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告白する気0だけど、胸キュンエッセイ

心が揺れた瞬間

作者: アーヤ

 えっと、子供が楽しみにしている夏休みについて来るのが、夏休み用のワークとか、読書感想文とか。


 私は、小学生の頃からそれを夏休みが始まる前に終わらせて、一行日記とかの内容にかなり苦戦するタイプの子供だった。


 それは、夏休みを自分の時間に使うため、それだけだったんだ。

 でも、今は違う。


 中二の時、カッコいい子と一緒になった(A君としようか)

 身長高いし、性格もいいし。何と言っても、いつもぼうっとして、人間観察に没頭している私にも普通に話してくれる数少ない一人かな。


 私は、友達以外の人と話すのが好きじゃないから、同じ班の人か、「退いて」っていう時、後話しかけられた時の返答以外話さないし。


 で、三学期の最後の席替えでその子と同じ班になった。

 その時も一緒になった親友は「あいつとお前は性格的に反対。綺麗に反対。だから、この班はバランスがいい。だけど、根本的には似てる」って言ってた。

 確かに、迷惑かけるような人はいなかったな。クラスの中で一番いい班だった。


 そして、時は少し戻って夏休み前の一学期。

 私は、小学生の頃みたいに、誰よりも早く社会のワークを終わらせて先生に渡し、読書感想文ではクラスで一番早く出した。

 その時、原稿用紙を渡された次の日に提出したんだけど、私と同じようにその子も提出した。

 あ、でも私の方が早くて、悔しがってたな。


「あ! 先を越された!」って教室中に響くほど大きな声で、そう言ってた。


 ――その一年後の今も同じ班だ。原稿用紙四枚半から五枚まで。私は、まずWordを開いて全て書くことをまとめたから、字数が足りないっていうミスは起こらなかった。


 渡した時は図書室で本を読むときだった。で、去年と違う点が一つ。私よりもA君の方が、先生に提出するの早かった。今度は私が悔しくなった。


 でも、先生に渡してから五分経ったくらいに、同じテーブルの対角線上にいるA君が私に話しかけた。最初は向かい側にいる私の隣の子に話しかけていると思って、無視しちゃったんだけど。


 顔を上げると、私の目をじっと見て、こう言った。


「読書感想文って、四枚半以上だっけ?」と。


 私がうなずくと「やっちゃったな」みたいな顔で苦笑して、「俺、文字足りんな」と言ってまた先生の所に行った。


 戻ってきたら、「ああ、やっぱ足りんわ」って言って、また困ったようなオーラを感じた。

 私は先に書いたから、また私に助けを求めて、今度はこう言った。


「なあ、どうしたらいい?」って。


 この声を噛みしめながら、私も困っちゃって……。


「まあ、頑張れ」と返した。

 これしか言えないじゃない!


 そして、「まあそうだよな」と言ってから、『そう言えば去年も一番だったよね』と言った。一年位前のことを覚えていた。正直、びっくりした。よっぽど、悔しかったんだろうな。


 あ、ちなみに、私自身の読書感想文は先生に「引用がすごい(多いっていうわけじゃないっすよ?)」とべた褒めしてくれました。


 でも、やっぱりそれ以上に私に話しかけてくれたことの方が、ずっと嬉しかった。

 人に褒められなくて、いつも努力して、やっと褒められることを嬉しがっていた私が、初めてその喜びよりも他人の小さな言葉で心が揺れた出来事だった。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一年前のこと覚えていてくれるのは羨ましいです……。 私のとこの男子なんかほぼほぼ忘れてますよ。 いや、女子の方も結構忘れてて、大きな行事でなければ覚えていてくれないんですよね……。 ライバル…
[一言] ライバルみたいな関係で、でもちょっとキュンとして。 素敵な二人だと思いました。 一年前のことを覚えていてもらえると、ちょっと嬉しかったりしますよね(*´∀`*)
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