表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/194

転生者は、今後の方針を決める

積み上げた座布団に座り、膝を思いっきり叩き注目を集める。


「それでは第2回、緊急会議を開きます。」


『ヒューヒュー!』


『キンキューカイギー!』


「静粛に願います。」


「あ"あ"!?なんも喋ってねぇじゃねえか!……つうかそんな座布団積み上げんな。降りろ。ガキかお前は。」


「少なくともまだ4歳だよ。心配してくれてありがとう。」


「してねーよ!!勘違いすんな!」


前回より少し賑やかになった会議。

議題はもちろん、今後のことについてだ。


「それでは妖精代表、ゴルゴンの肝の獲得にはどれほど時間がかかりますか。」


『ハーイ!今はゴルゴン達は睡眠期間だからあんまり取れないと思うヨ!多分1ヶ月くらいカナー?』


『ちなみにエマの病気が進行してるカラ、これがラストチャンスになると思うヨ!』


「…そんなに進んでるの?お母さんの病状。」


『進んでるネーしょうがないネー。』


なるほど、悠長にしている時間はあんまりないわけだ。


「おい…お前の母さん、具合でも悪いのかよ。」


「うん?ああうんそうなんだよね。石病っていうやつなんだけど…」


『アルのおじいちゃんと同じ病気だよネ!』


「そうそう同じ…って……え?」


おいなんだよと私に聞いてくるアル。

あまりの衝撃に頭がついていかない。


「アルのおじいさん、具合悪いの?」


「……なんでそんなこと聞いてくんだよ。」


「妖精さんが言ってた。」


「いらねぇことをペラペラと!!全部捕まえて売りさばいてやろうか!」


『ヒャー!オッカナイ!』


アルが1人で飛び回っている姿を尻目に考える。


(もしかしてあのポーションをおじいさんのために使おうとしてたのかも…)


あれで助けられるかもと思ったのに、私が探してるのを知って返してくれたのだ。

私の頭も優しく撫でてくれたおじいさん。出会ったのは一昨日だが、知ってしまった以上、放っておくという選択肢はなくなった。


(互いに平和な生活を営むためにも、助けられるのであれば…)


「ねぇ妖精さん。そのおじいさんの病状はどのくらいなの。」


「おい!」


『ウーン、もっと近くで見てみないとワカラナイけど、タブン2週間くらいでアウトー!』


『しかもあのおじいさんはもっと重たい症状ダカラ、もっともっと素材がイルヨ!』


なんてこった。2週間だと…?

しかも素材がもっといるなんて。

これはやばい、時間がない。すぐにでも行動に移さねば。


「おいどうした。」


顎に手を置き動かなくなった私を見て、1人跳躍をやめ近づいてくる。


「コイツらになに言われたか知らねぇが、お前には関係ねぇよ。大人しくお前の母さんの薬を」


「関係ない……わけないでしょう?」


アルの肩に手を置き、真剣に訴える。

思わず力が入るが気にしていられるか。


「いい?アル。私はあのおじいさんとは2日ぐらいの付き合いだけど、優しい人だなって思ってる。まだまだたくさんお話したいし、夢だったお隣さん同士でバーベキューとかしてみたい。」


「……あ?バーベキューってなん」


「いいから聞いて。私はねワガママなんだよ。何より家族と平和に暮らしたいの。特にお母さんなんてお隣さんができて嬉しそうだったから、私はそれを守りたい。なにか出来ることがあるなら、諦めたくないの。オーケー?」


「……………」


「そしてアル。妖精さんたち曰く……おじいさんにはあんまり時間がない。」


「……っ。」


「アルは、おじいさんともっと一緒に居たくないの?」


お前、やっぱりうるせぇな。

そう言ったアルの声が心なしか少し震えていた気がしたので、頭をヨシヨシ撫でたら無言ではたき落とされた。痛い。


「そこまで言うならなにか策があるんだろうな?」


「私は魔力のカケラも持ってない凡人。だけど、ご心配なく。力強い味方がここにいる。…………さぁ!妖精さん!お願いがあります!」


『ハーイ!!ナニー?』


「全ての素材入手を手伝って!むしろ、持ってるのがあれば頂戴!!2週間以内に!」


「図々しいやつだなお前!!」


「もちろん!手伝ってくれた暁には!君たちの住処をより豪華にするよう、父親に掛け合うことをお約束しましょう!」


『ホントー!?』


「私が嘘をついたことがありますか!」


『ナイー!レイちゃん最高ー!』


「分かればよろしい、では散開!」


『アイアイサー!』


アルが周りをキョロキョロ見回し、ため息を吐く。もうツッコむことにも疲れたようだ。


「ほんとに出て行きやがった。………信用できんのかよ妖精を。」


「もちろん、あの子たちは私の自慢の家族だからね。それに見てよこの妖精の粉の量。なんだかんだ頼られて嬉しいんだ。かわいい奴らめ。」


「そうかよ……お前ほんとになんなんだ…」


「一般人。」


「一般人が妖精を使いっ走りになんかしねぇよ!!」


彼らはきっと私たちのために全力を尽くしてくれるだろう。だが彼らに甘えすぎるのも良くない。


「さてアル。記念すべき初お仕事だよ。」


「はっ……なにすんだよ。」


「私たちも出来る限り材料を集めなくちゃ……そのためにも村に行かないとね。ということで両親の説得を手伝って。……あ、でもお父さんが面倒だな。やっぱり可能であれば1人で説得してきて。」


「ほんと他人をこき使うなお前!!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ