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ふみがたり  作者: 水瀬ふみ
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原点を思い出す、ということ

 平々凡々と今までを生きてきた自分は、特段人に誇れるような話はない。だが、あえて一つ挙げるとすれば、高校・大学と七年間続けた応援団としての活動だろう。

 応援団といっても、運動会や体育祭の時だけに限定的に結成されるものではない。年間を通じて存在し、日々を鍛錬に捧げる学生団体である。日々を体力形成に費やし、学ランを着て声を張り上げる七年間は、他のさまざまなものを手放してでも、なおかけがえのない時間であった。

 これについて語り始めると、それは別の話が一作できあがるほどのものになるため割愛するが、自分を形作るものの大部分は、応援団によって積み上げられたものであると感じている。半ば冗談で、あの七年がなければ自分のように心の弱い者は社会になじむことができなかっただろう、と今でも思う。それほど自分自身の柱となるべき時間であった。


 先日、その大学時代の集まりに顔を出した。体育会系の極みであるこの集まりに顔を出せば、今でも当時の先輩・後輩という間柄が呼び起こされる。社会人になってここまでそうした関係を要求されたことがあっただろうかと思うほど強烈なそれは、過去を揺り起こすには十分すぎる刺激になるものだ。


そして同時に、自分を形作る原点を思い起こさせてくれる。自分のためではなく、誰かのために懸命になること。そのために体を鍛え、精神を鍛えるということ。もちろん懐かしさもあり、世話になった先輩、自分の後を追って活動を支えた後輩、そして今を支えている学生たちに会いたいという気持ちも本物である。しかし、この気持ちよりも他に、自分自身に問いかけることができる時間にもなるのだ。


自分は、あの頃に積み上げたことに恥じない生き方をしているか? 自分自身がこうと決めた屋台骨が揺らいでいないか? それを思い出し、今の生活を反省して、これからに生かす。時代は移り変わるものだから、変わっていくことは当然である。しかし、その源流は決して変わるものではないと、自分は思う。

自分はどうなりたいのか。どういう信念を貫きたいのか。それを思い出すことができる、自分の始まりの場所なのである。

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