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転生者は、鼓舞する

いつもありがとうございます!


ブックマーク登録いただきましてありがとうございます^_^

もうクリスマスですね!

実はこのツンギレでクリスマスっぽいお話を思いついていたんですけど、全然ストーリー間に合わなくてワロタ。

このパルメさん騒動がひと段落ついたらアップしたいと思います。

いつ頃になるかって?はは、ノーコメントで。


今後もよろしければブックマーク登録、評価、感想などお待ちしております^_^


「レイ?」


不思議そうに首を傾げたリリーちゃんに声をかけられ我に帰る。


「う、うん。よろしく。」


「ちなみにアタシはマリーね?恩人がくれた薬、ありがとうね?おかげで助かったからね?」


「マリーちゃん…そっか。よかったよ。よろしくね。」


手を差し出してきたマリーちゃんは恐らくビリーに襲われたネェさんたちの1人。

感慨深く握手を交わすとマリーちゃんは勢いよく私を引っ張りあげ、リリーちゃんが身体から砂を払ってくれた。


「もうレイはおっちょこちょいだな!」


丁寧に砂を払ってくれるリリーちゃんの様子を呆然と眺めながら思う。

身長など多少違いはあれど、先ほど思い出した少女はあまりにもリリーちゃんにそっくりだった。


今まで何度もこういった類の頭痛を経験してきたが、あそこまで鮮明に表情を思い出したのは初めてだ。


さらに頭が割れそうなほど続いていた頭痛は息を潜め、まるで私の反応を伺っているようにも思えてなによりも不気味だった。


「一体どういうことだ。」


兵士さんたちの疑いの視線が突き刺さる。

私の今の気持ちを代弁してくれた兵士さんを見つめると、彼はゆっくり首を左右に振りながら私へと問いかけた。


「キミは女盗賊一派なのか?」


「ち、違います。」


「ではなぜその少女と親しげにしている?」


「それは…友達だからです。」


友達。

その言葉に頬を赤らめて照れている可愛いリリーちゃんはさておき、兵士さんは頭を抱えて盛大に嘆いた。


「なんということだ…相手は犯罪者だぞ。」


「そんなこと言ったらオレと関わった人間は全員犯罪者っすから、特に問題ないっすね。そんなことを気にする人間の世界って柔軟性に欠けてて生きづらいっす。」


一斉に全員が声がした方向に顔を向ける。

すると肩で息をしている3人組が視界に入った。

彼らがいるということは恐らく、そこにいるのだろう。


「白玉!」


「はいっす。ここにいるっすよ。というよりネェさん、頼むから1人で突っ走るのはやめてほしいっす。本気でオレが殺されるっす。」


「す、すみません…」


私が謝った直後、3人組が深く息を吸い込んで敬礼しダンテさんが大きく声をあげた。


「申し上げます!この村に魔物の大群が押し寄せてくるとの情報が入りました!」


「なんだと…?情報源はどこだ。」


「シラタマからです!ですが彼の主人であるアルフレッドも把握しておりますので有力な情報かと!」


ざわざわと一斉に騒ぎ出す兵士さんたち。


するとマリーちゃんが何かを思い出したように手を叩く。


「そういえばマザーが言ってたね?邪なモノが死の森から溢れ出たって言ってたね?」


「マザー?」


「マザーはアタシたちのカカ様だよ。すっごい強いんだ!!アタシのより全然大きな大剣を二本、ぶんぶんぶん回して魔物の首をバッサバサと!」


「あ、うん。もういいよ大丈夫。」


二本大剣を振り回すということは二の腕の筋肉がやばいこと間違いない。

血だまりの中で微笑むゴリマッチョな女性を想像してしまい、思わずリリーちゃんの言葉を遮った。


「うん?…まぁたしかにネェさんの言う通り、そんなこと言ってた。まさかこの村を狙って?だからモルドーラが…」


「モルドーラって…まさか」


思わぬところから出てきたその名前に顔面がヒクつくと、リリーちゃんが青筋を浮かべて憤る。


「そう!レイを危険な目にあわせたテオ・モルドーラ!アイツこの村行きの出入り口を塞いじゃってさ!!誰も通れなくなって大変だったんだよ!」


「出入り口を塞いだ…だと?」


リリーちゃんの言葉に狼狽えた兵士さんたちは呟く。


「俺たちの救援信号が届いてないのか?」


「そんなはずない!リチャードさんは信号を送ったって言ってた!」


「塞ぐだなんてそんな…よっぽどのことがない限りしないよな?」


兵士さんたちの動揺を見たマリーちゃんは数回頷いたあと、なんとでもないように言い放った。


「ふーんなるほどね?見放されたんだね?」


「そ、そんな!」


「そのメスの言う通りっす。助けに来る気なんてさらさらないってことっすよ。いい度胸してるっすね、そのテオ・モノレールって奴。」


「…モルドーラな。」


すかさずムーンさんからツッコミを入ったが鼓膜が破れそうな咆哮が石碑広場から響き渡り、全員耳を抑えた。


「なに!?今の声!」


「魔物の声…?しかもかなり大きいね?」


いかん。こんなことをしてる暇はない。

助けが来ないなら、私たちだけで立ち向かわなければならないのだ。

それだと言うのにあたりを見回すと兵士さんたちは下を向いてしまっている。


靴紐を結び直し、気合いを入れるために頬を数回叩く。

痛い。ということは私は生きている。

そうさ、私はこの人生をまだ生きている。

死んで、たまるものか。


脳裏に浮かぶ頼りになる背中。

鮮烈な赤を思い浮かべながら自分を鼓舞するために、この世界に誕生してから最も大きな声で叫んだ。


「魔物がナンボのもんじゃぁああい!!」


私の声でビックリしたように顔を上げた兵士さんたちを睨みつけ、踏ん反り返って言葉を続ける。


「助けが来ない!?逃げ場所がない!?へいへいブラザー!ないものばかり数えてなにになるってのさ!」


ぽかんと口を開けている兵士さんたちは放っておいて、勢いそのまま白玉へと声をかける。


「白玉!魔物の大群はあとどれくらいで到着見込み!?」


「はいっす。拠点からは距離があるっすからね、ざっと見積もって明日には到着するんじゃないっすか?」


「うっそだろおい結構早いな。」


一瞬で心がめげそうになるがなんとか振り切り、再度声を張る。


「ま、まぁいいや!少しでも時間を稼げるようにアルの結界を補強できませんか!?」


「…何人かで力を合わせればいける。」


「え、イケメンかよムーンさん。じゃあムーンさんを中心に魔力に自信がある人はこのあと私と一緒に石碑広場へ向かいましょう!早急に結界補強をお願いします!」


「「「は、はい!」」」


「あとは魔物と言われても相手の情報が少なすぎるから…あ、そうだ白玉!どんな種類の魔物がいて、親玉は誰なのか調べることはできる?」


「風になってきた匂いとかでだいたいは分かるっすけど。」


「いいね!なら白玉には情報収集に徹底してもらおう!弱点を正確に見極めて勢力を分散させて司令塔を叩ければ勝機はある!」


「ちょっと待つっす!オレはネェさんの護衛を」


「村を守るイコール私を守ることになるでしょうが!以上!」


「え、えぇ…?」


「よっしゃ!じゃあ俺は武器を確認してくる!!」


「最高ですよキッドさん!白玉とうまく協力して最もいい装備を備えられるようにしてください!」


「任せな!」


「あぁ…旦那に殺される…」


悲痛な声を上げる白玉には悪いと思うが、アルだってこうするはずだ。

気持ちはありがたいが、私1人をガチガチに守ったところでなにになる。

私は一般人以下の戦闘力だから何かの間違いで存在すらバレない可能性すらあるというのに。

……うん、それだったら最高。


「最後の難関は村人の安全確保ですね。正直言って村から出れた方が一番いいけど馬車も時間も絶望的に足りない。…なのでこの村で1番安全な場所を知っている方!」


「それならエミリー様のご自宅じゃないか?関所からも離れてるし、そこにはリチャードさんもいるだろうし。」


「え、村人全員集まれるんですか?」


「あそこの洋館なら集まれるだろう。」


「家でかいな羨ましい!じゃあそこで!エミリーちゃんなら納得してくれるはず!」


「分かった。村人たちの避難は任せてくれ。なんとかするよ。」


「ダンテさんの微笑みならみんな安心してくれますね!お願いします!」


もはや誰も下を向いている人間はいない。

全員が自分自身にできることをしようと覚悟を決めたようだ。


「でも問題は契約の魔女だ…どこに潜んでいるかもわからない。」


ムーンさんが顔をしかめながら呟く。

そう、パルメさんの居場所は現在もわからない。

この状態で襲われでもしたらひとたまりもないだろう。

震える右手を隠し、私は自信満々に胸を張って言った。


「そこはこのレイ・モブロードにお任せ!」


「はぁ!?ダメっす!却下っす!」


「その却下を却下!」


「いや、これについては彼の言う通りだ!危ないぞ!」


「大丈夫ですよ。私の右手の疼きはまだまだ絶好調。しかもなんとびっくり、この疼きを利用すれば自然と身体がパルメさんの方へ引っ張られるみたいなんです。」


「だったらなおさら危険だ!」


「いいえ、パルメさんは私には何もできませんよ。そういう約束をしましたし、彼女は絶対破らない。つまり!私が彼女に接触するのが一番安全かつ確実です!!」


と思います。そうであってください。


「私だって嫌ですよ…でも生き残るにはこれしかないでしょう!?出来ることをするんです!分かった!?分かったら早く動く!」


「「「は、はい!!」」」


「作戦名は命大事に!!!死に急いだりしたらぶっ飛ばしますからね!…うん!私の幼馴染が!」


「「「はい!」」」


いい返事が村にこだまし、一斉に行動を開始する。

怒鳴りすぎた喉をさすりながら大きく深呼吸をしていると、リリーちゃんが私の肩を掴み興奮したように続けた。


「レイ…!!アンタ本当最高だよ!!」


「そう…?足はガタガタで今すぐ逃げ出したいぐらいだけどね…!!」


「アタシたちも全力で援助するね?怖がらなくていいからね?」


「リ、リリーちゃんにマリーちゃん…!好き!!」


熱く互いに手を握りあうと深いため息が真横から聞こえる。


「ネェさん、その作戦の通り行動してほしいっす。いいっすか、命大事にっすよ。」


「うん!」


「オレは情報収集に向かうっす。旦那へはネェさんから説明してほしいっすよ。」


「もちろん!」


「はぁ……肝に銘じとくっすメスども。その御方に傷1つつけるんじゃないっす。」


「なんだアンタ!さっきから偉そうに!レイはアタシらが守るから早く行け……って蛇!?魔物!?」


近くの地面に鱗の跡が残り、砂ぼこりとともに強い風が吹きつけた。


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