表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
177/194

転生者は、衝撃を受ける②

いつもありがとうございます!

またブックマーク登録、評価いただき誠にありがとうございます!!


間が空いて申し訳ありません……!!

大事な場面だったので文面を添削していたらこんなことに…!!許してくださいなんでもしますから!!


これからも頑張って投稿していきますので、よろしければブックマーク登録、評価、感想なとお待ちしております!


「ったく、最悪の気分だぜ……こんなふざけた術に本気で手を出した馬鹿がいるなんてよ!」


「……さて、なんのことかさっぱり。」


「しらばっくれる気か…!」


アルはそう言い放ったが、マザーさんは首を傾げるのみ。

このままでは埓が明かないと悟ったアルはひとつ舌打ちをした後に、眼差しに軽蔑を込めて吐き捨てた。


「時間がねぇと追い詰められた野郎が手を出す魔法は昔から決まってんだ…!!人の魂を喰らう黒魔術!!他人が培ってきた知識・経験・魔力を手っ取り早く横取りできるのはこれしかねぇ…!数少ない魔女にしか作れねぇとされるポーションを相手にするなら尚のことな!」


「……一般人はそうかもしれないけれど、アタシは違う。魔力を豊富に体内に蓄えることのできる有能な赤髪。不可能なことなんてこの世になにひとつ…」


「お生憎様、魔力的に無理だってことはオレが一番よく分かってる。」


「……あぁ、そう。アンタも作ろうとしたの。いつもならこの手で切り抜けられるのだけど…同族が相手だとね。希少種だという言い訳も考え直した方が良さそう。」


気怠げにため息を吐いたマザーさんは前髪を掻き上げた様子を見て、アルは英傑ワダツミの血とマザーさんが呼んだ液体を力強く踏み抜いた。

その衝撃の一瞬で液体が蒸発していったおかげでようやくこの洞窟…いや腹内の底が姿を現すと、アルは茫然としたままの私を降ろして背中に庇う。

その姿を見てアルはマザーさんと戦おうとしているのだと察し、ようやく私は口を動かした。


「あ、あのさ、やっぱり…なにかの勘違いだったりしない?」


「そう思うか?」


「ほら、話もまだ途中だったし……えっと…それに……リリーちゃんたちの…お母さん…だし…」


「お前まだそんな…」


短く息を吐いてこちらを振り返った幼馴染は、一度目を見開いた後に痛々しく眉を寄せてしまった。

多分、私は今とても酷い顔をしているのだろう。

自分でもこれが希望的観測であることは重々承知していたし、なにより私たちを見つめる彼女の虚な瞳はあまりにもヒューズさんと似過ぎていた。


「今日初めて会った人間にそこまで情がわくなんて大したお人好し。不思議ね、そんな顔されたらなんだかこっちまで悲しくなってくる。」


「マザーさん…」


「くふふ、それでもどうあってもカカ様とは呼んでくれないのね。……アンタもあの子たちも、無邪気にアタシを信頼してくれるお子様だったらよかったのに。」


「え?」


「いいわ。端的に言いましょう、アタシはアンタの、その魂が欲しい。」


その一言を合図にして彼女は大きく指を鳴らす。

煌びやかに手元が光ったかと思えば突如赤く滾る美しい大剣が姿を現し、彼女の両手を鮮やかに彩った。


「悔しいけど今のアタシじゃ石病に打ち勝つポーションなんて夢のまた夢。けどアンタの魂があれば石になったあの子たちも元に戻って、さらにあの魔蛇女に対抗する切り札になるポーションが作れる。」


「……マザーさん、残念ながら私が作ったポーションは既に石になってしまった人を元に戻すものではありません。例え私の魂を喰べたとしても、保身もろもろ抜きに考えても作れないと思いますよ。」


「モブ、退がれ。」


手にした大剣を私に向けた彼女を相手に、アルは前へと割って入る。

そして私の返答を聞いたマザーさんは綺麗な微笑みを浮かべて続けた。


「そんなの、やってみないと分からないじゃない。赤髪のアタシがアンタの魂を手にすれば閃くかもしれないし……それに家族のために命を捧げてくれた娘たちのためにも、もう後戻りはできないの。優しい恩人さんなら分かってくれるわよね。」


「マザーさん…」


「あのね、もう時間がないって言ったでしょ。これ以上アタシの娘たちが大きくなったらどうしてくれるの。」


「?それはどういう意味ですか?」


嫌な予感が頭をよぎり思わず問いかけると、彼女は淡々と言葉を紡ぐ。


「大人になればこの世界の仕組みを知り、世界を知れば赤髪がどういう存在か理解する。結果、今はどんなに慕ってくれていてもいずれみんなアタシを裏切るの。」


「そんなはずありません!!リリーちゃんたちはそんな子じゃない!!」


「根拠もないのによくそんなことを言えるもんだね。」


「だってリリーちゃんは()()()()…!!」


あれ、これから…どうなるんだっけ。


なにを言おうとしたのか突然脳内にモヤがかかり言葉に詰まると、嘲笑うようにマザーさんは口を開いた。


「人間は自分に利益がある者にのみ愛を注ぐ。己の命が脅かされる相手だと分かれば掌を返したように捨てていく。血の繋がりがなければそんなもの。実際マリーはもうアタシをカカ様と思っていない、アタシを愛していない。だからマザーと呼ぶ。」


「…そんなことでマリーちゃんたちの気持ちを勝手に決めつけてるんですか。」


思わずそう呟くと不思議そうに首を傾げたマザーさんは幸せそうにニコリと笑って頷く。


「そんなこと?だってそれで魅了魔法が効いているかどうか判断しているから。魅了が効いてないのに赤髪を愛するなんてそんなわけないでしょ?だから魔法が効いているうちにアタシに依存させておかないと。命の恩人ともなれば、万が一魅了の効果が切れても裏切ろうとは思わないだろうから。」


本日二度目の衝撃だった。

一方でアルは納得したように数回頷くと冷たく吐き捨てる。


「自分の娘すら信じられねぇとは救いようがねぇな。」


「酷い言い草。あのね、例え裏切られたとしてもアタシの愛は変わらないわ。でもこんなにいっぱい娘がいるんだもの。アタシに愛を返してくれる保証がある子とそうでない子だったらどっちを優先するかなんて、ね。」


「クソ野郎が…!」


「くふふ、これはアンタにも言えることだよ。アタシに居なかったように、アンタみたいな赤髪を無条件で愛してくれる奴はどこにもいないってことさ。」


ピクリ、とアルと私の身体が同時に跳ねる。


その様子を見て嬉しそうに笑ったマザーさんはそのまま意気揚々と言葉を続ける。


「でも大丈夫、アタシはアンタの気持ちが痛いほど分かる。なんたって同族なんだから。アタシの息子になれば永遠に愛してあげるし……それにレイ・モブロードがアタシに協力してくれればアイツらからも確実に守ってあげる。どう?このまま一生愛されない人生は嫌でしょ?」


その言葉を聞いて堪忍袋の緒が切れた。

文字通り、ブチッと。


勢いよく一歩前に私が踏み出したことに気がついたアルが静止しようとこちらへ視線を向け、そのまるまギョッとしたのが分かった。


「お、おいモブ…?」


「さっきから聞いていれば勝手な主観でベラベラと……随分楽しそうだったねー。そう思わないアル?」


「……ちょっと落ち着け。な?」


言いたいことはわかるぞ少年。

私は多分、いや確実にとんでもなく凶悪な顔をしている自覚がある。


「そっちがその気ならいいですよ。なにも分かってない卑屈お馬鹿さんはよろこんでこの私が一発ぶん殴って目を覚まさせてやりますともほらさっさと歯ぁ食いしばらんかいおんどれがぁあああ!!!!」




























---------------------------------------


「だぁあああ!!なにこれつっっっっよ!!無理だってこんなん!!」


一つの画面を見つめ、私は大きく頭を抱える。


画面内で舞い踊るように軽やかに大剣を振り回す少女の動きは、まともにカウンターすら決められないほど素早かった。

相手にコンボを決められればハメられて一巻の終り。攻撃法則を見極めてカウンターを決めるどころの話ではなく、一瞬負けイベントなのかと思ったほどだった。


まぁ体力が尽きると普通に目の前が暗転したので、そんなことはなかったのだが。


「もういい加減にしてくれませんかね盗賊ちゃん…!?そろそろ諦めちゃいそうよ私!?」


もう何度目かも分からない戦闘にそんな弱音を吐いてみたが、諦めの悪さは私が一番よく分かっている。

足元を浸すこの赤い液体の毒素を無効化する方法を見つけるのだって数日掛かったのだ。

こんなところで諦めたらその時間が無駄になるじゃないか。


「……というかコレ無効化するために入り口の岩に挨拶しなきゃいけないとか誰が分かるの本当に。」


『アタシの攻撃、受けてみな!!』


「ひ、ひぃ!?また来る!離れて!!多分無駄だろうけど死ぬ気で離れろぉおお!!!」


そして最悪のハメられコンボが飛び出す寸前の相手のタメ行動中に、苦し紛れに戦闘エリアギリギリまで後退したその時……初めて「ん?」と思わず首を傾げた。


攻撃できる相手につくターゲット印が一瞬、ただの背景だと思っていた石像たちに浮かんだのだ。


これまでの感覚的に、キタと確信した。


石像たちの中でも一番大きなもの目掛けて、渾身の力を込めて剣を振り下ろす。


『あぐぅ!!!』


するとあろことかタメ行動中だった少女はその間に庇うように割って入り、剣撃をまともに受け止めて1発KO。


「………嘘じゃん。」


実に簡単に決着がついた。


少女の胸元から淡く光る黄色のオーブがこちらに転がってきたのを確認し悠々と手に取ると、少女は身体を震わせながら果敢にもまだ立ち上がろうとする。


『クソッ…!最低だよ……!!カカ様…!!みんな……!!』


「な、なにその訳ありパターン。悲しいのやめてほしいなぁ……」


泣き叫ぶような悲痛な声で訴えかけてくる少女へ振り返ると、画面に大きく浮かび上がる選択肢。


とどめを刺しますか?

→はい

 いいえ


「ここでとどめを刺すとか鬼畜すぎない?」


条件反射で『いいえ』を選択。


すると画面内ではなぜ黄色のオーブを盗んだのかの話題へと移り、ピンク色の三つ編み少女の独白が始まった。


『…アタシたちは随分昔から魔王軍たちにいいように使われてた。決定的なのは今から数年前、アタシたち女盗賊一派が()()したのは知ってるだろ?なんだかよくわからないけど「もう必要ないから」って隠れ家が魔王軍幹部に奇襲されてさ…アタシ以外みんな石像にされちまったのが原因なんだ。そんな時アタシのカカ様やネェさんたちは傷だらけになりながら何もできない無能な幼いアタシを逃すために盾になってくれた……っ!!それからずっと、家族をこの呪いから救い出すために生きてきたのに…!また肝心なところでアタシは役に立たないなんてそんなの…嫌だ!』


大粒の涙を溢す少女は大剣を構え直して見事立ち上がってこちらを睨みつける。


『そのオーブが欲しいならアタシを殺していけ!!盗賊から宝を奪うなら情けは無用だ!!』


どうしますか?

→とどめを刺す

 無視して先を進む


「…………。」


そうして、私が選んだ答えは。


シリアス展開って脳みそ持っていかれますね…

あぁ…文章能力上がってくれ…


そんなこんなで次回、ガチ切れするレイちゃんといよいよあのお方の登場となります。

誰か乱入してくるか……ぜひ予想していただければと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ