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転生者は、恋しがる

50000PV、8500ユニーク超えありがとうございます!


またブックマーク登録、評価いただきましてありがとうございます^_^


50000PVを超えたなんて…感無量です!

いつもありがとうございます!


今後もよろしければブックマーク登録、評価、感想などお待ちしております!


さてと。


机に肘をついて手を組み合わせ、静かに目の前に座るランディさんを観察する。

雑誌に取り上げられていた通り、いやそれ以上に透き通るように白い肌と銀色の髪に蒼の瞳。


素晴らしい。実に素晴らしい。

顔面人間国宝とかあったら間違いなくノミネートされるレベルである。


そんな私の眼差しに警戒するようにランディさんが目を細めたため、慌ててにこやかに微笑み返す。


危ない危ない。本題は()()()()()()のだ。

いや、確かに少しはこの顔をまじまじと拝みたいとは思ったけれど。


まさか本当に会えるとは考えていなかったが、もしランディさんに会えることがあればと持ってきた()()()()をポシェットから取り出そうと中身をあさる。


「実は折り入ってランディさんにお見せしたいものがありまして。」


「まだ出会って間もない僕に?」


「はい。」


ランディさんを手招きして顔を近づけてもらい、周りに見えないようにポシェットから取り出して彼の手に乗っける。

なにを乗っけられたのか確認するためそのまま数秒見つめた彼は、その正体を悟り悲鳴をあげた。


「……まさかハイグレッ!」


「はーいストップ!!」


すかさず椅子から立ち上がり、全力でランディさんの口を塞ぐ。

周囲の人は私とランディさんの互いにフリーズした異様な光景に首を傾げながらも、そのまま通り過ぎて行く。


よし、誰も怪しんでない。

何人かハイグレ?とか繰り返してたけど問題ない。

許容範囲だ。多分。


ほっと息を吐いたと同時に彼は私の手をずらし、右手に握り締めた緑色に輝く液体を見ながら小声で話しかけてきた。


「…これハイグレードポーションでしょ?なんでこんなもの持ってるの?」


「実は作ったんです。」


「はぁ!?作ったぁ!?」


「しーっ!!周りの人に見られると色々大変なので落ち着いてください。」


すぐに叫び出してしまうランディさんの口元を再度押さえ、辺りを見ながら落ち着くように声を掛けると彼もその意味を理解したようだ。

ものすごい勢いで大きく頷いた。


すかさず私の手を掴み、低い声で呟く。


「とりあえず目立たない場所に移動するわ。着いて来なさい。」


「…?助かります。」


よかった。話を聞いてくれるようだ。


若干の違和感に首を傾げながら、机の上にお茶代を叩きつけたランディさんの後ろをついて行った。



















◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇















案内された場所には大きな文字でランディ研究室と書かれており、内部は一種の植物園のようになっていた。

キョロキョロと辺りを見回し、誰もいないことを確認したランディさんは鍵を閉めて私に向き直る。


「さぁ、どうやってハイグレードポーションを手に入れたのか白状しなさい。」


丸椅子に座って長い脚を組む彼に倣い、近くの椅子に腰掛けて話を続けた。


「だから作ったんですって。」


「嘘おっしゃい!このポーション濃度を人間に作ることは不可能よ!」


「妖精達の魔力を私に流し込んでもらって、その魔力を放出する事で高濃度なポーションが作れた……らしいです。」


「……あのね、どんな生き物でも自分自身で魔力を生成しているの。魔力操作に慣れた魔女達から与えられるならともかく、なにも考えてないあの子達から魔力なんて流し込まれたら拒絶反応を起こして爆発四散よ。」


「なにそれ怖っ。」


「でしょ?それでもまだ作ったと言い張るつもり?」


「だって作ったんですもん。」


疑ってかかる彼に思わず頭を抱える。

どうしよう。なんて言えばいいんだろう。

こんな時アルがいてくれればな…とここにいない赤髪を懐かしく思っていると、ランディさんが思いっきり自身の太ももを叩いた。


「そこまで言うなら今、ワタシの前でポーションを作ってみなさい!出来たら認めてあげる。」


「えええ……」


「材料はこれとこれと…あとこれ。あ、妖精はこの子たちで大丈夫かしら。」


どことなく弾んだ声でカラフルな木の実を並べ、そして勢いよく私の目の前に鳥カゴを置く。

案の定中には何もいないように見えるが、恐らく妖精がいるのだろう。


(信じてもらわないことには始まらないしな。)


そして妖精に協力をお願いするには、当然彼らに話しかけなければならない。

まぁ別にいいかと開き直り、カゴに手を伸ばすと聞こえてくる妖精の声。


『ワァー!レイちゃんダー!王都にヨウコソー!』


『レイちゃんヤッホー!』


「やっほー。」


「え?なに?」


「なんでもないです。そこで見ててください。」


私の言葉にさらに不思議そうにする彼は放っておいて、引き続き妖精に話しかける。


「ねぇ、ポーション作るの手伝ってくれない?ちょっとでいいからさ。」


『エー!図々しいヨ!レイちゃん!』


『図々しいゾー!』


「……からの?」


『ガッテンガッテン!お安い御用ダヨ!』


『でも先にココから出しテー!』


「流石我が友。じゃあランディさん、カゴ開けますね。」


「え!?ちょっと待って!」


横から聞こえるランディさんの声は無視して鳥カゴに手を掛ける。

もともと上手く鍵がかかってなかったのか、上へ引っ張れば簡単に開けることが出来た。


妖精の粉が宙を舞う様子を見て、彼らが外に出れたことを確認する。

ほっとしたのもつかの間、途端に全身から血液が抜かれるような脱力感に見舞われた。


(早い早い!まだ準備出来てない!!)


慌てて気合を入れ、掌から木の実に向かって魔力を放出するイメージを作り力を込める。

頭痛に耐えながら放出すること、数分。

一度大きく輝くと、その場には青色の液体がポツンと置かれていた。


「な、な、な!」


ランディさんが出来上がった液体を太陽の光にかざすと、液体の中でキラキラと妖精の粉が舞い踊る。


「信じられないわ!これMPポーションじゃない!!ランクはグレード、そしてこんな短時間で!貴女やるじゃない!最重要人物ってこういうことだったのね!……どうして下向いてるの?」


興奮した視線を向けられるのを感じるが、私はその顔を拝むことは出来なかった。


ああ、アル。君が恋しいよ。

やはり1年のブランクはシャレにならない。


彼ならば私が下向いている理由を察して、求めてやまない()()を持ってきてくれただろうに。


「ギブ……」


「え"?ちょ、ちょっと待って!!あ"あ"あ"!」












私の黒歴史に新たなるページが刻まれた。


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