転生者は、王都へ行く
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それからあっという間に1ヶ月が過ぎ、ついにこの日がやってきた。
お気に入りのポシェットを肩から下げて、大きな道のど真ん中に鼻息荒く立つ少女がいた。
「おおおおおお!!!」
「レイちゃん危ないわよ?こっちにいらっしゃい。」
中世ヨーロッパ風な建物が立ち並び、村では見たこともないものがたくさん売られていた。豪華なドレスに身を包み、優雅に談笑している姿も見受けられる。
これが都会か。カッコいい。
「はぁぁ…やっぱり村から王都はなかなか距離があるね。馬車のせいで腰が痛いよ…。昔は平気だったのにな…。」
「ふふふ、歳をとったってことね。ほら見て、レイちゃんはあんなに元気よ?」
「すっげぇえええ!建物でけぇえええ!」
「あーレイちゃん。周りの人に見られてるから、少し落ち着こうか。」
田舎娘丸出しの私が絶叫するここは、王都。
全ての中枢機関がここに集まっている、この異世界においての心臓部だ。
「それで、ヒューズさんはなんておっしゃってたの?」
「ああ、彼にはお昼ごろに顔を見せてくれと言われてるよ…おっとそろそろ行かないと!レイちゃん、ここはあとで見に来ようね。」
ヒューズさんって誰ですか。
いやいやそんなことよりも、目に映るもの全てが珍しく興味深い。
その中でも通りの奥の大きなドーム型の建物が一際存在感を放っていた。
「お父さんあれはなに?」
「ん?ああ…闘技場だね。あそこで優勝するととても珍しいアイテムが手に入るそうだよ。なんにせよ僕たちには縁のない場所さ。」
「戦闘観戦を娯楽にするなんて、悪趣味よね。」
「こらエマ。誰かに聞かれたら大変だ。ほら行くよ。」
その闘技場の周りには人だかりが出来ており、かなり人気なことが窺える。
とにかく、戦闘力皆無の私がお目にかかることはなさそうだ。
(勝ち抜いたら珍しいアイテムが手に入るって、なにが手に入るんだろう。)
父親に手を引かれるがまま闘技場から視線を逸らして目的地を目指した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「モブロード様ですね。ただいまヒューズ先生をお呼びしますので、そちらでお待ちください。」
暇を持て余してあたりを見回せば手を折った人、車椅子の人、白衣姿の人などいろんな人間が行き交うのが目に映る。
ここが王都病院であり、私たちの目的地。
今は父親と一緒にトイレに向かった母親とヒューズ先生とやらが来るのを待っている。
懐かしむように父親がぽつぽつと昔話を話し出した。
「実はエマは王都出身でね、僕はあの村から定期的に通って彼女にアタックしてたんだよ!馬車代が高くてさ、食費を切り詰めて大変だったんだ。」
「ほうほう。」
「ヒューズはその時からの友達でね、僕がガラの悪い奴らに絡まれていた時に助けてくれたんだよ。」
「へぇ。」
「そういった山あり谷ありの試練を乗り越え、僕とエマは結ばれたのさ!ああ!あの時のエマは最高に可愛かった!もちろん今も可愛いし大好きだけど!堪らない!好き!」
「あーお父さん。周りの人にかなり見られてるから、少し落ち着いて。」
興奮のあまり天を見上げ、両手を広げる父親から距離を取る。
無駄に手を開くから通行の邪魔である。
お父さんも頭の中、一回調べてもらった方がいいんじゃないかな。
すると父親がいきなり立ち上がり、大きく手を振って誰かを呼び寄せる。
やってきた男も嬉しそうに顔を綻ばせていた。
「よぉエドワード!!お前エドワードだろ!?おいおい久しぶりだな!」
「やっぱりその髪の毛の束感はヒューズ!君も変わらないね!ちなみに最後にお風呂に入ったのはいつなんだい?」
「聞いて驚けよ?なんと4ヶ月前だ!笑っちまうだろ!?」
「あっはっは!医者なのに不潔なんて最高に面白いよ!」
いやどう考えても最低だよ。
暑苦しく父親と抱擁しているこの男性が、どうやらヒューズ先生のようだ。
濃い髭面に肌は黒く焼けていて、ボサボサの髪にサングラス。医者というよりギャングのように見える。
というかなぜに室内でサングラス。
若干引きながら相手の顔を見ていると、目線を合わせるように大きな身体を必死に縮ませてしゃがみこんできた。
「おお、この嬢ちゃんがレイちゃんか!別嬪さんだなおい!」
「可愛いでしょ!僕の天使!!」
「がっはっは!キョトンとしてるぞ!珍獣か!?」
キャ、キャラが濃い。
がっはっはと大笑いする大男に頭を乱暴に撫でられる。
呆然と口を半開きにしていると、ヒューズさんはしみじみと呟いた。
「エマちゃんも喜んでるだろう?自分は不治の病に侵されてるっつのに命の危険を顧みず産んだ子だからな…。でもそんなちっこいと踏み潰されちまうぞ嬢ちゃん!」
多分おじさんが大きいだけだと思う。
だが人見知りな私がそんな軽口を叩けるわけがなく、されるがままに頭を撫でられる。(いやむしろ縮められている?)
「あ、そうだヒューズ。エマのことなんだけど。」
「お前も無理はするなよ。エマちゃんの不治の病のこともあるのに自分の子もなにかの病気かもしれないなんて、気が気じゃないだろう。俺だってそうだった。大丈夫だ!俺が必ず原因を見つけてやる!」
「いや、そのエマの病気のことなんだけど。……ね、きいてる?」
全然人の話を聞かずに父親の背中を叩きまくるおじさん。
この人母親が不治の病だったこと知ってるのか。
そんな中トイレから戻ってきた母親が声をかける。
「ふふふ。お変わりないですね。ヒューズさん。」
「おー久しぶりだな!相変わらずこいつにはもったいないくらい………え。」
「言うのが遅れてごめん。エマの病気が治ったんだよ!もう今はすっかり元気なんだ!」
「また会えて嬉しいわ。」
両親はにこやかに挨拶をするがおじさんは固まっている。
確かに不治の病が治るなんて、お医者さんはフリーズしちゃうよね。
「治った……?不治の病が……?」
「信じられないよね!僕もこの奇跡に1ヶ月くらい神様に感謝の舞を踊り続けたよ!」
「それでエドワードったらぎっくり腰になったのよ?」
「それは言わない約束でしょ!?」
人前でイチャイチャするな恥ずかしい。
そんなことを思いながらドン引きされていないかヒューズさんの方へ視線を向ける。
「…………だ。」
(え……。)
小さく何かを呟いたあと、何事もなかったかのように両親に声をかける。
「おいおい本当かよ信じらんねぇ!よかったなエマちゃん!あとで詳しく、なにがあったのか聞かせてくれよ!」
陽気に両親の両肩に手を置き大笑いしているが、さっき一瞬変な間が空いたような。
なんとなく後ろへ少し移動すると、まるで私の動きを見ていたかのように一瞬でこちらに視線を向けられ動けなくなる。
「さ、とにかくだ!嬢ちゃんの診断を始めようじゃないか!だよな?」
悪意のカケラもないその笑顔に、とっさに微笑み返す。
するとこめかみの辺りが一度大きく痛み、思わず顔をしかめると同時に悲痛な声が頭の中でこだまする。
「どうしようもなかったんだ!仕方ないだろう!?」
「どうやっても帰ってこないんだ!」
「誰か、あの子を助けてくれ!」
なんか………嫌な感じ。
同時に私は自身の手を強く握った。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ついに王都に到着したことにより物語が大きく進む……予定でございます!笑
また王都組視点、居残り組視点と出来る限り交互にお話を進めていこうと思っておりますので、違いも踏まえて楽しんでいただければと思います!
今後もよろしくお願いします^_^