に書き上げた。また、深夜の無料セミナーに行く。

二人きりの密室での個人レクチャー、怪しいコーヒー、布団まである。

例のコーヒーを飲んでからウテウテになった。媚薬入りに違いない・・・・


私  「また来ました。どうしても会いたくて、我慢するのに苦労しました」

   「小説完成したので見てください。コーチも出て来るので、どうぞ」

コーチ「もう、書いて来たのですか、こっちも早いのね。どんなのかしら?」

私  「申し遅れましたが、私、藤原てるてると言うペンネームでやっています」

   「この処女作は、『江戸情話 てる吉の女観音道』でして、時代物です」

   「艶物にかなりと近いのですが、よくよく読むと女性を救う物語を」

コーチ「色物を書いたのね、女好きって顔にも書いてあるわ。その観音道って?」

私  「はい、江戸は幕末のころ、越後から出て来たサカリ男が、ある願掛けを」

   「女百人斬りの修行の中で、目覚めて行くのです。観音様を救うと言う」

コーチ「じゃ、女性を百人も描き分けたの、私との約束、私って、どんなかしら」

   「エッチすぎにしてないわよね。この前は、あなたがあんな事するんだもん」

   「まあ、いいでしょう。女は心も体も海の様に深いのです。男は溺れます」

   「ねえ、自分のコードネームのこの、ワルサー5、25って何なの?」

私  「これはですね、ドイツの拳銃に模した男性自身の事です。第二ペンネーム」

   「すぐピントと来ますよね。センチではなくてインチです。お恥ずかしい」

コーチ「まっ、あなたって、どこまでも正直なの。もうちょっと足せばいいのに」

   「繊細さん。あなた、そうよ。生き辛さがあるから、書かずにはいられない」

   「いいこと教えるわ。自分ではない人の想いまで、自分の想いにしている」

   「人の波動を受け過ぎているのよ。これ好きこれ嫌い、と自分の心に尋ねて」

   「良く聞いて、負の感情から自分を解き放つのよ。心地良い感覚を大切にね」

私  「ではまた、あのコーヒーお願いします。媚薬入りみたいな、あれ効いた」

コーチ「ああ、あれ、あれはね私のエキスが入ってるの、惚れ薬みたいなもんね」

私  「えっ、コーチのが? それって最高じゃないですか、どおりで空っぽに」

   「また、心の中も空っぽにしてください。全部、ほんとに全部たのみます」

コーチ「私の方こそ、若返りの妙薬お願いね。あのコーヒー持って来るわ・・・・」



私は、コーヒーをがぶ飲みしたのかもしれない、そこの所の記憶が飛んでいる。

強烈な愛のセミナーが過ぎ、そっと部屋を後にした。可愛い寝顔をしてた・・・・

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