13.魂に、誓う
まず、一歩進みました。5月イベント終わったらキャラクター表でも作ろうかなと。予定は未定です。
「所属は処刑部隊です、中等部で部隊に入るのって結構すごいんですよ?ちなみに処刑部隊の仕事は、異形落ちした仲間の処分です。ーーー此処に傷付きながらも居る貴女は、強いから私の敵にならないでしょうけど」
ああ、笑いながら実に自信満々に明るい声で語るつぐみたん。周りの空気が冷たくなる、てか犬居つぐみたん睨むなどつくよ。
とても愛らしく、胸が潰れそうになってもこのシーンは絶対飛ばさずに見てる。ちなみに、同胞殺しという異名は決して処刑部隊に所属してるからじゃない。
ーーー井吹つぐみ、もとい鳴神鶇は、7歳の時に魔力暴走で自分の母親を筆頭とした親族50名を殺している。鳴神の家を追い出され、名前である『漢字』を没収された。それをずっと悔やみ続け、自分を罰し続けてる。処刑部隊も、自分の意思で入った。ちなみに犬居は、つぐみたんに姉を目の前で殺されてる。憎んでも仕方ないのは、このことで。被害者と加害者、だからつぐみたん自身は犬居の事は全く嫌っていない。むしろあなたの権利だと思ってる。
鳴神先輩も、母親をつぐみたんに殺されている。でも彼はむしろーーーあ。
「井吹さん、桐谷さんに処刑部隊の話をしなくていいんだよ」
とても、悲しそうな表情でつぐみたんを止めようとする。そう、鳴神先輩はつぐみたんを憎んでない。むしろ従妹をなんとかしたい、と心を痛めてるんだ。
だけど、つぐみたんはそれを求めない。甘さと判断し、拒絶するんだ。鋭い目で、鳴神先輩を睨み付けた。
「人の自己紹介を中断しないで下さいよ、坊っちゃん。……桐谷さん、貴女は私達の敵になったりしませんよね?」
赤い眼は、美しくも悲しい。推しは綺麗だ、可愛いのに綺麗だ。真っ直ぐに罪を背負い続ける、そんな彼女の敵になる?ありえない、いつか私がいなくなった時でも、桐谷にお願いしてなんとかしたい。
つぐみたんは、ラスボスにさせたくない。
「なんだったら、誓ってやるよ。ーーーアタシは、始祖の力を持ってたとしても。絶対人の敵にはならねぇ!敵になる前に、トキワと一緒に滅びてやるよ!……あんたの敵に、いや。ここにいる奴らとは絶対、敵にならない」
トキワと一緒に滅びてやる、ここまでは公式。
後半は、私の改編だ。推しに、このゲームの世界に誓うよ。つぐみたんをじっと見るのは恥ずかしい、けど今これだけはわかってほしい。
私は、貴女の敵にはならない。そして、貴女に人類の敵になってほしくないんだと。
「……熱烈なアプローチ、ありがとうございます?」
きょとん、としながら瞬きして首傾げるつぐみたんとか可愛すぎか?って待て、アプローチ?
「な、ななな、何言ってんの井吹さん!?私は、女子だよ!アプローチってのは異性を口説く時にですね、使うものでしてね!?」
空気が温かいものに変わる、みんな人の反応見て笑わないでくれますぅ!?てか峰、お前にやにやすんな。本閉じるな読んでろ、同類と判断する視線で私を見るなあああああ!
「最高の宣言に感謝するよ!ーーーでは、これにも誓いを立ててくれないかな?」
理事長が私の前に、一つのスマホを持ってきた。
狩人になるための、大事な儀式だ。
「この端末は魂と連動するようになっている、端末を胸元に当てて己の力をどのように使うかを魂に誓い、刻むんだ。同時に、自分の限界を越える為の言葉も刻む。ーーーこの儀式は、簡単だけど重い。君は、自分の力をどうつかう?」
桐谷に、交代することにした。この力は元々桐谷のものなんだから。
でも、私が誓うなら。
「ーーーこの力は、友の為に」
『この力は、貴女の為に』
「絶対、負けねぇ」
『絶対、助ける』
赤いスマホが、オレンジの光に包まれた。
儀式完了。ーーー物語の、開幕だ。