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対話体小説 小話集  作者: 藤原 てるてる
13/32

十三話  孔子の教え、六十にして耳したがう(耳順)

子のたまわく、六十ともなれば人の言葉に素直に耳を傾ける事が出来る。

かたや馬齢を重ねること六十前、来年は「耳順」の年を向かえる事に。

こちとらは耳かきにハマっている次第、教えにはほど遠き歩みをとぼとぼと。

これではいかん。還暦前の貴重な一年になる。さて、どうしたものか。


諸子百家の筆頭格であられる孔子様ご本人に説教してもらおう、それが良い。

さて、誰に化けてご対面いたそうか、この際は老子に化けようか。

いやいや恐れ多い、老人になれても老子の役なんて無理、どうしたものか。

ああ、そうだ孔子様には時代を超えて清朝末期にご登場願おう。客人になろう。


ところは上海の魔窟、黄昏時の阿片窟ではチーパオ娘が来い来いをしとる。

柳腰グーニャンが好きな私は、女と煙を吸いに中へと消えた・・・・


女主「ねえ アンタ 煙先か 女先か どっちアルネ?」

客人「右手にはキセル 左手にはオンナでいいアルヨ 戸口いた娘にするアル」

女主「同時進行てことネ わかったアル 無茶しちゃダメダメヨ」

客人「煙で力ぬけるアル 娘の好きにさせるアル 大丈夫アル」


この阿片窟で同時進行とはツウのやること、煙は後のほうがいいのだが・・・・


客人「おやおや腰細いアルネ 煙やり過ぎネ オレの好みアル かわいいアル」

姑娘「煙 アナタ煙吸うそれイイ ワタシ横になる左手だけヨ」

客人「そう同時アル グーニャン寝ちゃだめアル 起きてるアル」

姑娘「ダメ寝るアル 毎日くたくたネ 阿片やる疲れ取れるアル おやすみネ」


お楽しみの前に寝てしまった。しばししたら寝言を言い出した。はっとした・・・・


姑娘(すけべ男や、よわい六十前にして若猿なみ、回春を求めるは良し、だがな)

  (そちは幻を抱こうとしておる、一時の悦に負け、煙に巻かれ本当の煙となる)

  (虚ではなくして実を取るのじゃ、ここには来ぬがよい、ようわかったかや)

  (仁の道を歩め、論語を読むがよかろう、ワシの教えが書いてある、ええな)


私は娘のような孔子様、いや孔子様のような娘に頭を叩かれた思いだった。

そうだ、その通りだ、もう阿片窟には来まい。煙なしの真面目淫窟だけにしよう。

教えに素直に耳を傾けよう、「耳順」の意味がようやくわかり出して来た。

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