転生者は、お泊まりする②
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励みになっております…。
もう気づけば12月ですね。今年終わるじゃん。
おっかしいなおい!まだ6歳だぜ!?
どういうこと!?
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「ところで白玉、伝言ありがとうね。…お父さんとお母さん怒ってなかった?」
「?メスの方は特に動揺してなかったっすね。オスは発狂してたっす。」
「私の両親をオスメスで言うのはやめてほしいかな。」
「?事実っすよね?」
「そうだけどさ。」
白玉はおじいさんに出してもらったコーヒーを勢いよく呷る。
そのまま飲み干したと思えば私とアルを指差して声高に叫んだ。
「オレはそんなことより今の旦那たちと現状を教えてもらいたいっすよ!!どうなってんすか!特に旦那!!いろいろぶっ飛んでて頭破裂しそうっす!」
「経緯は説明したじゃねぇかこの駄蛇が。」
「くっ!絶好調っすね!!殺意剥き出しで痺れるっす!でもそのくせネェさんには激あま」
「散れ!!」
「ぶべらっ!」
あぁ、実家のような安心感。
見事に机に顔がめり込んだ白玉を見てなぜかほっこりする。
そんな私のニコニコ顔が気に入らないのか、怪訝そうな顔をしたアルが私の頬を緩く引っ張る。
「何笑ってんだよ。」
「平和だなぁって。」
「甘いっすねネェさん。絶賛この村は平和とは無縁の状態っす。もっと緊張感を持ってほしいっすね。」
「机に突き刺さったままの白玉に言われても説得力ゼロだよ。」
私の言葉にようやく起き上がった白玉は首を左右に鳴らしながら言葉を続ける。
「感覚で分かるっすけど、この村に魔物の大群が押し寄せてきてるっす。」
「ど、どういうこと!?」
「どうやったのかは知らないっすけど、十中八九あの魔女の仕業っすね。あと旦那が張ったこの結界も、一時期の旦那の魔力暴走で大分効力が弱まってるっすから…あんまり過信しすぎないほうがいいっす。旦那の何かしらの弱みを握っていたあの魔女が揺さぶりをかけたっすよね。襲撃するにはあの結界は厄介すぎるっす。」
なるほど、だからあんなに煽っていたのか。
眉を寄せ無言で私の手を握るアルは恐らく心を痛めているのだろう。
あんな事実を知って動揺しない人間などいない。
そんな思いを乗せ、安心させるようにアルの頭を撫でて微笑みかける。
「気にしないでアル。あのパルメザンチーズは私が粉チーズにしてやるから。」
「………アホか。」
呆れたように笑ったアルは頭を撫でていた手を取って、そのまま自身の頬に持って行く。
一度甘えるように擦り寄ると、その綺麗な金色の瞳を一際輝かせた。
「オレがやる。」
「…アル。」
「やられっぱなしは性に合わねぇ。それに……いろいろとケリはつけてぇ。」
アルは乗り越えたいのだろう。
まだその心に過重な負担をかけたくはないのだが、私に止める資格はない。
幼馴染として背中を押してあげるしかないのだ。
「…分かった。怪我はダメだよ。」
「無茶したら口利かねぇ…だったか。」
「そう。隣で見張ってるからね。すぐ分かるんだから。ちょっとでも変な動きしたらもう」
「そんな顔すんな。分かってる。」
優し気に細められたアルの瞳には嘘はない。
そのことに安心して一度頷き、触れていた頬から離して白玉へと視線を戻す。
「?なにしてるの?」
「コーヒーおかわりっす。ちょっと甘すぎるっすから。」
「え、さっきのブラックだったよね。」
「うるさいっすよ。誰のせいだと思ってるっすか。」
白玉はとてつもなく渋い顔でコップ並々に真っ黒なコーヒーを注ぎ一気に飲み干す。
「はぁ……旦那が出るっていうなら仕方ないっす。オレも参戦するっすよ。」
「白玉……いい子!!アルを助けてあげてね!!よっし!頭撫でてあげる!」
「お、やったっす!!」
嬉しそうにこちらに頭を寄せてきた白玉を撫でようと手を伸ばすと、強風とともに綺麗な白髪の頭が一瞬で視界から消えた。
少し視線を下へずらすとまた机に埋まっている白玉が目に入る。
「あ、あれ?」
「オレが撫でたから必要ねぇ。」
「よ、よく言うっすよ!撫でるじゃなくて叩き落とすの間違いっす!!あーあ!これだからオスのしっ」
「おら!!」
「痛い痛い!!痛いっす!!」
少し顔を上げた白玉をまた再度沈めて今度はグリグリと押し込められる。
それでも楽しそうに少し頬を緩ませているアルに、私はとてつもなく安堵した。
「そうと決まればパルメさんに会わないとね。」
「ゲホッ……た、多分あの緑頭の屋敷で張ってれば自ずとやってくると思うっす。」
「緑頭…ってエミリーちゃん?」
「そうっす。旦那から聞いたっすけど、あの魔女の1番の狙いは緑頭のお爺様の抹消らしいじゃないっすか。襲撃するならあそこが一番確実っすよ。」
そういえば。
私はその事実に震え、声高に叫んだ。
「そうだよお爺様!!あの時は突っ込む雰囲気じゃなかったからスルーしたけどさ!お爺様いるなんて知らなかったんだけど!?エミリーちゃんと知り合って数年経つのに会ったことないんだけど!?」
「え…そこっすか。」
「ね!アル!アルも会いたいと思わない!?」
賛同を求めるべく横でお茶を飲むアルに声をかけると、気まずそうに顔を逸らされた。
「あれ?」
「あ、ちなみにネェさんが王都に行ってる間にオレたちは既に会ってるっす。」
「裏切り者ぉおおおお!」
「なっ!成り行きで会っただけだっつの!!」
「成り行き!?一体どんな成り行きなの!?」
「手紙を届ける経緯であのお爺様とやらに運んでもらったっす。」
「手紙……届け…はっ!!」
その時私は思い出した。
エミリーちゃんとアルの可愛い手紙を運んでくれた、不思議な雰囲気を醸し出す金髪の超絶美男子の存在。
16、17歳ぐらいだと思っていたが…あの人がお、お、お爺様…だと……?
「えぇ!?本気で!?あの人がお爺様!?ますますお会いしたい!!今度はぜひともじっくり!」
「あ"?」
「イケメン愛好家の代表としてお茶に誘わないとぉだだだだだだ!?」
握られていた手がミシミシと聞いたことのない音で悲鳴をあげる。
骨と骨がぶつかるような嫌な感覚に涙目になりながらアルに視線を向けると、鋭くこちらを見る金色の瞳と目があった。
「おいクソモブ……テメェまさかジジイにまで鼻の下伸ばしてんじゃねぇだろうな…?」
「何を言うのアル……宝石のように綺麗な瞳、そしてあの優しさ溢れる笑顔!あんな素晴らしい方をジジイと形容していいわけがないぃだだだだだ!!痛い痛い!!」
「上等だゴラァ…あのクソローブと一緒に完膚なきまでに叩きのめしてやる…!覚悟しろあの腹黒ジジイ!」
ジュワッと赤黒い炎がアルの身体から滲み出し、アルの怒気に食器棚が震え、確実に殺人者の顔つきになってしまった様子に驚いていると、深くため息を吐いた白玉が呟く。
「………もうツッコむの疲れたっす。でももう一つ、気になることがあるっすよ。」
「あ"!?これ以上のことがあってたまるか!!」
「いや基準が…まぁいいっす。オレがここ数日、旦那の側から離れた理由にもなるっすけどね。」
人差し指を立てた白玉は、神妙な顔つきで言葉を続けた。
「あの魔女、
先輩を蘇らせた可能性が高いっす。」