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転生者は、仲良くなれるか模索する

2000PV越えありがとうございます!

書きたいことはいっぱいあるんですが…

あぁ…時間と文才が欲しい……!

物陰に隠れながら、こちらの様子を見ている少年が2人。


「あ、あいつが……」


「そうだ!何するか分からないぞ。気をつけろ……!」


「ただの人間にしか見えないのにな……」


(どんな会話だよ。)


とにかく聞こえてきたもんだから、私の顔を荒っぽくタオルで拭いている少年に話しかける。


「…ねぇ、この辺り珍獣でも出たの?」


「お前のことだこの野郎!!!どんだけ手間かけさせんだテメェは!!大人しくしやがれクソが!」


「す、すいません……」




レイ・モブロード。

私は今、子供達の間でちょっとした有名人になっております。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




あの恐ろしい雰囲気を塗り替えるべく、出した苦肉の策がエミリーちゃんを人質にした「ぶちまけ回避計画」だった。我らながらレパートリーが少なすぎて笑える。アルを含めた子供達に村の共有トイレに連れて行ってもらった私だったのだが……。

まさかのボットンで、しかも見事落下した。ツラさしか感じない。アルが一瞬で引き上げてくれなかったらもっと悲惨だった。もう絶対あのトイレ使わない。


「ッチ……なんであの一瞬でこんな汚くなるんだよ……」


「いやぁ一瞬で引っ張ってくれたのにね…。あともう自分で拭けるから大丈夫だよ。」


「うるせぇ!!!またなんかやらかされたらたまったもんじゃねぇ!!」


「…………。」


「黙んな!!なんか話せ!腹立つ!!」


「理不尽だわー。」


そんなやりとりをしていると白のスカートをなびかせながら、ひとりの女の子が近づいてきた。


「モブ菌ちゃんー!エミリー、お水持ってきたよー!」


「ありがとうエミリーちゃん。……あとどっから出てきたのそのあだ名。できれば名前で呼んでもらえないかな?」


「ええ〜!ボットンに落ちるモブ菌ちゃんにぴったりなあだ名でしょ?」


「意外に言ってくれるじゃないか。」


「それに……エミリーは怖い思いしたくないし!」


「?…祟ったりしないよ?」


「まぁモブ菌ちゃんはしなくても…ねぇ?」


ちらっとエミリーちゃんが私の横に視線をそらす。意味がわからない。


「おいクソ女、さっさと水よこせ」


「ちょっとちょっと可愛い女の子にクソ女とは…天罰が下るよ。」


「はぁ!?お前どんだけコイツのこと気に入ってんだよ!」


「全世界の可愛い子は私が守る。」


眉間にシワを思いっきり寄せたアルがエミリーちゃんから水を奪い取り、無言で入念に手を洗い始める。………私の分も取っといてね。


「あははー!怖いー!」


ケラケラと笑っているが、本当になぜ名前で呼んでくれないのだろうか。これではいつまで経っても距離を縮めることができない。ボットンに落ちた時、子供達みんな心配してくれたのに。


「大丈夫?地味子!」

「汚い地味子!」

「地味子!きたなっ!」


(あれ……思い返すとほぼ暴言しかなかったような)


早急にアルにレスキューされたあとも、地味子呼びが続いた。だからアルに顔を拭かれながらも「私、地味子じゃないくてレイだよ。」って伝えたのに………誰も名前で呼んでくれなかった。いや正確には一人呼んでくれそうな男の子がいたんだけど、「じゃあレ……ッヒィ!恐れ多くて無理!」って涙目で言われた。

なんなの?

ボットンに落ちる子は畏怖の対象なの?


「残念すぎる……」


「ふーん…」


考え込むように顎に手を当て、そして何を思ったのかニヤリと笑って、私に顔をずいっと近づけた。


「もうそんなに落ち込んじゃって……しょうがないから特別に、モブちゃん♡って呼んであげる!」


「本当!?嬉しい!エミリーちゃん天使!好き!!」


本当可愛い子、天使!!

可愛くウインクされながらそんなこと言われたら、惚れてまうやろ!!

思わず抱きつきたくなる欲を懸命に押さえ込んでいると。


バギィっ!


真横からとんでもない破壊音が聞こえてきた。


「…………な、何やってるの。」


「うるせぇ!!知るか!!死ね!」


そこには、青筋を浮かべながら水の入った容器を粉々に粉砕したアルの姿があった。


「何がどうなったらそうなるの。」


「ぷくくく………あっははは!!本当面白い!!分かりやすいー!!」


お腹を抱えて笑うエミリーちゃん。ごめん、全くもって理解ができない。そのままじっとエミリーちゃんを眺めていると、今まで聞いたことないぐらいの盛大な舌打ちが聞こえた。


「帰る」


「うええ……?」


ズンズンと足音を立てて(しかも粉々にした容器を何回か執拗に踏みつけたあと)、本当に振り返らず歩いていってしまった。


「やっぱり悪魔の子か…」


「乱暴なやつだな…」


突然の出来事に足が動かないでいると、アルが去ったのをいいことにポツポツと悪口が聞こえる。なんとか弁明しようと口を開こうとするが、さっきまで笑い転げていたエミリーちゃんが私の口を彼女の人差し指で押さえつけてきた。


「ここはエミリーに任せて。あの子にイジワルしちゃったお詫び。」


「い、いじわる?」


「うん!モブちゃんたちは本当面白いね!エミリー会えてよかった!もう私たちは友達だよ!!また村に遊びにきてね!」


ほらほらとエミリーちゃんに背中を押され、よく分からないまま一歩踏み出し走り出す。そんなレイの背中を笑顔で見送りながら、エミリーは呟いた。


「悪魔の子なんていうからどんな子なのかと思ったら…からかいがいのあるただの男の子だったなんて!ああ!これから本当に面白くなりそう!!お爺様にも報告しなくっちゃ!」


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