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転生者たちは、追い詰められる


いつもありがとうございます!!


またブックマーク、評価いただきありがとうございます^_^

長らく間が空いてすみません汗

皆様からのブックマーク、評価でとても励まされております…!!ありがとうございます!


今後ともよろしければ、ブックマーク、評価、感想などお待ちしております!!



扉が文字通り一瞬で砕け散った。

上から何かに押し潰されたように、あっけなく。


「クソッ…適当なもん置いていきやがってあの野郎…!」


急ブレーキをかけたアルの頭上で、なにかが崩れる音がする。

はっとして真上を見上げればすぐになにをすべきかを理解した。


「ア、アル!!」


「あ"!?なんだよ!!」


「う、うえ!!うえうえぇえええ!!」


「は!?上!?……げっ!!」


即座に下がり距離をとったアルには流石と言う他ないだろう。

先ほどまでいた場所には巨大な岩が落ち、私たちの上には見事にばっくりと大きな抜け穴が出現した。


「しょうがねぇ…あそこから出るしかねぇか…!」


「えぇ!?だ、大丈夫なのそれ!?」


「やってみるしかねぇだろ…!だがその前に…!!」


突然の外からの日差しのせいで目が眩んでいると、ふわりと浮かび上がった身体が勢いよくマザーさんたちごと後方へ放り投げられる。

盛大に尻餅をついた上にマザーさんとマリーちゃんに押しつぶされ、息が詰まった。


「そこにいろ!!動くんじゃねぇぞ!!」


「は、はいぃ!!」


私の返答に微笑んだアルは、正面へ振り返りざまになにかを爆発させて走り抜けた。

爆風にむせていると突如大きな断末魔が響き渡り、そのなにかが私の目の前に倒れ込む。


その巨体は、紛れもなく大蛇そのもの。


あまりの恐怖にマザーさんとマリーちゃんの身体を思わず強く抱き締めた。


『ーーーーーッ!!!』


その一方で地面を横滑りして大剣を拾い上げたアルは、洞窟内に響き渡るなにかの不気味な咆哮に負けじと大剣を構え全身に力を込める。

お約束のように私の髪飾りが光り輝き視界を歪ませると、次に目を開いた瞬間世界が一変した。


「ひっ……!!!」


いつのまにか数えきれない数の大蛇が首をもたげてアルの四方位を取り囲み、いつ彼を食いちぎってやろうかと舌を鳴らしていたのだ。


「まずはテメェらは始末しておかねぇとな…!!来るなら来やがれ駄蛇ども…まとめて相手になってやるよ!!!」


その言葉を合図に、蛇は一斉に飛びかかった。


太陽の日差しに照らされながら休む間もなく上下左右、あらゆる角度から流れるように続く大蛇たちの猛攻を全て受け流し、そして各々の急所を一撃で捉え、屠る。

アルが剣を振り回すたびに、屈強な鱗で覆われた巨体が次々に倒れていく。


「はぁっ、いい加減に、しやがれ!!」


息を切らしつつもアルが大剣から血を拭うころには先ほどまでの争いが嘘のように静まり返り、彼の周りには数多の死骸の山が築かれていた。


まさにあっという間の出来事だったが、彼が敵を倒す様は御伽噺のヒーローのようで、それでいて哀愁が漂う横顔が…なんというか。


「か、かっこいい…。」


「っ!?」


私の心からの感嘆の声を聞いたアルは、なぜか盛大にずっこけた。


「そんなところも素敵だよアル!」


「ちゃ、茶化すんじゃねぇクソモブが!!状況考えろ馬鹿!!」


「いやーごめん。ずっと我慢してたんだけどさ、改めて私の幼馴染すごいなって思ったらこう…ぐっときちゃって。あれ?私の幼馴染やばくね?かっこよくね?って」


「しつけぇよ!!もういい!!分かったから!!分かったから黙れ!!頼むからそこで大人しくしてろ!!」


顔を赤らめてこちらを振り返り、切実な様子で訴えてくるアルに渋々口を閉じる。

すると傘を回しながら私たちを観察していた誰かさんは実に素朴な疑問を私たちにぶつけてきた。


「なんなのアンタたち。番?」


「ちっっっっげぇぇぇんだよこの野郎!!!」


「なに逆ギレしてんのよ。」


「さ、さぁ?私たちはただの仲良しな幼馴染です。」


「……オサナナジミ。」


「…?…あの、えっと、」


ぽつりと呟かれた言葉は切なく悲しげで、思わず声をかける。

すると気を取り直したように回り出した黒い傘の下からお人形さんのように白く可憐なお顔が覗いて、小さなその口を開いた。


「まぁどうでもいいわ!!それよりも、随分と好き勝手してくれたようじゃない!?」


あれ、もしかしてこれはまずいのでは。

と冷静な私が脳内で告げた。


アルが斬り伏せた死骸を片手で持ち上げている、この恐ろしく可愛いお人形さんは一体誰だろう。

そしてあの恐ろしい蛇を連れてきたのがこの少女であるならば、はてさて今の状況をどう見るか。


続く沈黙に固唾を飲むと、ついに口元を歪めた少女が大きな声で叫ぶ。


「あっはっは!!!!コレが急拵えの出来損ないとはいえ、一匹残らず殺すなんてね!なかなかやるじゃないアンタ!」


「………は?」


アルの一言に私たちの気持ちの全てが詰まっていた。


「お、怒って…ないんですか?」


「はぁ?なんで怒るのよ。()()()()()()()()、当然のことじゃない。ほら邪魔よアンタたち!!死ぬなら向こうで死になさい!!!」


茫然と立ち尽くす私たちを無視したまま、持ち上げていた死骸を思いっきり蹴飛ばした少女は乱雑に傘を閉じる。

そして自身の見事に巻かれた髪をひとなでした彼女は、赤く光る瞳を細めて私たちを一瞥した。


「どうしてここにいるのかは知らないけどちょうどいいわ!!死にかけ盗賊一派の一掃より遥かにいい暇潰しになりそうね!!!」


底冷えするような殺気とともに、撫でられた少女の髪が悲鳴を上げながら幾重にも裂けて牙を剥く。


「さぁ、楽しませてもらうわよ!!!」


その一言を発した後、蛇のように地面を這ってアルに近づいた少女は上空に飛び上がり、勢いそのまま鋭く手を振り上げた。


「っ、!!」


寸前で避けたアルの足元には巨大なクレーターが出現し、避けた衝撃で彼の特徴的な赤髪が数本宙を舞う。

そして追い討ちの回し蹴りを大剣で防いだアルはその衝撃の重さに顔を歪めた。


「ふん、いかにも騎士団って感じの面白みがない立ち回り。柔軟性がまるで足りてないわね。」


「なんの、話だ…!!」


「せっかくの殺し合いなのにいい子ぶるなって言ってんの。勇者なんて誰も求めちゃいないのよ!!いい!?もっと狂骨に!!そして鮮烈に艶やかに!!本能のままかかってきなさい!!無様に死にたいの!?」


「っ、ふざけんな!!!」


「あっはっは!!そうよ!殺し合いにおいて出し惜しみは死に直結するの!使えるものは全て使いなさい!!さぁ!!」


力で押し返し思いっきり大剣を振り払ったアルは、空中で逆さになった少女に向けて爆発魔法をぶっ放す。

むせかえるような爆風に巻かれて現れたアルは私に視線を少し向けたあと、数回頭を振ってすぐに武器を構え直した。


「オレは、オレは守るために戦ってんだ!!テメェとは違う…!!」


「あっはっはっ!!そう!?そんなこと言って、今のは結構爽快だったように見えたけど!?」


「違う!!」


アルの振り切った攻撃を避けて彼の背中に自身の背中を合わせた少女は、彼の首元に白い手を這わせて軽く首を絞める。


「あぁそう、それじゃあ仕方ないわ!言うこと聞かない()()()にはお仕置きが必要よね!!」


「っ、やめろ!!!」


「アンタのせいよ!!!()()()()()()()!!」


ギラリと光った赤い瞳が私を射抜くとともに、見えない何かが迫ってくる恐怖に足が動かない。

そして頭をぶっ叩かれたような衝撃が私を襲い、脳内に断片的な映像が浮かび上がってきた。






ーーーー





数十メートルある大きな扉を開けば、まっすぐ縦にひかれた赤いカーペットの先に黒いドレスを身に纏った少女が姿を現した。

力任せに傘の先を地面に叩きつけた少女は、小馬鹿にしたようにこちらを見て嘲笑う。


「やっぱり来たのね。なにその顔、一丁前に敵討ちのつもり?」


その言葉に少年は剣を強く握り直し、まっすぐと少女を睨みつけた。

彼の心を代弁するように剣が大きく光ると、彼女から表情が抜け落ち、髪の一本一本が小さな蛇となって舌を鳴らす。


「へぇ、勝てると思ってるの?あの時なにも出来なかったアンタが!!!!あっはっは!!それは、なんとも、随分と、おめでたい脳味噌ね!!!」


カーペットに映る少女の影が膨らみ、巨大な赤目が光る大蛇の姿へと変わる。

少し口を開けるだけで毒霧を撒き散らし、周囲のありとあらゆるものが石化し脆く崩れ落ちた。


「このアタシ、メディシアナの前に平伏しなさい。かつてお前のような()()()を庇って死んだあの男のように、惨めに無様に死ぬがいいわ!!!」






ーーー




「ーーーっ!!!」


絶叫に等しい幼馴染の声がどこか遠くに聞こえる。


ああ、だめだーー殺される。


その瞬間、視界が歪むほど強く抱きしめられて心臓が大きく脈を打つ。


「間に合ってよかった。」


ふわりと薫る柔らかなお日様な匂い。

少し明るめの赤い長髪が重力に従って流れると、途端に色を失ったように灰色となって砕け散った。


「…最後の最後に、あの子たちに誇れる母親になれたかしら。」


「え、え…な、なに…なにこれ…?」


「レイ・モブロード、アンタの命を狙っておいて、こんなことお願いするのはお門違いだと知ったうえでお願いするよ。マリーだけでもこの地獄から助けてあげてほしい。」


冷たい、寒い。どうして。


「モブ!!!」


駆け寄ってきたアルに強く抱き締められ、()()()()腕の中からやっとの思いで引き剥がされた。


「ア、アル…?ど、どうなって、」


「……………っ、悪い。」


アルの腕の中は先ほどと雲泥の差で温かい。

よく理解できないまま引き剥がされたその先を見て、絶句した。


「そう、まだ生きてたの。でももうこれで終わりね、さようなら。マザー・リザリー。」


そこにはかつて人だった石像が、優しい微笑みを浮かべて私たちを見送っていた。

うわぁああああああ!!

……すいません、取り乱しました。


頭を痛めて産んだキャラの退場は勝手に辛くなります……

例え敵とも味方とも言いにくいキャラだとしても…畜生!!(だったら書くなって?でも展開上必要なのでてへぺろ


ですが私、ハッピーエンド至上主義ですので!!

お前ら、必ず、幸せに、してやるよ!!!(使命感


これからもよろしくお願いします^_^


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