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転生者は、魔女と過ごす〜5日目〜

1500ユニーク超えありがとうございます!

また評価、ブックマーク登録ありがとうございます……!!


今後ともよろしくお願いします( ^∀^)

その光景を見て、血の気が引いた。


こちらに引っ越してきてからほぼ毎日顔を合わせている幼馴染を迎えに行くため、朝ごはんを軽く済まし外へ出ようとしたその時。


ガタンッ


(なんの音だ?)


大きな何かが倒れる音がジジイの部屋から聞こえた。最近では起き上がることも難しくなってきていたが、オレが他人と出かけているということが酷く嬉しいようで。


「ワシのことは放っておいて、レイちゃんを迎えに行ってあげなさい!ちゃんと射止めてくるじゃぞ!大丈夫じゃ!お前さんにはワシの血が流れているからのぉ!」


とか意味が分からないことを永遠と話し続ける程度には気力があったようだから、気にせずに過ごしていたのだ。それにアイツの話ではまだ時間に余裕があると聞いていた。


だから、タカをくくっていたのかもしれない。


「………っ!おい!!ジジイ!!」


まさか部屋の中で、血を吐いて倒れているとは思いもしなかった。


ジジイの背中をさすり身体を楽な態勢に移動させ、額には冷やしたタオルを置いて熱を逃がす。オレは医者でもなんでもない。この状況を見て現実を理解できないほど愚かでもないつもりだ。ここに引っ越す前であれば、ここまでかと引き裂かれそうな思いにフタをして静かに受け入れようとしていただろう。


それでも。今は。

この状況をどうにかしようと足掻いてくれている幼馴染の存在を知ってしまったから。


「ふざけんなよジジイ…!こんなことで死にそうになってんじゃねぇよっ…!オレたちの努力を無駄にしたら許さねぇからな!」


どうしたって諦めることができないのだ。


視界の端で妖精が飛び回っているのが見えた。恐らく魔力の乱れを感じて見にきたのだろう。ふと時計を見れば、いつもならあの幼馴染(バカ)が寝癖全開で起き上がってくる時間帯だった。


(今日は…行けねぇな…)


王都から持ってきた最後の薬を砕き、ジジイに飲ませながら妖精に視線を送ると。



妖精は二回ほど頷くように動き、一瞬で姿を消した。








































「………あ?」



気がつけば外の景色が既に明るくなっていた。


なんとか1日乗り越えることができたらしいが、またいつあのようになるか分からない。手元の薬はなくなってしまったため、次発作が起きれば……今度こそ助けられないだろう。


静かに眠る様子を見て、起こさないように部屋の中に散らかる看護道具を整頓しようと手を伸ばす。

すると。



トントン。



玄関から控えめなノック音が聞こえた。


(………誰だ?)


時刻は朝6時。

既に活動し始めている奴もいるかもしれないが、ここに訪れそうな物好きは思いつかない。


(強盗…か?……流石に痺れるな…)


ロクに寝ていない身体で魔法を使えばガタがくる。だが黙ってやられるわけにもいかない。仕方なく玄関に掛けておいた魔法陣を発動させるため魔力を込める。実際に発動させる気は今の時点ではないが、これを見れば大抵のやつは逃げ帰るだろう。



トントン。



(ッチ………しつけーな…。)


魔法陣を発動させているのに逃げないとは。

相手も魔法を使えるのか?

…それとも魔法陣があっても突っ込んでくる馬鹿か?


(前者なら厄介だが、そんなやつなら玄関から入ってくることはなさそうだ。)


魔法をぶっ放して、すぐに戦闘になるはず。

後者に至ってもだ。分かりやすく巨大な魔法を設置しているため、どんなに愚かな一般人だったとしても危険なものだと本能的に察するはずだ。


(アイツみてぇに見えてなかったら話は別だが。)


思いついた一つの可能性に思考が止まる。


(まさか…な。)


トントントントン。


「やっ……らを…爆発……おうか…」


(そのまさかかよ!)


小さく聞こえた声は間違いなく、あの少女のものだ。しかも不穏な言葉も聞こえた。

なにするつもりだアイツ。

今まで身体が重かったのが嘘のように立ち上がり、彼女を迎えるべく扉を思いっきり開けた。







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







トントン。


私、レイ・モブロード。

現在アルの家の前にいます。

時刻は明け方…本来ならあまり褒められた時間帯ではないが、緊急事態のため大目に見てほしい。


『なんで出てこないんだろうネ!』


(警戒してるんでしょう。)


私だったら居留守を使う状況だもんな。

それでもワンダさんからもらったこのいいものを渡すため、なんとしても扉を開けてもらわなければ。そう思い反応を待つも、人の気配すら感じない。


(もしかして寝てるのかな…?)


『アー!レイちゃん!魔法陣!アブナイ!』


(よし起きてる。)


魔法陣があろうが知ったことか。

きっとアルのことだから発動させる気はないだろう。発動したらその時だ。気にせずノックを続ける。それでも一向に出てくる気配はない。


「やっぱりこの扉を爆発魔法でぶっ飛ばしちゃおうか。」


『いつでも出来るヨ!』


思わず口から過激発言が飛び出すのと同時に、もの凄い勢いで開いた扉に額をぶつけしばらく悶えることになったのは自業自得ではないと思いたい。












魔女の家ではないが、5日目開始。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








「痛い……。」


「なにしに来たんだお前はよ…。しかも爆発とか言ってたな?まさかオレの家壊しに来たわけじゃねぇよな?」


「マ、マサカ…ソンナワケナイジャナイデスカ。」


(やべ聞かれてた。)


誤魔化すようにアルに冷たいタオルを借りた額に当てる。呆れたように言い放つ彼の表情はたった1日でかなりやつれたように見えた。


「ワンダさんからおじいさんが大変だって聞いて、今日はこれを…」


ワンダさんに渡されたポシェットから、紅く光り輝く小さな種を取り出す。

それを見たアルは驚きで固まってしまった。


「おまっ…それ!!」


「やっぱり知ってる?」


「当たり前だ!それは……()()()()()()じゃねぇか!!!」


「ご名答。」


そう、アルの言う通り。


ワンダさんから譲り受けたいいものとは、()()()()という花の種だ。

……なんとなく名前はどこかで聞いたような気がするが、この際どうでもいい。

しかも種だけでは効果は発生しないため、早急に取り掛かる必要があった。


「なんでお前がそんなもの!」


「あとで説明するから……さぁ、みんな。出番だよ。」


「お前なにする気だ…?」


「なにって……そりゃ決まってるでしょうお兄さん。


















ガーデニングだってばよ!」


『ハイハーイ!レイちゃんのためなら頑張っちゃうヨ!』


軽く決めポーズも決まったところで。


呆然とするアルの頬を軽く叩き、おじいさんのところまで案内をしてもらうよう促した。



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