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ふみがたり  作者: 水瀬ふみ
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メッセージを受け取る、ということ

自分の生まれた町が町制施行五十周年を迎えた際に埋められた、タイムカプセルの開封式が行われた。

すでに自治体としての町は合併によって失われて久しいが、埋設されて三十年が経過し、当時の計画通りに開封が行われることとなったのである。


しかし、三十年もたてば人は変わる。働き盛りの壮年世代も年金生活を始めて久しいし、小学生も四十前後まで歳を取っている。いろいろなものが大きく様変わりしてしまっているのだ。

そんな三十年間を埋設された状態で超えてきたカプセルの開封には、年甲斐もなくわくわくした感情を覚えるものだ。なにせ、自分がもはや当時を記憶していないほどの子ども時代からの寄せ書きや、当時を知るための資料、そして未来の自分に向けて宛てられたメッセ―ジをこの目で見ることができるのだ。


式典が終わり、開封がなされる。目の前に、当時の資料がずらりと並び始めた。当時小学生であった自分が書いた、2020年の自分は……という寄せ書きを見て思わず笑みがこぼれる。昔はこういう夢を抱いていたのだなと思うと、何やら気恥ずかしい思いさえするのだった。


そしてもう一つ、未来の自分宛てに埋められたメッセージを受け取る。家族一同から自分に届いた手紙を見て、思わず苦笑が漏れた。祖父母からの言葉が、胸に痛い。健康で、家庭を持ち、家の繁栄をよろしく頼むというメッセージが、とても胸に痛かったのだ。自分はその言葉に報いるような生活を送っているだろうかと思うと、とても首を縦に振ることはできないのであった。

会場で手紙を受け取り、帰って仏壇に謝罪の線香をあげた。もう少し期待にそえるような自分になりたい、と思いながら。

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