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出会い4

「そんなに行きたきゃ、一人で行けよ。なんで毎回、俺を道連れにすんだよ……」


 とうとう、輝はぼやいた。


 持ち前の美貌とコミュ力だけが取り柄の彰真には、顔馴染みや一緒に馬鹿をやらかしてくれる友人なんて沢山居るはずだ。


 それこそ、掃いて捨てる程に。


 けれども、何故だか彰真は、廃病院や夜中の神社巡りなんかには狙って輝ばかりを連れ出したがる。


 怖い場所や暗い場所に輝も人並みに恐怖心は感じはするが、笑いが取れるようなビビリ方をするわけでもない。


 心霊スポットに行ったからって、互いに「暗かったな」「怖かったな」「何もなかったな」の感想で終わるだけなのに。


「だって、一度くらい幽霊に呪われてみたくね? しかも、今回は美人なオネーサンだっていうし。それなら、行かなきゃ損っしょ?」


 音符が聞こえてきそうな程に語尾が弾んでいる。


 彰真が無類の年上好きなのは知っていたが、まさか幽霊に対してもそれが適用されるとは知らなかった。


 彰真の己の欲望に対して忠実過ぎる程に忠実な発言には、さすがの輝も呆れてものが言えない。


「嘘嘘、待って! 待って! 冗談だからそんなドン引きしないで」


(今のは絶対冗談なんかじゃねぇだろ。お前の場合、百パー本音だろ……)


 しかし、彰真は輝の憐れんだ視線にも、負けじと未だに説得を試みる。


「んやぁ、確かに今まで俺ら心霊スポットはあちこち回って来たけどさー? 夜の神社なんて久しぶりじゃん?」

「……だっけ?」

「そうだって!」


 今度は自分が首を傾げる事になった輝は、彰真から強い肯定を喰らった。


 その勢いとエネルギーは、こんな所で使うより、もっと別の場所に使った方が彰真の将来の為になるんじゃないのか……と、輝は思ったり思わなかったり。


 先程からずっとそんな失礼な事を考えられているとも露知らず、彰真はニタッと強気な笑みを浮かべて言った。


「それにさぁ、どうせ家に帰っても独りなんだろ?」

「……まぁ」

「なら、ピッタリじゃん!」

「何がだよ」

「ほら、もうじき夏休みだし? 真夏の夜の肝試しは、蒸し暑さを吹き飛ばすのにきっと最高よ?」

「青少年なんちゃら条例に従うなら、俺ら18歳未満の23時以降の外出は認められていないけどな」

「もう、そんな細かい事はどうだっていいだろー? ママの言いつけを守っているので、僕ちゃんは夜遊びなんて一度もしたことありませんでしゅってガリ勉野郎でもないんだからさ」

「いや、ガリ勉のこと馬鹿にし過ぎな?」


 彰真なんかに言い包められるのは悔しいが、彼の言う通り輝は、事情(わけ)あって高校に上がったばかりの今年度から一人暮らしをしていた。


 だから、高校生であれば設けられて当然の門限など、輝の家に限ってはまったくもって気にする必要がなかった。


 なんなら、中学時代から親の目を盗んで彰真と共にろくでもない遊びを散々行ってきたくらいだ。

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