プロローグ
2022/03/22 連載開始です。
新話が描け次第投稿していきます。
アクマでもリアル優先ですので更新速度は亀更新になるかもしれません。
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どこまでも続く緑の平原。少し高い場所に登れば地平線が安易に見える事だろう。そんな緑の真ん中に佇むのは巨大な傷だらけの白い壁だ。所々にある丸い窪みはこれまでの人々の争いの歴史を現わしている。半ばにある大きな門の手前にはここへ訪れた人々の行列がある。門税を支払うため足止めをくらい、しかし……彼らの顔に苦悩の相は見えない。誰もが面には笑顔を表にし、これから入る国――エレレン王国の首都に心を踊らされていた。だが、好奇心によって目線が吸い寄せられる場所があった。
緑の平原には似つかわしくない、民家が丸ごと入る大きさの紫の水晶。一つの名所にすらなっているこの水晶には恐れられる歴史があった。森の長寿の民に聞けば誰もが答えるだろう。世界に残された惨虐の歴史を。人の心によって生み出された純粋悪の事を。心を燃やした憤怒の暴君の悲劇を――。