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転生者は、誘われる②

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頭を撫でられながら暴言を言われるという貴重な経験を積んだところで話を戻す。


「なんで夜?……肝試しとかだったらいかないよ?」


「は?ちげーよ!肝試しなんか誰がやんだ!」


「夜出かけるとなるとそれくらいしか思いつかない。」


「その偏った知識をどうにかしろ!とにかく肝試しなんかじゃねーし……あ"ー詳細は聞くな!」


詳細は伝えられないが、一緒に来いと。

怪しすぎる。


そんな思いを込めてアルに視線を送ると焦ったように頭を叩いて来た。痛い。

この様子じゃなにをするのかも教えてくれないだろう。


(まぁアルに限って危険なところに忍び込もうとか、そんなことしなそうだし。)


それに彼の方から誘ってくるのは今までなかったことである。

可愛い幼馴染のはじめてのお誘いを断るわけにはいくまい。


そう考えた私はアルに親指を立て、満面の笑みで答えた。


「分かった!じゃあ私の代わりにあそこにお香を置いて、さらにアルが夜食を作って来てね!できれば玉子焼き多めで!」


「なに勝手に条件増やしてんだ!!張り倒すぞ!!」


「いやーこの間のお弁当が美味しかったからつい……。」


「っ!本当に図々しいなテメェは!」


「えへへ。まぁ夜食はじょうだ」


「おかずは適当にすっからな!文句言うなよ!」


「……あれ?結構ノリノリ?」


なぜか上機嫌になったアルはもう一度私の頭を撫でた後、お香を持って牧場へと足を踏み入れる。するとさっきまでおとなしかった妖精たちが一気に騒ぎ出した。


「…確かにめんどくせぇな。おい、ぜってぇに入ってくんなよノロマ。」


「アルも黒焦げにならないように気をつけてね。」


『アルが入っタ!!』


『砲撃、ジュンビ!』


「なんか砲撃準備とか言ってるから。」


「は?…アレのことか。」


アレ?アレってなに?


アルに問いかけようとしたその一瞬で彼の姿が消え、代わりに私の顔面に何かがぶつかって来た。


「ごふっ」


「ッチ、またか。」


「がほっ」


なにがぶつかって来てるのか見えない。全く見えないが、痛い。そして何事もないかのようにしてスイスイと移動していくアルが憎い。


『アー!当たらないヨー!』


『ナンデダー!』


「ねぇ、アルが避けたやつ多分全部こっち来てるんだけど。牧場入ってないのに私がくらってるんだけど。というか結構痛いんだけどなにがぶつかって来てるの?」


『モーイヤダ!超特大を用意するのダー!』


「ねぇ聞いてる?この流れだとそれ絶対私の方に来るよね?せめてなにが、どこから飛んで来てるのか教えて!」


「さっきからうるせぇぞクソモブ!!!なに騒いでんだ!」


「いやいや巻き込まれてるんだってば!!大変申し訳ないんですが!早くお香焚いていただけると有難いです!!!」


「あ"?ッチ……仕方ねぇな。」


「なにとぞ!」


その私の言葉にスピードを上げたアルはあっという間に大木にたどり着き、お香を木の麓に置いて火をつける。最後の方全く見えなかった。


『ワァ……いい匂イ……』


『眠くなっちゃうのダ……』


妖精たちもこの匂いを嗅いで落ち着いてきたのか、だんだんと声が聞こえなくなってきた。眠りについたのだろうか。キョロキョロと辺りを見回しながらこちらにも戻ってきたアルは、興味深そうに手の匂いを嗅いでいる。


「終わったぞ。随分甘ったるい匂いだな。」


「なんでも幸福の花の蜜の匂いらしいからね。おかげさまで妖精さんたちは静かになったよ。」


「幸福の花ねぇ……。」


「そのくらいの量だと人間には効果はないけど、ポーションに調合すると幸せな気分になれる効果がつくらしいよ。」


「なんだそれ!危険な薬じゃねぇかよ!」


確かに。


「それよりさ、一体何が飛んできてたの?めちゃめちゃ痛かったんだけど。」


「あ"?魔力の塊。死ぬことはねぇが当たりどころが悪かったら骨ぐらい折れるかもな。はっ、良かったじゃねぇか無傷で。」


「なぜ笑った。笑い事じゃないでしょそれ。」


なんとでもないように会話をしていると、黒焦げになっていた父親からうめき声が聞こえてきた。


「あ、お目覚めかな?」


「ならオレは帰る。」


「帰るの?」


「絡まれると面倒クセェ。」


早足で彼の家に続く道へ足を運ぶアルを見送るため後ろからついていく。

すると前を向いたまま、アルはボソッと呟いた。


「おい。今日の夜、忘れんなよ。」


「あ、うん。何時にどこで待ち合わせる?」


「いつも通りオレが迎えに行く。テメェの部屋の窓を開けとけ。」


「え?私の部屋?でもあそこは…」


「いいか!忘れて寝るんじゃねぇぞ!!寝てたら引きずって行くからな!分かったな!」


そう吐き捨てて凄まじいスピードで走り去って行くアルを、間抜けにも口を開けたまま見送る。




「私の部屋、二階にあるんだけど。」




窓を開けてても意味ないよね?


後ろでモゾモゾと起き上がる父親の気配を感じながら、首を傾げた。
























その日の夜。


両親はすでに眠りにつき、私はというと一応アルに言われた通り自分の部屋の窓を開けて、外の景色を眺めていた。

ちゃんとこの部屋からの景色を見たことはなかったが、なかなか良い景色ではないか。


自然が多くて、前世にあったような高層ビルは見当たらない。星も綺麗に見ることができる。

あいにく星座には詳しくないから、前世と同じものがあるかどうか確認することはできないのだが。


「暇だなー……。」


妖精さんたちはもう目が覚めただろうか。

いつもならあの子たちの声が聞こえてくるのに、今日だけはなんの音も聞こえてくることはない。

それが普通なはずなのに、なぜか取り残されたような気がしてしまうのはなぜだろう。


「あーあ…。」


例年であればこの静けさに耐えられずすぐに眠りについてしまうのだが、アルと約束した手前そんなわけにはいかない。


「アルまだかなー……。」


独り言はもう一生治らないだろう。

今の私はただの変な人である。


ぼーっと窓の外を眺めていると、かなり強い風が吹き髪の毛が乱される。

うえ、口に入った。


顔に張り付いた髪の毛をよけていると、聞きなれた声が耳に入ってきた。


「よし起きてたな。」


「……アル?」


リュックを背負って窓枠に手をかけているアルに驚愕する。

外から見られたら泥棒に勘違いされるよ君。


「……ここ二階だけど?」


「あ"?知ってるっつの。お前の両親寝てんだろ?だったらここしかねぇじゃねぇか。」


「配慮してくれるのは有り難いけど、アルも極端な思考の持ち主だね。」


アルといつも通り会話をしていると心が軽くなる。思ったより一人でいたことが心細かったようだ。


「とりあえず部屋入る?そこ危ないでしょう?」


アルに部屋に入るよう促すと、彼は一瞬外を見るとゆっくり首を振った。


「もうすぐ時間だからな。もう出るぞ。」


「時間?」


私の問いかけに頷くとアルが私に向かって手を伸ばした。

なんだかよく分からないけど、まぁ…いいか。


「窓から外に出るなって怒ってたくせに。」


「うるせぇ!今回はオレがいるからいいんだよ!行くぞ!」


アルに言われるがまま手を掴むと、一瞬で部屋からある場所へと移動した。

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