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転生者は、少年を動揺させる

3000PVありがとうございます!

多くの人に読んでもらえて嬉しいです…!

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これがニヤニヤせずにいられるか。

もしこの状況でニヤニヤしない奴がいたら、そいつは人間じゃない。

そんなことを思いながら目の前の少年の肩を掴み、力強く頷いてみせる。


「そっかそっか…お姉さんが悪かったよ。」


「あ"あ"あ"!?っんだよその顔!!言いたいことがあるなら言いやがれこの野郎!」


意味がわからないという風に噛み付いてくるアル。もうどんなに暴言を言われても可愛らしさしか感じない。


「じゃあ言っちゃうけどね………」


深呼吸をし、勿体つけて彼に告げる。


「ずばり、ヤキモチ……妬いたんでしょう?」


「………………は?」


「ふふふふ……エミリーちゃんとお近づきになりたかったならそう言ってくれればいいのに。」


腕を組み、一人納得する。なるほど近所のおばあちゃんはこういう感情だったのか。この少年は今までロクに人とお付き合いをしたことがないから、こういった感情を知らなかったのだろう。だから持て余し、分からなくなって混乱してあの場から離れたというわけだ。この純情男子め。


「待ちやがれ!!なんでそうなるんだよ!!」


「いやだから…、エミリーちゃんに名前を呼ばれた私が羨ましかったんでしょう?大丈夫大丈夫、今度会った時にちゃーんと紹介してあげるから。」


「待て待て!オレは別にあの女のことはどうでも」


「はぁ………照れちゃって…。全くおませさんなんだから。私がエミリーちゃんの名前を呼んでるのを見て、嫌だったんでしょう?自分は呼んだことないのにって。馴れ馴れしくエミリーちゃんの名前を呼ぶなって思ってイライラしたんでしょう?」


「いやそれは……は……?な、なんで……」


「っふ……図星か。好きな女の子を取られたと思って寂しかったんだよ。はぁ…ご馳走さま。」


「す、すき…スキ…好き!?」


そうかそうかと頷くとアルは頭を抱えてしまった。感情を整理しようとしているのだろうが、顔がトマトのように真っ赤だ。


「違う!!そうじゃねぇ!」


「え、違うの?」


「ふざけんな!!だ、誰がっ!おまっ!!」


「ふーんそうかい。まぁ最後はアル次第だしね。これ以上はなにも言わないけど。なら私は大切な幼馴染の恋の行方を見守るとしますか。」


ピシッ。

その瞬間、時が止まった。トマトのように赤かった顔がさらに赤くなる。


「え、ちょっと大丈夫?刺激強すぎた?」


「や、やめろ……」


「?うん?」


「た、たいせつとか……」


「え、そこ?」


「なんでそう!お前は!!っがあああああ!!!!!」


自身の髪を掻き毟り発狂するアル。ものすごい勢いで手を動かしてるから髪がボッサボサだ。


「ちょ、ちょっと?アルくん??そんなに掻き毟ると」


「そんなわけねぇ!!ちげぇ!!ふざけんな!なんでオレが!!」


「まさかそんなに動揺するとは……」


「ちげぇ!これは!!!そのっ!!熱だ!!!知恵熱だ!!!」


「う、うん。そうだね……私の早とちりだったかも………だから落ち着いて……」


「水!水だ!!水を被れば引く!!」


「いやいやそんな原始的な…水なんてどこにもないし………」


そういうとなんとなく周りの雰囲気が変わった。涼しい風が私とアルを包み込む。なんだかとてつもなく嫌な予感が……。

そう思っていると村の方から兵士のような人が走ってきた。


「君!何してる!」


剣に手をかけ凄まじいスピードでこちらに近づいてくる。顔が般若のようだ。恐ろしい。


「ちょ、ちょっと!!アル!!なんか来た!!剣持ってる人来た!!!誰あれ!知り合い!?」


頭を抱えているアルを連れて行こうと手に触れると、ビクッと身体を震わせた若干涙目のアルと目が合う。な、なんで涙目?

意味が分からずとにかくアルを見つめていると、急に胸を押さえ俯き唸りだした。


「え、ちょっと本当に大丈夫……」


「っクソがぁああああああ!!!」



ザバァァァアアアン。



アルの絶叫と滝のような量の水が私たちに降りかかってきたのは、ほとんど同時だった。












◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






「なにしてるんだ君たちは。」


「……本当すみません。」


「ッチ………」


突如降ってきた大量の水に危うく流されそうになった私はこちらに走ってきていた兵士さんに助けてもらい、なんとか流されずに済んだ。しかし大量の水を被って仲良く三人ともビショビショ。このまま解散するわけにもいかず、兵士さんの魔法で絶賛乾かし中である。


「本当助かりました……」


「気にするな…と言いたいところだが、あの魔法を発動させたのは君か?」


「あ"あ"?…だったらなんだよ」


「なるほどな。」


真剣な表情で顎に手を当てる兵士さん。

水に濡れてはいるが灰色に輝く髪、スッと細められた蒼の瞳はまるでサファイアのよう。


(水も滴るいい男…)


4歳児がそんなことを考えているとは誰も考えていないだろう。これ幸いとじぃっと兵士さんの顔を見つめていると凄い勢いで耳を引っ張られる。


「イタタタっ!なにするの……」


「なに鼻の下伸ばしてんだ…?あ"ぁ"!?」


「うえ!?なんでバレた…」


「あ"あ"!?」


「やめないか。男子たるもの女性に乱暴するんじゃない。」


私とアルを引き離し、真ん中に座ってくれる兵士さん。アルはナイフのように鋭い視線を兵士さんに向けるが、当の本人は素知らぬ顔を突き通す。


(お、大人の余裕か……)


だがこのままではまたアルが暴走しそうなため、話を元に戻そうと兵士さんに声をかける。


「それにしてもなんでこっちに走ってきてくれたんですか?」


「ん?ああ……村を巡回していたら、空に巨大な魔法陣が出現したからな。何事かと…」


そんな巨大な魔法陣出したのアナタ…。

思わず責めるような視線を向けると、若干気まずそうにアルは視線を逸らした。


「あの魔法陣を発生させたのが君ならば、魔法使いとしての才があるな。その歳でなかなか出来ることじゃない。」


「知るか…興味ねぇ。」


「……魔力切れを起こしてない点については赤髪の能力か。魔力を大量に保持できるというのは本当なのだな。」


「勝手に分析してんじゃねぇ!」


「関所まで来たのは、その才能をさらに開花させるため訓練したいからじゃないのか?」


「んなわけあるか!!」


アルとこの兵士さん、仲がいいのか悪いのか。完璧に置いてけぼりになった私は一から説明してもらおうと静かに手を挙げた。


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