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転生者の闘いと、少年の戦い

いつもありがとうございます!

メリークリスマス!(ギリギリ


またブックマーク登録いただきありがとうございます^_^

大変励みになっております!


今後も更新していきますので、よろしければブックマーク登録、評価、感想などお待ちしております!


「やっぱり思った通りだ!レイは魔物が使役できるんだね!ネェさん!あの時もアタシをこうやって助けてくれたんだ!」


「アタシも見たよリリー?すごいね恩人?」


なんか2人のなかで私という人物がとんでもない奴になっていそうだが、気にせずに先に進むことにする。


「とにかくアルのところへ行こう。……戻ってこいって言われたし。」


その時の光景を思い出しながら自身の頬を少し触る。


…………ん?ちょっと待った。

あの時さりげなく……あー!!深く考えるのはやめとこう!!!!

なんか心臓痛いし忘れよう!!


途端に早まった心臓を収めるべく胸元を叩くと訝しげにムーンさんに視線を向けられる。


「どうした?」


「ちょっとしたドラミングです!」


「…ドラミングする女子初めて見た。」


奇遇だな、私もだよ。


頭を数回振り気持ちを落ち着かせて次こそはと一歩踏み出すと、今度はリリーちゃんに手を掴まれて動けなくなった。


「えっとリリーちゃん?」


「レイ、アタシたちはお土産を持ってきたんだ。役に立つか分からないけど、なんとなく今渡しといた方がいい気がする。こっち来て!」


リリーちゃんに引っ張られるまま馬車の近くまで移動する。

すると女盗賊一派の皆様が数人がかりで、荷物を覆い隠していた布を剥ぎ取る。

するとそこには目を見張るものが積まれていた。


「こ、これ…」


「頑張って集めたんだ!!










ポーションの材料を!」


この数年、私もただほのぼのと暮らしていたわけではない。

少しでもポーション製作の知識の糧になればと多くの資料を漁り、時間があればワンダさんから借りパクした魔法道具をつけて魔力を身体に慣らした。

いつかまた、ポーションを作ることになった時に役に立つように。


「気に入った?」


「気に入ったって?もちろん!最高だよリリーちゃん!!毒消草に…しかも幸福の花まで!これだけあればきっと!きっとポーションが作れる!」


「「ポーションを作る!?」」


感激したように私が言葉を漏らすと、周りの兵士さんたちがどよめき始める。

その一方で少し照れたようにリリーちゃんは頬を掻きながら、優しく微笑んだ。


「へへ、実はある人から聞いたんだ。レイはこういうものを探してるって。」


「ある人?」


「誰だと思う?」


顎に手を当てて考える。

私がポーションを製作できると知っている人物は限られている。

そしてこのナイスタイミングで私を助けてくれるなんて、なんてイケメンなんだろう。

必死に頭を回転させると、ふとある記憶が蘇ってきた。


「ポーションについては今後も話し合っていきましょう。ワタシも女盗賊一派に掛け合ってみるわ。」


銀色の髪に蒼い瞳。

爽やかに笑う親友の姿。


「っまさか!!」


「へへ、ランディ・バートンからこういう材料ならいいんじゃないかって教えてもらってさ!気に入ってもらえてよかった!アイツ男だけどいい奴だよね!」


「くぅううう!!ランちゃん最高かよ!流石私の推し!!尊い!課金しよう!」


「ね、ねぇ…ポーションを作るってどういうこと?」


ポーションがあれば傷が癒せる。

傷が癒せれば死ぬことはない。

それに具合の悪そうだったクラウスさんも、きっと元に戻る。


『レイちゃんいいノ?』


久しぶりに妖精の声が耳に届く。

白玉が離れたから近寄りやすくなったのだろうか。

こんなところで私の采配が生きてくるなんて、今日はツイているに違いない。


「ここでやらねばいつやるのか、我が同胞よ。」


「あれ?なんか会話聞き逃してる?」


「いや俺たちもさっぱり…」


気合いを入れてブンブン腕を回す私の様子に、妖精たちも賛同してくれたようだ。


「目指すは毒の打ち消しと、体力大幅回復を同時に狙えるイケてるポーション!」


『それならコレとコレとコレ!』


『コレはどうスルー?』


『幸福の花はいらないんじゃないノー?』


『蜜だけ混ぜちゃおうヨ!幸せな気分にナリターイ!』


「すごいねリリー?妖精が運んでるよ?」


マリーちゃんのいう通り、妖精さんが運んでくれるおかげで必要な材料が目の前に浮かび上がってくる。

ありがとう友よ。これからもよろしく。


『レイちゃんガンバロー!』


『気合い入れてコウ!』


「す、すげぇ…妖精があんなにお嬢ちゃんの周りに集まってる…」


「流石妖精牧場の娘さんだな。」


兵士さんたちの尊敬の眼差しを一身に受けながら手のひらに力を込めようとすると、リリーちゃんから声をかけられた。


「レイ!アタシにも手伝えることはある?」


「いやいや応援してくれればそれで…あ、ひとつあるか。」


「なに?なんでも言って!」


ならばその優しさに甘えることにしよう。

キラキラとした眼差しに向けて、私は笑顔で答えた。


「じゃあ………





















洗面器持ってる?なければゴミ袋でも可。」


「え?」






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






面倒くせぇ。


クラウスばかり執拗に狙うあの蛇は、アイツに負けた怨みが1番の動力のようだ。

クラウスが相手をすればするほど怨みは強くなり、蛇は魔物として成長する。

それだというのに。


「だっ……………からお前!オレがやるから構いすぎるなって言ってんだろうが!!」


「向かってくるからつい。」


「つい…じゃねぇわこの脳筋!!オレは囮になれって言ってんだよ!誰が斬り刻めって言った!?」


毒が回っているせいもあるのかもしれないが、クラウスがもはや条件反射で襲ってくる蛇を返り討ちにしていた。

無駄に動けるのが仇となり、蛇が着々と怨みを募らせ力を蓄えている。

オレが来た時に4つだった頭は、もう数えきれない量になっていた。


「これ以上怨み積ませてどうするつもりだ!?あ"!?処理出来んのか!?」


「…ぐほっぐほっぐぇ。」


「そうやって吐血すりゃ誤魔化せると思うなよ。」


一斉に牙を光らせた蛇はクラウスめがけて飛びかかる。

むしろそのまま噛み殺してほしいと切実に思うが、脳裏にモブの顔がチラついた。


コイツが死ねば、間違いなく泣くだろう。

アイツの泣き顔とオレのストレスどちらを取るかと言われれば…残念ながら選択肢はひとつだった。


「あ"ーー!!面倒くせぇ!!!」


手に持っていた木刀でひとつ頭を真横に殴り飛ばすと、近くにいた頭と衝突事故を引き起こす。

協調性のない頭は苛立ちげに仲間に頭突きをかまし、少しばかりの喧嘩を繰り広げた。


「助かった。」


「次はぜってぇに見殺しにするからな…」


「そうか。」


手に持っていた木刀をちらりと見ればなんとも無残な有様。

流石に上級魔物なだけあって鱗は一丁前に堅いらしい。

短くため息を吐くと、クラウスが数回咳き込んでいる姿が目に入る。

先ほどの吐血は演技だったが、毒は着実にコイツの身体を蝕んでいた。


(これ以上動かすのは流石に良くねぇな。)


少し考えながらクラウスの背中を見つめていると、ある妙案を思いつく。


「おい脳筋騎士団長、そこで背中丸めて屈め。」


「……こうか?」


なんの疑いもなく言われた通りに屈んだ奴の姿を見て思わず口元が緩む。

恐らくオレは今、相当悪い顔をしているに違いない。


なんて、なんてちょうどいい()()だろうか。


蛇の様子を確認すると未だに喧嘩中。

少し準備体操をして足元に魔力を込めると、クラウスを警戒させないように声をかけた。


「おー、そのまま……な!!」


地面に落ちていた剣を拾い上げながら勢いよく走り出して、クラウスの背中を全力で踏み倒し宙を舞う。

カエルが潰れたような声が聞こえたが知ったことではない。ざまぁみろばーか。

すぐに近くの木に魔力を込めて作った糸を引っ掛けて空中を蹴る。

そのまま大きく旋回し、遠心力を利用して手に持っていた剣を1匹の蛇の目玉に向けて投げつけた。


「「「「「「ギャアアアァア!!!」」」」」」」


「おら餌だ。」


うるさく泣き叫ぶその口に爆発魔法を叩き込むと、一瞬で顔が吹き飛ぶ。

頭を失くした首が生々しく痙攣するのが気持ち悪く、追撃で爆破し灰にしておく。


突如消し飛んだ仲間を見て狼狽えた蛇たちはなんとも格好な的である。

地面に降り立つまでの数秒で落ちている剣を全て魔法で集め、着地ついでに何体かを串刺しにして動きを止める。

痛みに泣き喚く蛇がうるさくて試しに喉を潰して地面に叩き伏せれば、ようやく少し静かになった。

そこで初めて、蛇の瞳が震える。


「やっぱりな。」


クラウスへの怨みよりオレに対しての恐怖が優ったことで、みるみるうちに魔力が蛇の身体から抜け落ちていく。


「怨み以外の他の感情に支配されれば、お前はその身体を保っていられねぇんだろ。このまま待っていれば消滅するんだろうが…」


適当に剣を引き抜き、数回振って返り血を飛ばしたオレは怯える可哀想な蛇に微笑んだ。


「残念ながら弱る姿を眺めるほど時間はねぇ。」


とどめを刺そうと振り上げた剣に力を込める。

するとオレと蛇の間に数匹の妖精が割り込んだ。


「あ"?なんだお前ら。なにやってんだよ。」


焦ったようにオレの周りを飛ぶ姿に釣られて後ろを振り返れば、見かけないピンク髪がこちらに向かって走ってくるのが見えた。

田舎兵士数人の姿も見えるが、自分が確認したかった姿は見当たらない。

神経を尖らせればほのかに聞こえる会話に耳をすませる。


「赤髮ってあれかなネェさん!」


「恐らくそうだろうね?恩人、合ってる?分かる?」


「……」


「あ、ネ、ネェさん大変だ…」


「え、なに?」


「…」


「なんで静かなの?なに?リリー?袋?ふくろ?」


「その馬鹿を寄越せ。」


「…は!?アンタいつのまに!?」


キィキィ喚くピンク髪を無視して茶髪女の背中に縋り付いている塊を引き剥がす。

そして何故か顔面蒼白になって帰ってきた幼馴染(クソモブ)を腕の中に閉じ込めた。


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