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出会い2

「直接聞いてきたことをそのまま言ったまでだって!」

「へぇー」


 興味がないのが丸わかりな輝の適当な相槌を知ってか知らずか、彰真はよりさらに熱弁を振るう。


「ありゃ、よっぽど恐ろしかったんだな。満身創痍って感じだったぜ? ご親切に行かない方がいいって言われたけど……でも、行くなって言われたら、余計行きたくなるのが人間ってもんじゃん?」


 間違いなど(はな)からなかったかのように、彰真がドヤ顔で締め括った。


 その表情がどことなく不愉快に感じた輝は、彰真のつむじ目掛けて手刀を落とした。


「痛って〜〜っ!」

「嘘つけ。そんな痛くねぇだろ」

「まぁ、嘘だけど」

「うぜぇ」

「うざくねぇもん」

「じゃあ、キモい?」

「何でそんなとこでグレードアップすんの?! しかも疑問系だし……俺、今からお前の友達辞めるわ」

「どーぞ。どーぞ。お好きにどーぞ」

「お前さ、本当に俺の親友?! そこはさ、『辞めないでくれ! 心の友よ!』って、引き止める所じゃねーの?!」


 話すことに夢中な彰真は、己が《《親友》》の顔につばを飛ばしている事にも気が付いていない。


 輝は飛んできたつばを拭きながら、やや閉口したような表情で放った。


「寒っぶ。今のは冗談抜きでキモいわ」


 ズッ友だとか、心の友と書いて心友だとか。


 そう言えば、小学生の頃、女子達の間でよくそのような若者言葉が流行っていたような気がする。


 今もそんな文化があるのかは分からないが、少なくとも男同士では聞かない代物だ。


 彰真はそんな小恥ずかしい台詞を平気で口にするから、よくやるよなぁと思っている。


「なぁ、今日は一段と冷てーのな。何で?」

「え? ……んー、何となく?」

「何となくかよ。酷くね? めっちゃ傷つくわー」


 と、言いながらも、言葉とは裏腹に彰真はケラケラ笑っていて、傷ついているような気配が見えない。


(……仕方ねぇだろ。例えイケメンでも、やっぱドヤ顔はムカつくんだもん)


 男の輝でもそう評する通り、彰真の顔立ちは悪くない。


 輝の方は背丈も顔も至って凡庸な造りなのに対し、彰真は女子にキャーキャー騒がれる部類だ。


 しかも、自分の容姿が整っている事を自覚している彰真の髪は、あのイケメンしか似合わないという残酷さで有名なマッシュヘアーだし。


 色は薄い茶色で、流行りを上手く取り入れており、耳には細身の十字架のピアスをしている。


 全体的にチャラい。


 でも、腹立つくらい女にはモテる。


 彰真の外面(そとづら)しか知らない中学時代の後輩とか他校の子に、よく手紙や手作りの何かを貰ったりしている。

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