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転生者は、協力者を得る

ブックマーク、評価などなどありがとうございます!!


GWに進められるだけ進めておきたい…!

「はーい、皆さんいいですか。まとめまーす。」


道端に三人。

1人は枝を使って地面に無造作に大きな円を描き、

1人は真剣にそれを見つめ、

もう1人は今にも怒鳴り出しそうな勢いではあるが成り行きを見守っている。


「兵士さんはアルが関所に来たのを見て、修行しにきたんだと思ったんだね。」


「ああ。関所にくるなんてそれぐらいしか思いつかないからな。まだ幼いのに大した心意気だ。」


「だ・か・ら!ちっっげぇって言ってんだろうが!!人の話聞く気サラサラねぇなお前!!」


「へーなるほどね。」


なるほどじゃねぇよ!という怒声を聞き流しながら、さっきの円の中にさらに小さめの円を描き足していく。


「一方迷子になっていたアルはそんなつもりはなくて、私たちの当初の目的を果たそうとしてくれていたと。」


「迷子はてめぇだろうがボットン女。……あそこならちょうどいいと思ったんだよ。おかげでとんでもなく面倒なヤツと知り合うはめになっちまったがな。」


「……?それは災難だったな。」


「お前のことだ!!察しろ!!」


「仲が良くてなにより。」


綺麗な二重の円ができたところで達成感に浸る。

残念。別に特に意味はない。

するとイケメンお兄さんから視線をなんとなく感じた。


「?どうしましたか?」


「いや…彼は君のために関所を訪れたのかと思ってな。」


「あーそれはですねぐっは!!!!」


「ちょっと黙れ」


全力でアルに腹パンを入れられた。

黙れってそういうこと?天に召されろってこと?

凄まじく咳き込んでいると背中をさすってくれる。

さするなら腹パンするなよ。

恨めしげに見つめる私にアルは耳打ちをした。


「よく考えて発言しろよ単細胞。言っとくが、お前みたいなヤツがポーションを作れるなんて広まったらとんでもねぇことになるぞ。もっと警戒しろ。」


「ごっほごほ……ごほごほ!!げはぁ!!」


「恨み言なら後でいくらでも聞いてやる。………悪いことは言わねぇから大人しくオレに任せろ。いいな?」


「がっは!」


「おーお前にしてはいい返事じゃねぇか。」


………いや咳き込んでるだけなんですけど!

なんだかよく分かっていない私の頭を一瞬撫でたアルは立ち上がり、兵士さんに向き合った。


「待たせたな。………オレが一番望むのはここでお前とオサラバすることだ。理由を聞かず立ち去るならそれで構わねぇ。……まぁどうしても仲良くしてぇなら仕方ねぇな。オレも鬼じゃねぇ。」


ゆっくりと拳を握り、不気味に微笑む。


「絶対に裏切らねぇようにてめぇに奴隷化の魔法を」


「鬼は外!!!」


「い"っ……なにしてんだお前」


明らかに不穏な雰囲気を醸し出すアルに後ろから全身で体当たりする。勢いつけすぎたせいで体ごとアルに被さり………結果的にアルにおんぶされるような形になったが。


「任せろとかいう割に事態を悪化させる選択肢を選ぶのはなぜなんだい…我が幼馴染よ。」


「何言ってんだ。これが平和に丸く収まる解決策じゃねぇか。」


「どっからくるんですかその発想は。平和のへの字もない。やめなさい。」


背中から思いっきり物理的に揺さぶりをかけるが、全く動じない。はっと鼻で笑われた。

しかもそれどころか。


(なんでちょっと機嫌がいいんだこの子…)


体当たりの反動でアルの背中に乗っかっただけだが、アルは私をおぶる形から解放するつもりはないらしい。仕方ない。機嫌がいいならこのままにしておくか。


「すみません…この子悪い子じゃないんですよ。初対面でぶちまけたり、ボットントイレに落ちた私に手を差し伸ばしてくれるようないい子なんです。ちょっと照れ屋さんというか……」


「おい」


さっきから無言で私とアルのやりとりを見つめてくる兵士さんに詫びを入れる。


「……ああ。そのようだな。」


「おっ、分かってくれますか。」


「ああ……人のために行動できる者は嫌いではない。理由は聞かない。…私もできることがあれば協力しよう。」


「あ"あ"!?」


「本当ですか兵士さん。」


「この出逢いを無かったことにするのは惜しい。君たちに興味が湧いた。」


気づけば既に互いの身体は乾き切っていた。彼は髪をかきあげ一息つく。剣を腰に差し直し、私たちに再度視線を向ける。


「ああ……そうだ。自己紹介がまだだったな。」


華麗に一礼。

その動作を見たとき、また何かが頭をよぎる。


………なぜか何処かで見た覚えがある。









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





夕暮れのワンシーン。


丘の上に2人の男。


夕日に照らされてはいるが、赤と白、真逆の色合いが対面しあっている。


(ああ……このシーンを待ち望んでいたのだ。長時間……繰り返した苦労が報われた。)


この時、確かに私は…()()()に満たされていた。


赤髪の少年に、腰に差した聖剣を触れさせる。


「君の力は人々を守るため、神から与えられたものだ。決して呪いなどではない。この剣が、その証拠となるだろう。」


「アルフレッド・フォスフォール。
























君こそ、〇〇だ。」

























「おいおいおい!!









〇〇ルート最高かよぉおお!!」







光輝く剣を天に掲げる光景を見て、私は涙を流した。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




一瞬だったが、それで十分。


「私の名は、クラウス・バートン。一応、この地域一帯の騎士団長を勤めている。以後よろしく頼む。」



















「……レイ・モブロード…です。」


「……………アルフレッド・フォスフォール」





…………あの光景、なんだったんだろう。


自己紹介をしながらなんとなく、アルの肩を掴むと。

アルは何も言わず私を背負い直した。

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