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対話体小説 小話集  作者: 藤原 てるてる
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十三話  孔子の教え、六十にて耳したがう(耳順)

子のたまう、六十ともなれば人の言葉に素直に耳を傾ける事が出来る。

かたや馬齢を重ねること六十前、来年は「耳順」の年を向かえる事に。

こちとらは耳かきにハマっている次第、教えにはほど遠き歩みをとぼとぼと。

これではいかん。還暦前の貴重な一年になる。さて、どうしたものか。


諸子百家の筆頭格であられる孔子様ご本人に説教してもらおう、それが良い。

さて、誰に化けてご対面いたそうか、この際は老子に化けようか。

いやいや恐れ多い、老人になれても老子の役なんて無理、どうしたものか。

ああ、そうだ孔子様には時代を越えて清朝末期にご登場願おう。客人になろう。


ところは上海の魔窟、黄昏時の阿片窟ではチーパオ娘が来い来いをしとる。

柳腰グーニャンが好きな私は、女と煙を吸いに中へと消えた・・・・


女主「ねえ アンタ 煙先か 女先か どっちアルネ?」

私 「右手にはキセル 左手にはオンナでいいアルヨ 戸口いた娘にするアル」

女主「同時進行てことネ わかったアル 無茶しちゃダメダメヨ」

私 「煙で力ぬけるアル 娘の好きにさせるアル 大丈夫アル」


この阿片窟で同時進行とはツウのやること、煙は後のほうがいいのだが・・・・


私 「おやおや腰細いアルネ 煙やり過ぎネ オレの好みアル かわいいアル」

姑娘「煙 アナタ煙吸うそれイイ ワタシ横になる左手だけヨ」

私 「そう同時アル グーニャン寝ちゃだめアル 起きてるアル」

姑娘「ダメ寝るアル 毎日くたくたネ 阿片やる疲れ取れるアル おやすみネ」


お楽しみの前に寝てしまった。しばししたら寝言を言い出した。はっとした・・・・


姑娘(すけべ男や、よわい六十前にして若猿なみ、回春を求めるは良し、だがな)

  (そちは幻を抱こうとしておる、一時の悦に負け、煙に巻かれ煙となるぞよ)

  (虚ではなくして実を取るのじゃ、ここには来ぬがよい、ようわかっかや)

  (仁の道を歩め、論語を読むがよかろう、ワシの教えが書いてある、ええな)


私は娘のような孔子様、いや孔子様のような娘に頭を叩かれた思いだった。

そうだ、その通りだ、もう阿片窟には来まい。煙なしの真面目淫窟だけにしよう。

教えに素直に耳を傾けよう、「耳順」の意味がようやくわかり出して来た。

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