表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/26

6.私と桐谷、再び

ある程度進んだら、キャラクターと設定一覧投げようと思います。

意識が飛んで、目を開けたら視界が真っ白だった。

……部屋?いや、部屋にしては何もない。

窓もドアも、なんなら部屋の終わりもない。

部屋、というより空間?今度こそ私召された?推しが尊すぎて、テンプレの仰げば尊死しちゃった?


「……尊死ってなんだよ、まじで。あんたの脳内ブッ飛びすぎだろ。オタクっつーのは、みんなあんたみたいなの?」


声が聞こえた。ゲームで主人公の声が搭載されてる乙女ゲーって、珍しい。高くもない、低くもない。中音域の澄んだ声。そんな声から出てくる、ものすっごく荒い喋り方。

金髪ポニーテール、しっぽの先は微かにショートジーンズに付くぐらい長い。目付きは鋭い。そして、龍の刺繍のスカジャンがよく似合う。きつめの美人だけど、かっこいいの言葉の方が似合う。

ーーーひだヴァンの主人公、桐谷陽(きりやよう)。乙女ゲーのヒロインってやつだけど、なんとなく桐谷に関しては主人公って単語の方がしっくりきた。


「……えと、多分普通な部類だと思うよ?」


オタクの普通の定義が、どんなのかはわかんないけどね。そして桐谷は、私の胸ぐらを掴んだ。


「てめぇ、アタシの身体で何やってんだよおい?っつーかあんた何者だ?」


あーー怖い怖い怖いっ!?メンチきられてる!?目付き悪い系の美人さんだから、すっごい怖いよ!?今まで20年間生きてきて喧嘩なんかしたことないもん!怖いよまじで!って何者って言われてもどー説明したらいいの!?私はあなたですとか言うの!?いや、そもそもこの白い空間どこぉ!?

あたふたとしてたら、桐谷がいきなり吹き出した。そして、私の胸ぐらをそっと離した。


「っ……あっははははは!悪ぃな、冗談だ。あんたのことは、あんたがアタシの身体動かしてる時にきっちり情報入れてるよ。ーーーオレンジさん、って言った方がいいかい?アンタ年上みたいだしな、チビだけど」


人の身長をいじり、初対面でどっきりかます桐谷をどつきたくなった。てか豪快に笑うのも美人さんだと映えるねおい。


「……え、何で私のハンネ知ってるの?」


おまけに、この空間の中だと私は死ぬ前の私だった。鏡はないけど、声と桐谷の目線でわかった。桐谷の身長は168㎝、ちくせう身長欲しかった。


「……あんたの、記憶を見たんだ。あんたが私の身体で戦ってる間に。あんたにとって、アタシの世界はゲームの舞台だったんだな」


小さく頷いた。そう、この世界は間違いなくひだヴァンの世界だ。


「ただ、冒頭から予想外だったけどね。推しがあんなにがっつり出番……あと可愛い……」

思わずにやける。間違いなく人に見せちゃいけない表情なんだけど、どーせ私の記憶全部見てるなら問題ないよね。

「……そんなに好きかよ、あの女。あいつ敵になるんだろ?しかもあいつ身内ごろs」

その単語が出た瞬間、桐谷の口元に、人差し指を伸ばした。眉間にしわが寄る感覚、ああ久々に自分の身体でぶち切れてんなーって思う。

「……確かにそうだけど、それはつぐみたんが一番後悔してる。だから彼女は、自分を罰する為に人類の敵になったんだ。小さい頃のことをずーっと背負って生きてる、そんなつぐみたんの事を、悪く言ったら」

「あーーーストップストップ。……悪かった、アタシに全面的に非がある。で、限界突破ってなんだよ?あんたのゲームの知識は多すぎて、アタシがパンクする。いちいち全部見てらんない」

深々と頭を下げたので、教えることにした。



ーーー限界突破とは、言わば火事場の馬鹿力的な力である。



狩人が死にかけた時、生存本能で魂が普段の自分の持つ力以上の力を引き出すことができる。

ただ、その限界突破をするにも狩人の力を使うにも、魂に誓いの言葉を刻まなきゃいけない。

力を使えていたのは覚醒した直後だったから、限界突破を使えていたかは正直わかんない。

「ちなみに、狩人の力を使う為の言葉は【魂の誓い】って言うんだ。おそらく、学校に行ったらその儀式をすると思う。オープニングムービーで見たから」

ただ、何に誓うか。……正直、トキワは別に桐谷の親友だけど私にはぴん!とこないんだよね。あ、でも桐谷が動いてる時ならトキワに誓えるか。



「……なぁ、あんたはひだ、ヴァン?それを何回もやってんだよな?」


小さく頷いた。鳴神先輩トゥルーエンド以外、全部やった。バッドエンドも見た。

頷いたら、すぐに桐谷が土下座した。やめてくれ、年下に土下座させる趣味はない!


「頼む!トキワを、救いたいんだ。力を貸してくれ!アタシの身体であんなすんなり喧嘩できたんだ!オレンジさん、あんたにならできる!」



……どーしよー、厄介なことになってきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ