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第1話

   

 電車のプラットホームは、二つのタイプに大別できるという。対向式ホームと島式ホームだ。

 対向式ホームは文字通り向かい合っているホームであり、上りと下りの二本の線路を、二つのホームで挟んでいる形式。島式ホームの場合は逆に、ホームの方が二本の線路に挟まれている。

 都会に住んでいた頃、これらの違いを、私はあまり意識していなかった。そもそも対向式ホームは「文字通り向かい合っている」から良いとしても、島式ホームは「線路に挟まれている」だけなので、それほど「島」っぽく感じていなかったからだ。

 しかし、こうして田舎に引っ越してみると、その辺の事情も変わってくる。

 ここは都会みたいな複線区間ではなく単線区間であり、線路は基本的に一本。ホームの手前でY字状に分岐して二本になり、ホームを過ぎれば再び一本に戻る。つまり、単線の島式ホームは線路にぐるりと囲まれた格好であり、まさに「島」という雰囲気になるのだった。


 そんな七面倒くさい理屈とは別に、最近の私は、ただ単純に「島式ホームは心地よい」と思うようにもなっていた。

 対向式ホームでベンチに座って電車を待つ場合、まず視界に入るのは反対側のホームだろう。人工的なプラットホームによって、のどかな田舎の景色が遮られるのだ。

 一方、島式ホームならば「反対側のホーム」という無粋な障害物は存在しない。特に今みたいに、駅舎や駅前広場に背を向ける格好で座っていれば、目の前に広がるのは土の茶色と田畑の緑のみ。視界の下側にチラリと線路は見えているものの、その程度ならばちょっとした隠し味。まるで自分自身が雄大な自然に溶け込んでいるかのように、のんびりした気分になれるのだった。


 そんな感じで、いつものようにゆったりと電車を待っていると……。

 斜め後ろの方から、若い女性の声が聞こえてきた。

   

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