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転生者は、口走る

43000PVありがとうございます!


またブックマーク登録いただきましてありがとうございます^_^

多くの方に読んでいただけて嬉しいです!


物語も進んで参りますので、よろしければブックマーク登録、評価、感想などお待ちしております!


「ほふぇ?(なんて?)」


ご飯を口に含みながら母親の言葉を聞き返す。夜渡りをアルと見た誕生日から数日、妖精たちも普段通りになり家族全員で夕食を食べている。


「だからねレイちゃん、一度病院に検査しに行ってみない?」


そんななか投げ入れられた爆弾がこれだ。


言っておくが私は極めて健康体。

具合悪いところもなければ怪我をしているわけでもない。

一体全体何のために病院に行かねばならないのか。


そんな私の疑問を察したのか、父親が話を切り出した。


「レイちゃんは妖精がまだ見えていないだろう?」


「あ、この間アルに見せてもらった。」


「ファッ!?え!?いつのまに!?ま、まさか2人きりじゃないよね!?かといって最近見かけるあの色白くんがいても許せないんだけど!」


「黙りなさいエドワード。それじゃあ妖精が見えたのね?」


「うん。なんか魔力をコーティングしてもらってなんやかんやで見せてもらったの。すごかったよ妖精。でもアルがいないと見えないんだけど。」


「腹立つけどレイちゃんが微笑んでる!!愛おしい!」


「もう一度言うわよ、黙りなさいエドワード。」


なんか言ってるけど無視してあの光景を再度思い出す。妖精の夜渡りの風景、そして1匹の妖精の変顔。

どれもが夢のような出来事だった。

そういえばあの後私が妖精のことが見えたことがあの1匹の妖精から広まり、自分たちの姿を見て欲しくてあれから毎日アルに集っているらしい。


「ああああああ!毎度毎度うぜぇ!来んな羽虫が!焼き殺すぞ!」


「なんか楽しそうっすね。オレも混ぜて欲しいっす!!」


「なんで便乗してくんだクソ蛇が!地に沈め!!」


「ぶべらっ!」


私からすれば一人で青筋を浮かべ、全力で逃げ惑うアルを笑って見ていたのだが、やはりふと申し訳なく思い、妖精さんたちに止めるよう伝えてみたことがある。

だが、


『アルはネ!レイちゃんのためにネ!もっと長時間ミーたちを見せられるように特訓を頑張ってるカラ、ミーたちは応援してるだけだモン!』


とか可愛いこと暴露してくれたから今は放っておいている。応援なら無下にするのは失礼だろう。


「でもだったら尚更、どうして今は見えないのかしら…。」


おっと話が逸れた。


頭を掻きむしっていた父親は母親の言葉に同意するように大きく頷くと、咳払いをして言葉を続ける。


「レイちゃんの体内の魔力に関してなにか理由があるんだ。やっぱり病院に行って検査した方がいいよ。」


体調にはなんの問題もないが、親からすれば気が気ではないのだろう。私も自分の子供がそうなら心配するだろうし。


「けどこの村の病院で検査して分かるのかしら…。」


「そうだね…できるだけ大きな病院で診てもらったほうがいいかもしれない。」


そういえばこの世界は保険とかあるのだろうか。治療費がかかると大変そうだ。せっかく母親が治ったのにまた病院通いとか嫌だな。

漠然とそんなことを考えてご飯を口に放り込む。

同時に何かを決意したように両親はテーブルに手をついて私を見つめた。


「「レイちゃん!来月は王都に行こう!/行きましょう!」」


「…………え。」


後半話を全く聞いていなかった私は、その衝撃にご飯を噛まずに飲み込んだ。





























「旦那ー、どうっすか?効果あるっすか?」


「悪くねぇな。たまにはお前も役に立つじゃねぇか。」


「えへへ。いつでも言って欲しいっすよー。」


翌日、場所は関所。

クラウスさんたちが剣術の特訓を行なっているため、その光景をアルと白玉と並んで眺めていた。


「えーなになに?なんの話?」


「旦那が妖精に纏わりつかれてウザかったみたいなんで、オレの溶解液を旦那にかけたんすよ。そしたら妖精が綺麗に散って行ったんで万々歳っす!」


「……大丈夫なの?妖精が嫌がるってだいぶ問題ありそうだけど。」


「ミスト状っすし、特に問題ないっすよ?あ、ネェさんにやると溶ける可能性があるんで試せないっすけど。」


「大丈夫じゃないじゃん!ダメなやつじゃん!なにしてくれてんの白玉くんよ!アル!今すぐ洗い流してきなさい!」


「はぁ!?平気だって行ってんだろうが!それにあいつらが使った風呂場なんて汚くて入りたくねぇよ!!」


「わがまま言うんじゃありません!」


私がアルを引っ張り、アルが座ったまま踏ん張り。

なんとも奇妙な言い合いをしていると、私たちの叫び声に反応したのか鍛錬を終了させた二人組、クラウスさんとリチャードさんがこちらにやってくる。


「どうした?喧嘩か?珍しいな。」


「その声はクラウスさん!なんとか言ってやってくださいって……わーお…」


汗に濡れた髪の毛を搔き上げる仕草に口を開けて見惚れてしまう。

改めてイケメンの尊さを肌で感じ、思わず両手で拝んでしまった。


「はっはっ!拝まれてるぞクラウス!罪な男だな!」


「?私を拝んでもなんのご利益もないぞモブロード嬢。」


いえいえ、朝から良いものをありがとうございます。


クラウスさんのイケメンぶりを讃えようと口を開くと、後ろから感じる殺気。

同時に凄い勢いで真横を通り過ぎる何か。

バチィンと音が響き渡り、リチャードさんと私が呆然とするなか、クラウスさんが片手で受け止めたのは…なかなかのサイズの石だった。


「なにするんだアルフレッド。」


「はぁ?気安く名前を呼ぶんじゃねぇよ白髪野郎!ちゃんと真面目に鍛錬してんのか確認してやったんじゃねぇか!!感謝しろクソがそして死ね!!」


「そうかそれは有難い。君が応援してくれるなんて実に嬉しいことだな。」


「いや応援してないです。あの子思いっきり死ねって言ってます。」


というか石をいつ投げたんだよ。

あのスピードで当たったら本当に死ぬぞ。

そんな私の視線をガン無視して前に立ち、クラウスさんを威嚇するアルは盛大に舌打ちをした。


「ッチ、流石にしぶといやつだ。」


「旦那、オレも参戦するっす。」


「よしテメェは上から攻めろ。オレは左右から攻めて仕留める。遠慮すんなよ首を狙え。」


「了解っす。」


「リチャードさん物騒なんで一緒にあっちでお茶でもしませんか?」


「そうだな。だがお嬢さんがこっちに来ると」


「あ"!?どこ行くつもりだクソモブ!!そばにいろって言ってんだろうが!テメェも調子乗んなよ筋肉ゴリラが!!その無駄筋肉全部剥ぎ取ってやろうか!」


「ほら俺に飛び火してくるから、あの少年に護られてあげなさい。」


「今行くとと死にそうなんで行きません。」


「っ!!!クッソ!わかったよ!」


イラついたようにもう一度クラウスさんを睨みつけ、私のところに近づいてきた。


「はっはっは!お嬢さんがいれば少年の暴走を止められるな!」


「別に暴走なんてしてねぇよカス!」


からかうようにアルに近寄ったリチャードさんは、案の定アルにスネを蹴り上げられた。


あーあ、無言でしゃがみこんだよ。

あれ絶対痛くて声出ないやつだわ。


スネを蹴ったことで幾分か気分が晴れたのか、満足したように鼻で笑う。


「うわぁ…黒い笑顔だわぁ…。」


「あ"!?んだよ文句あんのか節穴モブ!」


「んー文句というか……その顔もカッコイイけど、普段の表情の方がかっこいいと思うよっていう一個人の意見。」


真顔で率直な言葉をアルに向けると、理解できなかったようでぽかんと口を開けて私を見つめてくる。そして何も考えず私は思ったことを口走った。


「ちなみに今の表情は可愛くて好き。」


「っす!??!?!?!!?!う、あ、ぐ、だぁああああああああああ!!」


いきなり言語困難になり、信じられないくらい顔が赤くなったアルは頭を抱えながらしゃがみ込む。

するとその動きに連動するように大地が震えて地面が盛り上がる。

土壁のように彼を取り囲むと気づけば四角い大きな土の箱が完成していた。

しかもアルはあの中に入ったまま。


……まさか引きこもる気か?


「ネ、ネェさんアンタって人は恐ろしいっす!自分の言葉の威力を考えるべきっす!」


「え?私のせい?私のせいなの?」


「どう考えてもそうだな。あの様子だとおそらくしばらく出てこないぞ。」


「本当に効き目抜群だな…。」


そ、そんなに?

引きこもっちゃうくらい可愛いって言われたのがショックだったの?

男の子のプライドえぐっちゃった感じ?


幼馴染をこのまま引きこもりにさせたら目覚めが悪い。私は慎重に土壁をノックしながら言葉を続けた。


「あ、アルくん……?可愛いって言ったけどあれ嘘だからね?いや嘘じゃないけど、いつもはカッコよくて頼りになるからそのギャップがいいというかなんというか…」


「ネェさん!!それやばいっす!もっと出てこなくなるっすよ!」


「なんで!?」


「そうだな……彼の気を紛らわせる話題はないのか?このままだと大地が裂ける。」


「えええ!!そんなに!?」


クラウスさんは平然とした顔で言い放つが、確かに至る所から兵士さんたちの悲鳴が聞こえる。

しかもクラウスさんは冗談を言わない人だ。これは本気でマズイ。

頭をフル回転させてなにか話題はないかと考える。まだアルに伝えてなくて、アルも興味がありそうで気を紛らわせそうななにか……なにか……。


「そ、そういえば私!来月王都に行くんだよねー!」


あまりにも思いつかなすぎて全然関係ないこと話しちゃったよ!私のバカ!!


しかし焦った私とは裏腹に、シン………と静まり返る現場の空気。

クラウスさんとリチャードさんは目を見開き私を凝視している。


え、なに。なにこの雰囲気。


居た堪れない空気に思わずキョロキョロすると、土壁が壊れる音が鳴り響く。

よかった、なんとかこれで大地が裂けずにすみそうだ。

ほっと息を吐きアルを引っ張り出すために壁の穴を広げると。


「王都に行く……だと?」


凄まじい形相の幼馴染が私を睨みつけていたため、静かにボロボロと崩れ始めた土壁の補強に取り掛かった。

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