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転生者は、思わぬ訪問者を歓迎する

17000PV、そして3000ユニーク超えありがとうございます!!


ブックマーク登録などもありがとうございます^_^


今後も評価、感想などなどよろしければお願いします!


泥だらけで家に帰ったら怒られるんじゃないかとヒヤヒヤしながら戻ったが、どうやら留守にしているらしい。

娘を置いてどこに行ったんだ全く。


だがこれ幸いと両親が帰って来る前に証拠隠滅をしようと考えた私は、怒られる場合巻き添えにしようと考えて連れてきたアルをリビングに案内しシャワーを浴びることにした。


泥まみれになった効果か肌がスベスベになった気がする。


「いえーいおまたせ。証拠隠滅終了だよ。」


「そうかよ。そりゃよかったな。」


「アルもシャワー使う?」


「顔に少し跳ねた程度だから必要ねぇよ。お前と違ってな。」


なんで2時間くらい泥遊びしてそんな綺麗な状態でいられるんだ。解せぬ。


アルの目の前の椅子に座り私もお茶を一気飲みすると、ふとした疑問が私の脳裏をよぎった。


「そういえばなんで私が妖精牧場にいるって分かったの?」


「お前の母さんに聞いた。………ついでにリハビリで父親と出かけてくるからっつう伝言も頼まれた。」


「……。」


「うるせぇ黙れ爆ぜろ!」


「なにも言ってないし、爆ぜろとはまたダイナミックだね。」


「視線がうるせぇ!伝言伝える前に喧嘩売って来たのはてめぇだろうが!」


「それを言われちゃうと何も言えん。……まぁ楽しかったでしょう?」


ッチ。


これ絶対に認めない気だな。


相変わらず素直ではない幼馴染に苦笑しつつ、アルと自分のコップにお茶を注ぎ足す。


「それで?何かあったの?」


「あ?」


「そもそもは目的があって家に来たんでしょう?」


ぐらり。


金色の瞳が動揺を隠しきれず、大きく左右に揺れ動いた。


なるほど、確かに目は口ほどに物を言う。

彼は間違いなく私に用があるのだろう。


「おじいさんの具合が悪くなった?」


「うぜぇくらいピンピンしてる。」


「じゃあお悩み相談?」


「てめぇに相談するなら雑草に話しかけた方がマシだ。」


「あれおかしいな視界が歪む。」


視線が下がり懸命になにかを言おうとする姿に一抹の不安を覚える。そんなに言いにくいことなのだろうか。


「あ、もしかして私にしばらく会えてなかったから寂しかったとかそういう」


「はぁ!?!?おまっ!誰がっ!!この脳内花畑が!!」


うお、若干食い気味でキレた。


場の雰囲気を少し和ませるために言った冗談で、彼は怒りで顔を真っ赤にして凄まじい勢いで机を叩いた。


「悲しいなー。私は寂しかったのに…そんなに怒らなくても。」


「……別に怒ってるわけじゃねぇ。」


嘘つけ。そんなに真っ赤な顔してるくせに。


その思いを視線に込めてアルを観察すると、動揺したように目が左右に揺れ動き落ち着きがない。

そしておもむろに椅子から立ち上がり玄関へと歩き出してしまう。


「ちょいちょい、まだ答え聞いてないよ。」


「帰る!」


「えー拗ねないでよ。私が悪かったって。ね?」


「しつけぇ!!」


完全にスイッチが入ってしまったアルは私の引き止めにものともせずズンズンと玄関に歩いて行ってしまう。

あと一歩でたどり着くというところでアルと扉の間に体を滑り込ませる。


「え、帰っちゃうの?ほんとに?ちょ、もう少しゆっくりしていってよお兄さん。」


「うるせぇ!まとわりつくな!離れろ!」


「もうなんでそんなに怒るの。図星だったの?」


「っ!!」


ぴたりと一瞬動きを止めて首から頭のてっぺんまで真っ赤になったアルの姿を見て、思わず口をぽかんと開けてしまう。


「え、本当に?」


「なんだっていいだろうが!!!帰る!もうぜってぇに帰る!!」


え、なんで否定しないの?どういうこと?本当に私に会いにきただけ?


状況がイマイチ読み込めていない私を少し乱暴に押し退け玄関のドアノブを握ったアルは、無動作に扉を開けて出て行ってしまう。


……かと思ったが。


彼は扉を開けたままぴたりと動かなくなってしまった。


「?アルどうし」


「へぇ!本当にずっと一緒にいるんだね!!」


完全にフリーズしてしまったアルに違和感を覚え声をかけると、私の声に被せてなんとも愛らしい声が聞こえて来た。


あれ、この声は。


今度は私がアルを押し退け玄関に顔を出す。

おいとか言う声が聞こえたが今はそれどころではない。

玄関の向こうには、キラキラとした太陽の光の中から眩い笑顔をこちらに向けてくる天使がいた。


「え、エミリーちゃん!」


「やっほー!モブちゃん!遊びに来たよ!」



可愛い女の子が私を訪ねにきたというこの事実。

テンション爆上がり、待ったなしである。
















◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇













「ささ、粗茶ですが。」


「わぁ!ありがとうモブちゃん!エミリー、喉乾いてたんだ!いただくね!」


ああ、ご馳走様です。


猫舌なのかお茶をふうふうと冷ましながら飲むエミリーちゃんに思わず頬がだらしなく緩む。なにこの子やば。


そんなのどかな雰囲気に全く馴染もうとしない少年がここに1人。


「おいモブ。オレにも入れろ。」


「おーけー我が命にかえても。」


なんでそんなに機嫌が悪いんだよ君は。


あんなに帰ると豪語していたのにエミリーちゃんが我が家に来た途端、こめかみに血管を浮き出して可愛い天使に全力の警戒をしている。

それをものともせずアルに対して笑みを返すエミリーちゃんはメンタルが鋼だと思う。


しょうがないから私がアルのコップにお茶を注ぎ足していると、エミリーちゃんが思い出したかのように口に手を当て言葉を紡ぐ。


「ねぇねぇ!本当に2人は仲良しだよね!いつから一緒にいるの?」


「うーんそうは言ってもエミリーちゃんと会った時とほぼ同時期くらいだよ?そう考えるとまだ会ったばっかりだね。」


「へぇ!そうなんだ!すごく息ぴったりで羨ましいなぁ!」


他愛もない女子の会話に花を咲かす。やはり女子のお友達がいるとお茶とお菓子が進む。アルは早々に女子トークの内容に興味を失ったようだが、一向に私の側から離れようとはしなかった。


「あ、そうそう!そんな2人にね、お誘いがあるんだ!」


「お誘い?」


ある程度盛り上がりを見せたところでエミリーちゃんが思い出したように手を叩き、私に微笑みかける。


「今度村でお祭りをするから絶対参加してほしくって!」


「へぇ!お祭りなんてしてるんだあの村。知らなかった。」


「クラウスも2人を誘ったらいいんじゃないかって言ってくれてね!モブちゃんの家の場所教えてくれたの!」


あの人さらっと個人情報漏えいするよね。

まぁエミリーちゃんだからいいけど。


そんな風に思っているとふとした疑問が頭に浮かんできた。


「エミリーちゃん、クラウスさんと仲良いの?」


「あ"?なんでそんなこと気になるんだよ。」


「お、ちゃんと起きてたんだアル。」


「うーん仲良いというかクラウスはエミリーの騎士みたいなものだから!」


「「は?」」


私とアルが同じトーンで聞き返すと、エミリーちゃんもニコッと笑って続ける。


「だってエミリー、聖女の生まれ変わりだもの!そもそもは王都からの命令で、エミリーを守るためにクラウスがこの村に来たんだよ?」


(天使だとは思っていたけど、まさか聖女の生まれ変わりだとは。)


思わずエミリーちゃんを拝むと横からすかさずチョップを打ち込まれた。

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