ゲリマンダー
高校時代のクラスメート、古河優子(ふるかわゆうこ)の訃報を受け取った進藤雅弘(しんどうまさひろ)は、実感が湧かない。
進藤と優子はご近所さん同士なのに、学区の「腸ねん転」のせいで、別々の中学校に、すれ違って通っていた。進藤の登校姿を、優子は見ていた。進藤は気付かなかった。見られていたと知るのは、高校二年で優子と初めて同じクラスになってからだ。
優子との関係進展に進藤は胸を高鳴らせるのだが、邪魔が入ってうまくいかない。優子の本当の思いを聴かされるのは、彼女の訃報が届いた後のことだ。
少女時代の優子のささやかな、祈りのようないたずらを進藤が受け止められなかったのは、進藤の狭隘で軟弱な自尊心と保身とに起因する。進藤は、決して手放してはならない大切なものを、深くて暗い海の底のような場所に置いてけぼりにしてしまっていた。
【筆者は8月9~30日の間、威力業務妨害の容疑で警察に身柄を勾留されていました。その間の連載更新(投稿)は、事前の「予約」によるものです。】
進藤と優子はご近所さん同士なのに、学区の「腸ねん転」のせいで、別々の中学校に、すれ違って通っていた。進藤の登校姿を、優子は見ていた。進藤は気付かなかった。見られていたと知るのは、高校二年で優子と初めて同じクラスになってからだ。
優子との関係進展に進藤は胸を高鳴らせるのだが、邪魔が入ってうまくいかない。優子の本当の思いを聴かされるのは、彼女の訃報が届いた後のことだ。
少女時代の優子のささやかな、祈りのようないたずらを進藤が受け止められなかったのは、進藤の狭隘で軟弱な自尊心と保身とに起因する。進藤は、決して手放してはならない大切なものを、深くて暗い海の底のような場所に置いてけぼりにしてしまっていた。
【筆者は8月9~30日の間、威力業務妨害の容疑で警察に身柄を勾留されていました。その間の連載更新(投稿)は、事前の「予約」によるものです。】
壱 黒い縁取りがありました
2023/08/17 00:00
弐の1 あれは十七歳になる初秋のことです
2023/08/17 01:00
弐の2 学校の授業で教わったじゃないですか
2023/08/18 00:00
弐の3 母と娘のやり取りに圧倒されました
2023/08/19 00:00
弐の4 いつもより早く二人きりになれたのですが
2023/08/20 00:00
弐の5 格好悪い男を演じたくなかったのです
2023/08/21 00:00
参の1 なぜ彼女はそこにいないのでしょう
2023/08/22 00:00
(改)
参の2 大きなハンマーで頭を殴られた思いです
2023/08/23 00:00
参の3 涙をこぼしたのはきみだけではありません
2023/08/24 00:00
参の4 愛の言葉さえ忘れていました
2023/08/25 00:00
(改)