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転生者の選択と、その結末

87000PVありがとうございます!


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パチリと目が覚める。

目の前には見慣れない白い天井、そしてフカフカの布団に横たわっているこの現状に首を傾げた。

試しに両手両足に力を入れてみると、錆び付いたようにゆっくりとしか動かすことができない。


(なんでここで寝てるんだっけ?)


あ、そうだ。

ダニーとの喧嘩を買って号泣して、それで騎士団のお兄様方に保護されて帰ってきたんだ。

とりあえず身体を起こそうとすると、私の手を祈るようにして握っている両親の姿が目に入る。

すっかり寝入っている両親を起こさないよう身体を持ち上げて、窓の外を呆然と眺めた。


絵の具で描いたかのように青い空に白い雲。

平和だ。


チラリと辺りを見渡して人影がないことを確認して、試しに一度大きく咳払いをしてみた。


よし、起きる気配はない。


眉をしかめながら目を閉じている父親の耳たぶを掴み、特に意味もない個人的に言ってみたかった台詞を小声で呟く。


「本日も晴天なりー。」




























「…………そう…だな。」


ナイスタイミングで扉を開けてしまった我が幼馴染の、戸惑ったような返事に時が止まった。

数秒互いに見つめあったのち、私は静かに二度寝の体制に入る。


「いや寝るんじゃねーよ。」


入るときはノックしろよ少年。


静かに枕を濡らしながら数十秒前の自分の行動を悔やんだ、そんな昼下がりである。











◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇










「まさか入院していたとは…。」


「レイちゃん!ああ、本当に意識が戻ってよかった!!」


「レイぢゃん!よがっだ!本当に!心配したよぉおおおお!!」


「グェ。」


白い天井は病室だったからで、どうやら三日間ほど眠りについていたらしい。

そのせいで両親が涙声で(父親に至っては顔面モザイクレベルで)私を強く抱きついてくるのを、なんとか受けとめる。


「過度なストレスによる症状ですね。本当に安心しました。…帰ってきたと思ったらいきなり倒れるんだから。」


ホロホロと泣いている両親の背中をさすってあやしていると、白衣を着たランちゃんがこちらに歩いてくる。

両親がいる前だからかいつもと話し方は違うものの、彼も無事に戻っていたことに心から安堵した。


「ランちゃんありがとう。………あと白衣ごっつぁんです。」


「はい、もう大丈夫そうだね。」


もう私への対応を習得したのか、頭を数回撫でたあとカルテになにかを書き込んでいた。

そしてチラリと視線がこちらに向けられると、彼のその意図を読み取り小さく頷く。

するとランちゃんはカルテをテーブルに置いて両親の肩を叩いた。


「えっとモブロードさん、今からレイの容体を確認するので一度部屋の外にお願いします。」


「えぇ!?なんで!?僕も一緒に!」


「お父さんあっち行ってて。」


「辛辣!でもこの感覚堪らない!この止まらない愛を君にグボォッ!」


「レイちゃん、私たちは外にいるからね。………あと()にもちゃんと説明しなさい。二股はダメよ?」


「……なんの話?」


いつのまにかドMになった父親を母親が腹パンして黙らせ、私にウィンクをかましてくる。

そしてそのまま呆然とする私を置いて父親を担ぎ、ランちゃんに一礼して部屋から出て行ってしまった。

二股と言われてもなんのことだか、私にとってはどうすればいいか分からないもので。


「………君も出て行ってほしいんだけどな。」


「あ"?オレに命令すんなクソえくぼが。」


このキレにキレまくってる幼馴染をなだめる攻略法を探しているところである。


いつもより穏やかな感じで拗ねた私を起こしてくれたアルだったが、ランちゃんが部屋に入ってきた途端に眼の色を変えた。


ただでさえツンツンしている髪はイガグリのように鋭く尖り、常時舌打ちが止まらない。

ランちゃんが私の頭を撫でてくれたときなんて、無表情で手に持っていたパンを燃やしていた。

なんともまぁ、キレッキレである。

理由はさっぱり分からないが。


「あのー…アル?紹介してなかったかもしれないけどこの人は」


「王都指定調剤師ランディ。」


「し、知ってたんだ…。」


「あぁ知ってる。どっかの誰かさんが、デレデレしながら、気持ち悪りぃほど、雑誌を眺めてやがったからなぁ!?」


うんそんなこともあったね!!

なんと嫌味たっぷり!!


ガタガタと震える私と何故か激おこのアルを交互にみたランちゃんは、なにかを理解したように一度手を叩く。


「ははーん?」


なにか思いついたんですか?我が友よ!

この状態から抜け出したくてランちゃんに視線を向けると、余計にアルからの視線が鋭くなる。

ランちゃんが私の視線に気づいてニヤリと笑うと、こちらの反応を伺うように呟いた。


「レイの彼氏?」


「「は?」」


彼氏?彼氏ってなんだっけ?


数秒フリーズした私はアルを見るが、彼も思考が停止したのか口を呆然と開けてランちゃんを見つめる。

そんな私たちの様子にしびれを切らしたランちゃんは焦ったそうにさらに爆弾を投下した。


「まだ早いか。えっと、キスとかしちゃうようなラブラブな仲なのって聞いてるんだけど?」


「「は?」」


アルの機嫌が最悪の時に、一体なにを言いだすんだと頭を抱える。

そもそもアルにはエミリーちゃんという素晴らしき将来の伴侶がいるのだ。

そんなことを言えば。


「…………っ!!」


ちらりと見れば言葉をなくし、顔を真っ赤にしてフリーズしている。

うわぁ…めっちゃ怒ってるよ。


「ちょっとランちゃん?」


戒めるようにランちゃんに声をかけると、納得したように軽く微笑んだランちゃんは呟いた。


「レイは動揺しないのね。……で?キミは?」


「っ!!だ、だ、だ!!」


ランちゃんから視線を向けられたアルは大げさに肩をビクつかせ、凄まじい勢いで後ずさりする。


「アル?」


あまりにも不自然な動きに違和感を覚えた私はアルに声をかけると、小刻みに震える瞳と目があった。

ありありと動揺が見てとれ……ん?動揺?

なんとなく心配になってアルに向かって手を伸ばすと。


「だっ!!まっ!!だぁああああああ!」


「え!?ちょっと!?」


瞳を固く閉じて発狂したアルは、この場所から逃げ出すように部屋から出て行ってしまった。

その様子を見たランちゃんは楽しそうに、そして達観したように微笑する。


「ふっ、まだまだ若いわね。」


「だからなんの話!?絶対カンカンだよ!やばいよ!!どっかの木を爆発させてたらどうしよう!!」


「はぁ?…まぁいいわ。結果的に部屋から出て行ってくれたわけだし、あなたに伝えたいことがたくさんあるのよ。」


出て行ってしまった幼馴染は気になるものの、こちらも聞かないわけにはいかない。

とりあえずはランちゃんの話に耳を傾けることにした。

ここまで読んでいただきありがとうございます^_^


長くなりそうだったのでまたまたお話を分けました…。

このダニー乱入事件の結末がどうなるのか、もうしばらくお付き合いください^_^

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