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昨日は、特売品が全て売り切れ、さらに夕飯も遅くなってしまったため、弟たちに呆れられてしまった。
「どうせ、また頼み事されて断らなかったんでしょ」
「託兄は、面倒見が良すぎなんだよ」
と、言われてしまった。
もう、これは一種の病気とまで言われたこともある。
まぁ、それは置いといてだ。
あの爺さんに押し付けられた店番をするために会った場所に向かった。
今日はちゃんと言ってあるし、朝のうちに作り置きをしておいたから大丈夫だろう。
何時までするのかは不明だが、遅くなるようだったら一言入れて帰らせてもらおう
会った場所に着くと、昨日とは違い、怪しい雰囲気は見られなかった。
そりゃ、夜じゃなくて今は3時ぐらいで、まだ日が高いからな。
「ここだよな」
人がいる雰囲気がするんだが、僕が来る意味あったのか?
でも、頼まれたし店に入らないわけにはいけない
『また 所味甘』
何だこの看板、『また』ってある
あの爺さんの店は、看板まで変わってるんだなと、思っていると
「おい!この糞爺いつまでサボってやがんだ。とっくに店開けてんのに、あんたが居なくても変わらないが、年寄りのフリしてフラフラしやがって。さっさと働け!」
バンっ!と扉が開いたかと思うと、中から黒髪に少し緋色が混じったような髪のイケメンがキレながら出てきた。
「ん?誰だお前」
半眼になりながらこっちを見てくる。
かなりの迫力がある。見ないでほしいんだが、この店から出てきたからあの爺さんの、知り合いかもしれない
「あの、この店の方ですか?」
よし、怖いけど話しかけられた!
「そうだけど、人間が何か用か?てか、俺の質問に答えろよ」
さらに眼光が鋭くなってしまった。
「えっと、僕は今日ここの店番を頼まれてしまったので、来た者です」
「はぁ?店番だ?しかもあの爺さんに頼まれたから来ただと?」
「はい!昨日急に話しかけられて、店番してくれって頼まれたんで来ました」
そう、言うと怖いイケメンがため息をつく
「お前、それ爺さんに、騙されてんぞ」
は?
「その爺さん、まじないとか言って、変なこと言わなかったか?」
「言ってました。代理とか、権限だとか」
「はぁー、あの爺さんなんてことしてんだ」
え?何なの?
僕は店番をするつもりで来たんだが、認識が違ってる
「悪かったな、あの爺さんがしたまじないってやつは、簡単に言うとお前を店の仮の主人として指名したってことだ」
店の主人?
「あの、急に主人とか言われてもわからないんですが、それに任されたのは店番だったはずですよ」
「いや、お前はここの主人を仮にだが任されてんだ」
たく、面倒なことしやがってと、毒づいている
そう言いたいのは、僕の方なんですけど
「とにかく、爺さんが悪かったな」
「いえ、あの、はい。とりあえず僕は主人とか無理なんで、この話は無かったことになりませんか?そちらも迷惑でしょうし」
とにかく、この話は無かったことにしたい、今すぐ逃げたい。
「悪いが、これは決定事項だ。諦めろ」
まじか。絶対めんどくさいやつだ。
「諦めろ、何死にやしないんだ。俺らがいるんだからな」
かっこいいセリフだけど、何?そんな危険なことするの?
やばい、もう帰りたい
「俺は認めてないが、まぁ、守ってやるよ仮の主人様」
「え!?何言ってるんですか?」
イケメンはずるい。男の俺でもドキドキしてしまった。
ニヤニヤしながらこっちを見てくる
絶対面白がって行っているな
「そういや、名前教えてなかったな。俺は暁月。ここの店員だ」
「はじめまして。僕は宮下 託統です。短い間ですがよろしくお願いします」
「何言ってんだ?短い間とか。あの爺さんが帰ってくるまでがお前ー、 あー、託統の仕事だ」
「はい?聞いてませんけど」
「聞いてなかったのか?」
肯定を込めて頷く
「お前、阿呆だろ。何怪しい誘いに乗ってんだ」
「しょうがないでしょ、勝手にやられたんだから!」
勝手に変なこと言われて、店長やれって言われて、暁月さんには阿呆と言われ
散々な目にしか合ってない
「とりあえず、中入れよ。詳しい話はそこでしてやるから」
そう言われて、店内へ案内されるのだった。
今度あの爺さんにあったら特売品の恨みもこめて怒ろうと思います