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転生者は、協力を仰ぐ②

5000PVありがとうございます!!

令和になりましたが引き続き更新していきますので、よければブックマーク、評価などお待ちしてます!


「それで?なにか手伝えることがあれば聞くが。」


お茶会もある程度落ち着き、お腹も膨れて満足していたころにクラウスさんは颯爽と切り出した。


「ああそうでした。実はクラウスさんにお伺いしたいことがあるんです。」


当初の目的を思い出した私は背筋を伸ばし、気持ちを引き締めてクラウスさんへ告げる。


「クラウスさん、ゴルゴンという魔物を知ってますか?」


「ああ勿論。」


なんとでもないように答え、彼もお茶に手を伸ばし口に含む。


「そのゴルゴンの臓器が欲しいんですけど、持ってたりしないですか?」


「ごふっ」


率直に言いすぎた。

あまりに衝撃だったのかクラウスさんは珍しく、眉間にシワを寄せる。


「魔物の臓器を欲しがる女子がいるとはな。」


「私だって好きで欲しいんじゃないですけどね。臓器っていってもアレですよ?ゴルゴンの肝だけ必要でして。」


「……そうか…それは…大変だな。」


「そうなんですよ。困っちゃってまして。」


「………少し待て。」


そう言ってクラウスさんは椅子の後ろにある本棚から分厚い資料を取り出し、おもむろにページをめくり始めた。


「なんですか?それ。」


「?ここ数年の犯罪者名簿だ。」


「なんでそんなもの見てるんですか。仕舞ってください。」


「生憎私は魔物の臓器は保有していないからな。だが……」


私の質問には答えず一定のスピードでページをめくり、目当てのものを見つけ私とアルにそのページを指し示す。


「この魔女に会いにいくといい。彼女ならゴルゴンの臓器ぐらい所持しているだろう。」


幼い子供たちに犯罪者を紹介するのかアンタは。


アルと私は打ち合わせもしていないのに、ほぼ同時に無言でお菓子の袋をクラウスさんに投げつけた。















◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇












「流石にキミたちだけで行けとは言わん。もちろん私も同行する。」


私たちからの無言の訴えを片手で受け止めたクラウスさんはそう言ったがどうかと思う。見せてもらったページを思い出すと家へ帰りたくなるほどだ。












収集の魔女、ワンダ。









その名の通り、自分が気に入ったモノをとことん収集する変わり者。求むものを集めるためなら強奪、殺人上等の手段を選ばない強欲な老婆とも言われている。犯罪者リストに名は乗っているが、彼女が作るポーションは一級品のため王都から存在を黙認されているそうだ。そしてなにより驚いたのは現在その魔女は村に住み着いており、我が家から20分程度で住処に到着するという事実だ。家近すぎワロタ。


『ワンダの家臭いからイヤダー!』


『レイちゃんガンバッテネ!』


妖精たちは魔女の家に行くと分かった途端、捨て台詞を吐いて一切喋らなくなった。というかそんな危険人物が近くにいるなら教えてくれてもいいんじゃないですかね。そう小声で彼らに話しかけても応答はない。アイツらどっか遊びに行ったな。ずるい私も連れてけ。


「こちらから仕掛けない限りなにもしない。好戦的なヤツではないから安心しろ。……だが、収集物に勝手に手を触れるなよ。豚にされるぞ。」


そんな人から譲ってもらえるんですかね?

そんな物に執着する人なら無理な気がするんですけど、気のせいですかね?


そんな私の気持ちとは裏腹に、すぐに古びた家にたどり着いてしまった。壁には蔦が絡まっており、窓ガラスはほとんどひび割れ、屋根の上には無数のカラスがこちらを見下ろしている。


雰囲気的には100%お化け屋敷だ。

非常に帰りたい。


「失礼。収集の魔女はいるか。」


無遠慮に扉をノックし始めたクラウスさん。不気味に響くノック音にビビりまくりの私は思わずアルに手を伸ばし、無言で訴える。その手に気づいたアルが訝しげに視線を向けてきた。


「………んだよこの手は。」


「怖すぎて漏らしそうなので、安心するために手を握らせてください。」


「もっと言い方あんだろうが!」


若干青白い顔かもしれないが、アルに引きつった笑みで語りかける。


「幽霊とか本当だめなの。もし出てきたらよろしく。私そこらへんで邪魔しないような失神しとくから。もし漏らしても自分でなんとかするから、退散するときはお願いだから置いてかないでね。」


「馬鹿かお前……」


アルがなにかを口にした瞬間に思いっきりドアが開き、心臓が止まりそうになる。その音にアルも警戒しながら私の手を握り、自身の後ろへ私を誘導する。


「フェッフェッ!久しいね色男!とっくに死んだかと思っとったよ!」


「悪いがまだ死ぬつもりはない。」


その扉から飛び出してきたのは、想像していたのとは全く違う魔女の姿だった。

老婆という表記があったからどんな人が出てくるかと思えば。


(めっちゃ美人………!!)


三つ編みにした黒い髪は腰ぐらいまでの長さがあり、額にゴーグルをつけ、豪快に笑うその表情は老婆ではなく30代ぐらいのお姉さんといった印象だ。


「おんや?連れがいるなんて初めてじゃないかい?」


「ああ……この子たちの件で貴方に相談がある。」


「あれまぁそうかい!フェッフェッフェッ!まぁお入り!!そこのガキどもも着いてきな!!ワタシの城へようこそ!」


魔女はそう高らかに言い放つとすぐに部屋のなかに姿を消した。クラウスさんも後を追うように部屋へと入って行く。

あのーすみません。

置いてかないでくれませんかね。扉の奥から獰猛そうな生き物の気配がするため近づけないんですけど。全身が避難警報を発しているんです。入ったら生きて帰れない気がするんですけども。


呆然と立ち尽くしていると、繋がれた手に力が込められて我に返る。

アルは反対の手で私の頭を掴み、小さい声で、だがはっきりと言葉を発した。


「……このまま手ェ握っててやるから。オレから離れんなよ、ビビり女。」


何があるか分からないんで、そうします。


その気持ちのまま頷くと、アルも軽く頷き手を繋いだまま未知なる魔女の家へと足を踏み入れた。


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