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少年は、考える

12500PVありがとうございます!

また20000ユニーク超えありがとうございます!


ブックマーク登録いただきましてありがとうございます^_^

いよいよ10月突入ですね!今月も頑張りますよー!


今後もよろしければブックマーク登録、評価、感想などお待ちしております!


非常に疲れる1日だった。

あの後騒ぎ続けるモブをなんとか家まで送り届け、そのまま帰路を急ぐ。


「アル!エミリーちゃんに会いたい気持ちは痛いほど分かるけど1人で会いに行っちゃダメだからね!?絶対だよ!?お姉ちゃんと約束しなさい!」


「あ"?お前が姉とか死んでもごめんだわ!いいから今日は早く寝ろ!」


「ひどっ!?」


(言われなくても会いに行かねぇっつの。)


何故好き好んであのエセ聖女に会いに行かねばならない。

むしろアイツの方がオレを放って会いに行く傾向があるだろう。

なんだかんだ言っていつも置いて行くのはアイツだ。


(…待て待て!その考えだとまるでオレが拗ねてるみたいじゃねぇか!!!)


頭の中を空にするため思いっきり頬を叩き、数回頭を振る。

よし、すっきりした。

話を元に戻そう。


とにかく心配されるのは悪い気はしないものの、あの調子では身体に毒だ。

さらに気がかりなのは、あの女のお知り合いとやらが近いうちにこの村にやってくるということ。

結界を張っている以上変な虫は入っては来ないとは思うが。


(警戒しといて損はねぇだろ。)


対策方法を考えながらおもむろに自宅の扉を開けると、白蛇が舌を出しながらカーペットのように横たわっていた。

ウルウルと瞳を潤ませてこちらを見つめる様子をちらりと一度確認して、奥にいるジジイに声をかける。


「おいジジイ!蛇の皮のマットなんていつ買ったんだ!!白なんてすぐ汚れるじゃねぇか!取り替えてこい!」


「ひ、ひどいっす旦那ァ!オレずっと待ってたんすヨォ!?」


「知らねぇよ!つうかお前なんで蛇に戻ってんだ!!喧嘩売ってんのか!!」


「それがしたくても変化できないッス…!少しは楽になったっすケド、今朝からずっと気持ち悪いッス!妖精が纏わりついてるヨウナ…グスッ!とにかく助けてほしいッスヨ!」


「あ"?何でオレが!」


「ほれアル!シラタマくんは具合が悪いんじゃ!優しい言葉ぐらいかけてやらんか!」


「じ、爺チャン!!爺ちゃん大好きっス!」


涙をポロポロ流しながらジジイに頭を擦り付けるシラタマの様子を見ながら、一応は理由を考えてみる。

恐らくコイツが具合悪いのはあの聖女のせいだ。

あの女の魔力は何処となく妖精の魔力の質と似ている。

一時的でもこの村に降臨したせいで魔物であるシラタマは自身の力を上手く制御できず、体調不良を起こしているのだろう。


「はっ、だっせぇ。」


「え!?急になんスカ!?ひどいッス!ウェェエエン!旦那がいじめるッス!」


オレの言葉にさらに涙腺を崩壊させたシラタマはジジイの腹部へと頭をぶつけ泣きつく。

弱い。そして魔物なのにジジイに泣きつくってどういうことだ。


「シラタマくんが可哀想じゃろアルフレッド!そんな調子だと心が狭い男だとレイちゃんに言いつけるぞぃ!」


「っはぁ!?なんでそうなんだよ!」


「優しいレイちゃんには幸せになってもらいたいからのぉ…人を思いやれん輩はあの子には相応しくないじゃろうて!」


「どういう立場なんだよテメェは!そもそも人じゃねぇだろ!!蛇じゃねぇかソイツ!」


「命あるもの皆平等じゃ!ほれどうするんじゃ?いいのか?レイちゃんに心が狭い男だと思われても?」


こちらを試すように視線をよこすジジイを鼻で笑いそっぽを向く。

何でもかんでもモブの名前を出せば引くとでも思ってんのか。


「甘ぇな。別にそんなもん今さら」


「そういえばあのランディとかいう奴は心が広かったッス。」


「あ"?」


突如聞こえたその名前に思わず過剰に反応する。

シラタマを見るとニタリと憎たらしくほくそ笑む顔が目に入った。


「ランディとは誰じゃ?」


「今ネェさんととっても仲が良い男っス。オレがどんなに馬鹿にしてもオトナの対応ッス。ネェさん曰く『いけめん』らしいっスヨ。」


「いけめんってなんじゃ?じじいには分からん。」


「多分良い意味っス。」


そんな2人の会話を聞きながら思い出す。

いけめんという言葉はかっこいいとかそういう類の意味だったはず。

確かに同じ男のオレから見てもアレは整っているとは思う……思うが。


王都にいるくせにまたチョロチョロと。


ふつふつと湧き上がるドロドロとした感情に火をつけるようにシラタマがさらに続けた。


「ランちゃんは今まで会った人の中でもいい男とも言ってたッス。」


「ッッチ!!!!」


「おぉ…すごい舌打ちじゃな。」


「今度王都に行けたらデートするみたいっすヨ。あ、そういえば旦那は明日ネェさんを誘えたんスカ?」


「……。」


「…まさかまだ誘えてないんスカ?エ?ジョーダンっすよネ?」


この蛇、干物にしてやろうか。


事実、そこは自分自身も気にしていた触れられたくない点である。

先日破裂しそうなほど暴れ狂う心臓を押さえ込みながらなんとか言葉を絞り出したが、あの馬鹿は全く聞いておらず。

それから何度も言おうと努力するが言葉に出来ず、未だに妖精の夜渡りを共に見る約束を取り付けていないこの現状。


(それもこれもあのクソえくぼのせいだ。)


全く関係ないとは分かっているもののとりあえず脳裏に浮かぶクソえくぼに全力で蹴りを喰らわせながら、キツくシラタマを睨みつける。


「分かった。テメェの不調の理由は大方予想できる。近いうちに綺麗さっぱり取り除いてやらぁ…」


「さっすが旦那ッス!!ヨ!いい男!!」


「うるせぇ!!死ねカス!!その代わりテメェも協力しやがれ!」


「もちろんっすヨ!で、ネェさんと明日は何時に待ち合わせっスカ?」


「なんじゃなんじゃ!デートなんてやるじゃないかアル!!気合いを入れんとな!ジジイにも詳細を教えんか!」


ああもう面倒だ。

大股で2人の横を通り過ぎ、力任せに自室の扉を掴み叫ぶ。


「知らねぇ!明日誘うわクソが!!」


バンッと勢いよく扉が閉まった衝撃で何枚か食器が落ちて割れた。

その破片を眺めて2人はよくよく先ほどのアルフレッド言葉を吟味する。


「明日?」


「誘うってつまりは…」


無言で互いの表情を見合わせた後に呆れたように呟いた。


「「やっぱり奥手だのぉ/ッスネ」」


「聞こえてんぞゴラァア!!」

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