5 同期
ショウはマルマに来て三回目の朝を迎えた。昨夜はいつのまにか眠っており、それがよかったのか今朝は周囲のざわめきで目が覚めた。多少の筋肉痛はあったが、前日のツァーレの治療効果がまだ生きていたのか、まずまず動ける程度には回復していた。
となりでは彼の服を抱えたまま眠っているアイリがいる。迷った末、起こすことにした。
「アイリさん、仕事請けるなら起きないと。おーい」
モゾモゾと身じろぎするが起きる気配がない。そうこうしているうちに、お仲間たちはエントランス・ホールに移動をはじめていた。
「まずいな。おーい、アイリさん。せめて起きるか休むかだけ答えてくれー」
質問が無意識下でも聞こえていたのか、腕を振った。寝ぼけているらしい。
「ほっといて、お母さんっ。わたしはいいのっ」
今まで聞いたことのない音量であった。ショウはもちろん、周囲も注目する。
「完全に寝ぼけてる……」
ショウが苦笑すると、通りかかった栗毛の女の子が「あるある。慣れないうちはしょうがないよー」と笑って去っていった。周囲からも笑い声が漏れている。それに混じって、見知らぬ男女の会話も聞こえた。
「なぁ、あの子、どっかで見たことない?」
「そうそう、あたしも気になってたんだ」
「あ、あれだ、思い出した。インフィニティ・ハーツ!」
「あーあー、それっ。インフィニ3のアイリ!」
「でもコスプレって感じじゃないよな」
「肉体変換のときに似せたのね」
「あそこまで変えるって、相当だよな」
ホールへ向かう二人の会話は、そのあたりでショウの耳には届かなくなった。
インフィニティ・ハーツは大人気コンシューマRPGだった。ファイア・オニキスと肩を並べる日本RPGの代表であり、どちらがゲームとして上か、派閥争いもあるほどだ。
ショウ自身はファイ・オニ派で、話に出たインフィニ3は未プレイだった。だが、ゲーム情報系ホームページなどで紹介記事は読んでいたので、『アイリ』というキャラクターに覚えはあった。
「なるほど、どこかで見たと思ったらそういうことか……。て、いや、それどころじゃない。どうする、寝かせておくべきかな」
ショウは頭を振って、改めて彼女を見下ろした。
「やっぱり、寝かせて――」
「……いやなの。わたしは、怖いの……」
アイリは辛そうな表情を浮かべて、ささやいた。
ショウは悩み、考え、頭をかきむしった。
そして――
「起きろー!」
怒鳴ってみた。休憩所には二人以外残っていなかったからできた暴挙である。
「はいっっ!」
アイリは飛び起き、見慣れない風景にキョロキョロと視線を飛ばした。なぜか正面にいるショウに気付いたのは最後だった。
「起きたね。よし、仕事いくぞ」
「え? え? え?」
「自分の状況を思い出して。もうみんな出て行ったよ。ヘタすると一日中ここに篭もるハメになるぞ」
ショウは靴を履き、少女に手を差し出した。
アイリはしばし呆けて、それからおずおずと手を伸ばした。
「ほら、いこう」
「……うん」
アイリは小さくうなずいた。カバンを掴み、引かれるままについていく。
ホールのほうから多くの声が聞こえてくる。皆、仕事の開示を待っているのだ。
「はい、静かに。おはようございます」
受付台の上で挨拶する女性がいた。受付職員の中で最年長のパーザ・ルーチンだ。受付暦七年、未婚である彼女は、つい先日、半年付き合ったカレシにフラれたという噂があった。
ところどころ返される挨拶を聞きながら、ショウとアイリは何が起きているのかわからず、とりあえず群集の最後列に回った。
「本日の作業依頼を発表します。まずは定番作業者から。名前を呼ばれたら依頼書を受け取ってください」
ショウとアイリは更に頭の上に『?』を並べた。
戸惑っている二人に気付いたのか、近くにいた青年が親切に説明してくれた。
作業にはほぼ毎日のようにあるものと、一度かぎりの単発のものがある。前者が定番作業と呼ばれ、それに従事する召喚労働者を『レギュラー・メンバー』という。対する後者の単発作業を行う者を『スポット・メンバー』と呼称している。
ショウは二度うなずき、アイリはその倍以上の数と速度で繰り返した。
「コーヘイさん、サトさん、レイジさん、本日も薬草採取の警護をお願いします」
二人が説明を受けている合間にも、レギュラー・メンバーに呼びかけるパーザの声が続いている。呼ばれたメンバーが、パーザの補佐を務めるツァーレ・モッラから依頼書を受け取っていた。『警護』と言われるだけあり、全員が革鎧と剣を装備していた。ショウは憧憬の目で彼らを見ていた。
「レギュラー枠から二名の空きが出ました。レベル2以上限定の早朝からお昼までの畑作業です。また、薬草採取班など、常時募集中の定番作業も掲示板に貼りだされています。興味のある方は後ほど受付までお越しください」」
受付台から響くパーザの声に、ショウは寂しさを感じた。きっと空いた二名枠というのがカッセとリラなのだろう。二人はもうここにはいないのだ。
「続いて、依頼者様からご指名で来ている作業です。依頼を受けるかどうか返答をお願いします。返答なし、または拒否された依頼はスポットに回します」
「これは説明いらないだろ?」ショウとアイリの眼差しを感じて、さきほどの親切な青年は苦笑した。
「ですね。指名されるって、よほど信頼されているんですね」
「まぁそうだな。ただ、ときどき変なヤツも混ざるからな。そういうのがスポットで来られても困るから、比較的まともだったヤツを頼むってのもあるが」
ショウはまだ日が浅く、また、同作業メンバーには恵まれていたのでよくわからなかった。ただ、これだけ人間がいれば、変わった性格の人がいてもおかしくないのは理解できる。
「イソギンチャクさん、15時から20時、中区アリアン通り12の農園会館から書棚整理作業依頼が来ています。どうしますか?」
「受けます」
イソギンチャクの野太い声が聞こえた。対極の壁側からだったが、よく通る。
さすがだな、とショウは感心した。さきほどは定番の市場での荷降ろしでも名前を呼ばれていた。できる人間は引っ張りダコなのだ。
指名作業が裁け、残るは穴埋めのスポット・メンバー選出となった。これはまず大きくレベルで分けられ、大きいレベルの作業から埋めていく。レベルが高い人間は低レベルの仕事もできるが、逆は不可能だからだ。例外が初心者でもできるグリーン・ラベルの仕事で、こちらはレベルが低い者が優先される。
そうはいっても、全員に満遍なく仕事が回るわけではない。一つの募集に対し、希望者が複数集まるのが常である。よさそうな仕事や、楽そうな作業などを厳選している余裕はない。ヘタをすると稼ぎがないまま終わってしまうからだ。その心理をついた振り分けが、受付暦七年のパーザ・ルーチンは絶妙だった。それゆえに影で『狐ねーさん』と呼ばれ、畏怖されている。「あの調子で振り回されたら男はたまんないだろうな」とは彼女の前では禁句であった。
最終的に、多過ぎる人数を淘汰するのはジャンケンである。ショウとアイリは、レベル1でも可能な依頼が出てくるまで大ジャンケン大会を見学していた。解説をしてくれた青年は三つ目の依頼でようやく仕事が決まり、依頼書を受け取ると二人に手を振って出て行った。
「レベルが上がるとサバイバルだな……」
「うん……」
二人は今後が少し怖くなった。
「では、ここからは先にグリーン・ラベルを決めます。レベル1の方、前に来てください」
パーザに呼ばれ、ショウたちは受付前に集まった。合計6名、男女比は4対2。レベル1は自分とアイリだけだと思っていた彼は、他に四人もいたのに驚いた。
「作業依頼は二つ。三名、四名で来ています。一つ目が8時から16時、縫製工場での縫製作業と補助、三名。裁縫ができると優遇されます。できなくても補助作業がありますので大丈夫です」
狙ったような作業である。できる仕事があるか怯えていたアイリの顔が明るくなっていた。
「もう一つが8時から14時、建設現場の荷揚げ・手元作業、四名です」
あからさまにレベル1グループは萎えた。響きからして辛いのがわかる。
察したのか、パーザが付け足す。
「大丈夫です。いちおう初心者歓迎の依頼ですから。多少の怪我も労災で何とかしますので」
「フォローになってねぇ」
ショウの隣からボヤきがこぼれた。目つきの鋭い黒髪の小柄な少年だった。ショウと眼が合って、ニッと笑った。悪いやつではなさそうだとショウは直感した。
「ではまず、建設現場のほうから。どなたかいますか?」
ショウにはこの場合の選択肢はなさそうだった。ヘタに縫製工場を選んでジャンケン大会にでもなればアイリが弾かれかねない。かといって、仕事をしないわけにもいかない。
「「オレ行きます」」
ショウの声と、もう一人がかぶった。となりの黒髪少年だった。
「おまえも選ぶと思ったよ。よろしくな、マルだ」
軽く肩を叩いてくる。馴れ馴れしいが、悪くはない。学校の友達を思い出す。
「オレはショウ。よろしく」
「他にいますか?」
パーザの問いかけに残った男二人は互いを見るが、それ以上の動きはなかった。
「では、縫製工場を希望する方」
残り四名が手を挙げる。サイドテールの赤毛の少女だけが自己主張するように大きく手を上げ、アイリを含めた残り三人は肩の辺りで手がとまっている。
ショウの横から舌打ちが聞こえ、マルを見ると二人の男たちに露骨に嫌な顔をしていた。情けないとでも思っているのだろう。
「では、優遇対象となる裁縫ができる方を優先したいと思います。挙手を」
アイリと、二十歳くらいの男が小さく挙げた。「ホントかよ」とマルが毒づく。
さすがにムッときたのか、男が「これでも服飾の専門学校に通っていたんだっ」と怒鳴った。が、その勢いはすぐに衰え、「中退したけど」と付け加える。
マルはそんな彼をさらに挑発するかと思いきや、男のほうに体ごと向いた。
「それは悪かった。すまん」
と、頭を下げた。
全員が意外に思い、一瞬だけ空気が固まった。
「で、では、二人は決定ということで、もう一人は――」
「彼はともかく、こっちの女はわかんないでしょ!」
もう一人の女の子がアイリを指差した。
アイリはビクつき、一歩下がった。
「いや、彼女が裁縫できるのはきのう見てたから知ってる」
ショウがアイリをかばう。しかしそれがさらに彼女を刺激したようだ。
「何よあんた、関係ないでしょ、割り込まないでよ!」
「はい、ケンカはやめてください。現場でもその調子では困りますから、あなたは別のお仕事が来ましたら優先でご紹介しますので――」
「だからなんであたしなのよ! こいつが抜ければいいだけじゃない!」
さすがのパーザも頬がヒクついている。
「ったく、めんどくせぇなぁ」マルが舌打ちしながら、縫製工場グループにいた最後の一人を引っぱった。
「おら、こっちこい。おまえがこっち来ればすべて解決なんだよ」
「ボク!?」
見るからに気弱そうで少しふくよかな少年が、声を裏返させた。
「そうだよ。裁縫できんのか? できないんだろ? だったらこっちで男の友情深めようぜ」
「やだよ、せめてジャンケンで――」
「いいからこいって。これ以上、みっともないとこ見せてるとモテねーぞ」
「別にいいよ、そういうのがイヤだからこの世界に来たんじゃないかぁ!」
「バカヤロウ、こっちに来たからこそ、向こうで出来なかったことすんじゃねーのか? どうせならモテようぜ!」
マルが強烈なウィンクをする。だが、少なくともこの場にいる女性には効果がなさそうだった。
「……わかったよぉ」
どこに説得のツボがあったのか、彼は折れた。
そんな彼の背中を、「それでこそ男だ」とマルがバンッと叩く。
「なによあんた、いいとこあるじゃん」
突っかかっていた女の子も、何がハマったのか『いい雰囲気』に流れていた。
「だろ? そっちも仲良くやれよ。仲間なんだからな」
「わ、わかってるわよ」
彼女はアイリに「悪かったわね」とぶっきらぼうに謝った。「ツンデレかっ」と全員が内心でツッコんでいた。
「えー、では、メンバーはこれでお願いします。こちら依頼書になります」
パーザが苦笑いしながらそれぞれに依頼書を配る。建築組の四人目は、スポット・メンバー募集で選ばれたレベル2の男性である。
「よし、行こうぜ」
マルはすっかりリーダー気分で仕切っている。レベル2の先輩スカルピオンは「現地でな」と告げ、さっさと行ってしまった。初心者の面倒をみるつもりはないらしい。
「マル、悪いけど先に行っててくれ。洗濯物を取り込んで、水を汲んでから行く」
「あんだよ、水臭ぇなぁ。そんくらい待ってやるよ。三人でメシでも食ってから行こうぜ」
「ボクも?」
三人目は驚いた。必要以上にかまって欲しくはなかった。
「いーじゃんか、今日のお仲間だろう。えと、名前なんだっけ?」
「……アキトシ」
「まんまか! まぁ、名前だもんな。大事だよな。オレはマルだ」
「今おまえ、なんて言った?」とツッコみたいのを我慢して、ショウも名乗った。
男三人がワイワイやっている横で、ツンデレ子がアイリに近寄った。
「あたしらも行こうか。あいつじゃないけど、ご飯食べるでしょ? いい店しってるから」
「あの、えと……」
アイリは人見知りモードを発動させ、返事に困っていた。さらには、謝罪はされたが先ほどの剣幕はマイナス・イメージしか残っていない。
「あ、名前ね? アカリよ。あんたは?」
「訊いていない」とは言えず、「アイリ……」とか細く答えた。
「やっぱ、インフィニのアイリなんだ? あれカワイイよね、ちょっと狙い過ぎだけど。でもヒロインはやっぱ女騎士のエルティナでしょ? ね?」
「えと……」
さらに答えに困る。
「そのへんも交えてとりあえず行こうか。ご飯食べる時間なくなるわよ」
「えーとぉ……」
アイリはそのままアカリに拉致られていった。ショウはアカリをそれほど悪い人間とは思わなかったので、あえて口を挟まなかった。でも、ゲームとしてはファイ・オニ最高なのは譲れない。
そんな慌しい一幕のあと、レベル1グループ6名は、なぜか同じ店で同じ卓を囲んでいた。アイリを連れたアカリが先に店にいて、それからマルに引きずられたショウとアキトシが、最後に一人でゆったりと食事をするつもりだった元・服飾学校生のリーバがやってきた。店が混んでいるので相席となり、作為的ともいえる偶然の結果、同じテーブルにつくハメになっていた。
「なんであんたらまでこの店なのよっ」
アカリがマルに突っかかる。
「オレのが先にこの店を発見したんだ!」
「あたしはあんたより先にここを教えてもらったわ」
「いつだよ!?」
「騒ぐな」ショウは、テーブルに乗り出すマルのベルトを引いて座らせた。
「しょうもないことでケンカするなよ。どう見たってここ、召喚労働者の溜まり場だろ」
ショウが『コープマン食堂』の店内を見回す。どのテーブルも同業者で埋まっていた。異世界人管理局から最も近く、最もリーズナブルな食堂だからだろう。メニューの値段を確認して、ショウはすぐにわかった。もっと早く知っていれば、きのうは三食ともパンで過ごさずに済んだはずだ。そういう意味では開拓心や積極性が少年には足りなかった。
「チッ、今回は勘弁してやらぁ」
「なんで偉そうなんだよ」
苦笑するショウの正面で、アイリが注文を真剣に選んでいる。どうやら緊張は解けているようだ。
ショウもメニューを広げてみたが、朝は専用メニューしかないのがわかった。チラリとアイリを覗うと、あからさまにガッカリしている。通常メニューに気になる物があったのだろう。彼女が倒したメニュー表はスイーツのページを上に向けていた。
「オレ、Aセットでいいや。リーバさん、でしたよね? メニューどうぞ」
「ああ、ありがとう」
一人、孤高を保っていたリーバが落ち着いて応えた。先ほどの怒声が嘘のようである。それとも、『服飾』というものにこだわりがあって、だからこそ感情を昂ぶらせたのだろうか。どうであれ、少年には訊く意思はなかった。プライベートに触れるほどの親密な間柄でもない。
全員が注文を終え、しばらくの待機時間が生まれる。
「でさ、あんたらガチでいくつ?」
「ブフッ」
アカリの発言に、ショウは水を噴いた。
「いきなりリアルぶっこむか!?」
「なによ、これだってリアルでしょ? まさか夢をみてるとか思ってる?」
「いや、思ってないけど、この世界に実年齢とかプライベートを持ち込むことないだろ」
「そんなに怒ること? 軽く流せばいいじゃない。ちな、あたし17。女子高生よ」
「なんだ、オバサンか。言動も体もガキっぽいから小学生かと思った」
マルが呆れたように頭を振った。
「クソガキ、年下か。道理でサルっぽいと思った。マルじゃなくてサルでいいわよね」
「なんだと?」
「やめろっての。だからそういう話をするなっていうんだ」
誰も仲裁しないので、仕方なくショウが二人を止める。
「そういうおまえは何歳なんだよ。妙に悟ったように言いやがって」
マルの矛先がショウに移る。
「だから話さないっての。親友にでもなったらそのときな」
「よーし、なってやるからみてろ」
「はいはい」
ショウがため息をこぼしたとき、最初の注文が届いた。Aセットが3つ。ショウとアイリとリーバの分だ。パンと野菜スープ、ハムののったサラダがセットになっている。ドリンクには紅茶がついてくる。コーヒーはそもそもないらしい。
「久々に食事って感じだ。一日目以来だな」
そのときも思ったのだが、この街の食事は基本的に塩気がきいている。というか、他の調味料がないのだろうかと疑いたくなるほど、塩味が目立つのだ。
ショウはお湯をもらってスープを少し薄めた。ついで、アイリにも残りのお湯入りカップを渡す。彼女も同じ味覚だったらしく、「ありがとう」といってお湯を差す。リーバにも勧めたのだが、彼はちょうどいいとそのままだった。
そのうちに他の三人にも食事が運ばれてくる。マルとアカリが目玉焼きとウィンナーがメインとなるBセット、アキトシはピザ・トーストとマッシュ・ポテトのCセットだ。
腹が満たされると心も安らぐのか、その後は揉め事もなく店をあとにした。
途中で道を分かち、それぞれの現場へと向かう。
「遅いぞ」
先に到着していたレベル2の先輩スカルピオンが三人を睨んだ。たしかに時間は迫っていたが、遅刻をしたわけではない。
ショウは素直に謝り、アキトシは必要以上に低頭し、マルは不満げに無視した。
四人は現場監督のもとへ行き、作業内容の確認をする。三階建て一般住居の、三階の床と壁に使う板材の搬入および施工補助と説明を受けた。
「階段かよ、たりぃ~……」
ボヤくマルに、監督が首を振った。
「屋根の梁に滑車をつけて引き上げるんだよ。おまえたちはそのロープ引きと、三階への取り込みだ。はじめは足場を作りながらだから気をつけろよ。命綱を忘れるな」
「それって階段とどっちが楽なんだ?」
マルがさらにボヤいたが、誰も答えなかった。
「では、危険予知だ。この作業の注意点は?」
「高所作業なので自身と道具の落下。対策は命綱と、道具の落下防止紐をつける」
スカルピオンが間をおかず答えた。
「他には?」
監督が残り三人に等しく視線を飛ばす。
このような経験のない三人には、すぐに答えがでなかった。
ショウは必死に考える。何でもいいから言ってしまったほうがよさそうな雰囲気だった。
「えーと、滑車で上げるから落下……はもう言ったから、えー、板が長いから危ない?とか」
「その場合の対策は?」
「出来上がっているところや、いっしょに作業してる人にぶつけないようにする? 危なかったら注意を喚起するとか」
「声かけだな。そっちの三人は慣れていないようだが、だからこそそうやって考えるのが大切なんだ。誰だって怪我はしたくないし、させたくもないだろ? 危険をはらむ仕事だからこそ、危険について考えておくのが大切なんだ」
監督の言葉にショウは深くうなずいた。マルでさえ、「かっけー」と尊敬のまなざしを向けている。
「じゃあ、重い物だから無理に持たないっ。みんなで持ってなるべく楽をする!」
「楽するとか言うな。が、おおよそ間違っちゃいない」
「よしっ」
マルはなぜかガッツ・ポーズを決める。
「おまえはあるか?」
監督が最後に残ったアキトシを見る。
彼は彼なりに考えているが、言葉としては出てこなかった。
「……まぁ、いい。作業をしていればわかることもある。たとえば、不意の事故に備えることとかな」
いくら注意をしようとも、事故が起きないとは断言できない。だからそのときに少しでもダメージを抑える用意は必要なのだ。監督はそう言って、四人に装備を渡した。
「ヘルメットと安全靴だ」
ヘルメットも靴も統一性はなく、皮製や鉄製と材質の差が激しい。ヘルメットなど戦闘用のフルフェイスがあり、よく見ると血痕のような汚れがある。
「まさか建設現場でかぶるハメになるとは……」
戦闘用装備はファンタジーRPGマニアにとっては一種の憧れのアイテムである。その感動の初体験が現場作業になるとは思いもしなかった。
サイズ的な問題もあり、ショウがホーン・ヘルムの角をへし折った物、マルが皮のキャップ、アキトシが鎖を編んで作ったコイフ、スカルピオンがフルフェイスだ。安全靴も一つとして同じ形はなく、マルが履いた物など何かを蹴っ飛ばしたら突き刺さりそうな尖り具合だった。
「オモチャの兵隊みてーだ……」
マルがボヤいた。残り三人も内心で同意していた。
「よし、行くぞ」
監督が四人を引き連れ、作業現場となる建物へ案内した。
路上に2メートルほどの板が数十枚積まれていた。見上げると、建物から張り出した定滑車があり、ロープがかかっていた。ここから材料を上げるのだろう。
四人は監督に紹介された現場の職人とともに三階へ階段であがる。二階も内装は出来ておらず、打ちっぱなしの板だらけであった。すべてのフロアの大枠が完成したのち、モルタルやレンガで壁を造っていくのだそうだ。
三階はまだまったくの手付かずだった。二階の天井となる梁の上に幅400ミリの平板をかけて通路にしているだけで、吹き抜け同然であった。
「足元に注意してついてこい」と職人は普通の道を歩くように滑車のあるほうへ進んでいく。マルとスカルピオンは余裕で従い、ショウはビビリながら一歩ずつ確かめるようについて行く。
「無理だよ、ボク、無理」
アキトシは階段を上がりきったところでへたり込んでいた。
「おまえな、来なきゃ仕事になんないだろ」
マルは呆れた。「何しに来たんだよ」とまで言い放つ。
「おまえが無理やり連れて来たんだよっ」
さすがにショウは助け舟を出す。対して「そうだっけ?」と応じるのがマルだった。
「たしかに仕事にならないな。……いいよ、おまえ、足場ができるまではそこにいろ。床板を張れば動けるだろ」
職人も呆れてはいたが、日雇いに文句を言っている時間ももったいない。彼は残り三人を滑車前まで連れて行った。
「一列に並んで、命綱を張れ」
四人は近くの柱に命綱を結ぶ。路上を覗き込むと、材木束の両端にロープを巻きつけているのが見えた。
「オレが合図を出したらロープを一度だけ引け。四人で同時に、同じ長さだけ引くんだ。先走ったり、遅れたりするな。合図のたびに一度引く。引いたらそのままを維持する。ロープを体には巻きつけるな。わかっていると思うが、次を引くときに手を放す場合は片手ずつだからな」
職人からの指示を受け、三人は「はい」と応えた。マルも今は真剣な顔をしている。
「『せーの』と言ったら引くぞ。長さは……ちょっと手を伸ばしてみろ。そうだな、その少し手前くらいを両手で持って、体に寄せるよう一気に引くんだ」
ロープは持たず、試しに数回練習してみる。まぁまぁ、息は合っていた。
「慣れてきたら少し長くしていくぞ。それと手袋はあるか? 今のうちにつけておけ。あるとないとじゃ力の入り具合が違う」
ショウは「はい」と答え、ポケットから皮手袋を出してはめた。スカルピオンとマルもショウよりも仕事暦が長いので、当然、持っている。
階下から、「よし、いいぞ」と声が飛んできた。
職人が顔を出し、「引くぞー」と怒鳴り返す。板の周りから人が退いた。
「よし、ゆっくりでいいからな」
職人の言葉に、四人はうなずいた。ロープに手をかけて、スカルピオンは息を吸い込んだ。マルは肩を回してほぐしている。ショウは合図に集中して呼吸を止めていた。
「せーの!」
四人はロープを引いた。二十枚以上の板が載っているためかなりの重みがかかる。が、思ったよりは楽にあがった。
「止めろ。大丈夫か?」
「大丈夫です」とスカルピオン。
「四人ならヨユーっすかね」とマル。
「いけると思います」とショウ。
「よぉし、それじゃ上げきるぞ。せーの!」
四人は綱引きを繰り返し、滑車のギリギリにまで上げた。
「オレは離すぞ。おまえたち、しっかり支えてろ」
ショウたちが大きな声で返事をすると、職人は予告どおりに手を離し、板材の束の端から垂れているロープを掴んだ。介錯ロープと呼ばれる物で、それを引いて荷を寄せる。
ショウたちに何度かロープを緩ませて、職人は材木を建物へと入れた。
「それじゃ、板を敷いていくぞ」
材木束を縛っていたロープを解き、四人は気をつけながら板を梁の上に渡していく。すべてを仮配置すると、階段までの床は自由に渡れるようになった。
「これでこっちにこれるだろ。次からはオレのかわりにおまえが引くんだ」
階段で身じろぎもできなかったアキトシを呼び寄せ、職人は指示を出した。
ロープを路上に下ろし、次の荷揚げまで一息ついた。
「この床、固定してないからすごい軋むんだけど……」
アキトシはまだ不安があるようだった。
「ビビんなって。それくらいじゃ割れたりしねーよ」
マルが笑い飛ばす。
「あと五、六回はやるからな。ちゃんと息を合わせてやれよ。一人でもいい加減にやってると、大事故につながるからな」
笑っているマルを睨みながら職人は忠告した。マルも気を引き締め、「はいっ」と返事をした。
その後、荷揚げ作業が再開され、途中に休憩を挟みながら計7回、行われた。
「よし、いったん昼休憩にするぞ。12時の鐘が鳴るまでに戻って来い。一階で集合だ」
「ウィッス!」
休みへの喜びで、つい声も大きくなる。四人は朝の集合場所まで戻り、ヘルメットと安全靴を脱いだ。素晴らしい開放感だった。特にフルフェイスのスカルピオンは大汗を零している。
「それ、キツそー」
マルが無邪気に笑う。
「おまえ、午後はこっち被れよ」
「無理ー。サイズあいまっせ~ん」
「……ったく」
スカルピオンは汗を拭い、自前の水筒で水をガブ飲みした。
「あの、オレのと交換しますか?」
ショウが申し出る。
「あ? いやいいよ。おまえ、まだ数日の初心者だろ? 無理すんな。サンキューな」
意外な言葉に、ショウは「はぁ」としか返事できない。今までの態度からして、彼はきっと三人の初心者どもを嫌っていると思っていた。
「さて、メシにするか。おまえら、この辺は詳しいか?」
先輩の問いに、レベル1ズは首を振った。
「じゃ、ついて来い。ここらならあの店が一番だ」
「オゴリっすか!?」
マルが調子にのって訊くが、当然ながら「バカヤロウ」と返されている。
ショウは昨夜の残ったパンを弁当にしようとしていたが、せっかくの誘いなので付いていった。朝食を食べたコープマン食堂のように知らなかった名店に出会えるかもしれない。
スカルピオンが選んだのは、馬車にキッチンを積んだ屋台だった。香ばしい匂いが漂っており、興味がなくとも引き寄せられる魔力を放っていた。ましてや空腹に打ち震える飢鬼たちである。行かないわけがなかった。
どんな料理なのか覗いてみると、薄く円状に焼かれたパン生地に、各種野菜と肉を載せて包んだ物だった。
「ケバブ?」
ショウがスカルピオンに訊いた。本来のケバブは広い意味を持つのだが、少年が知っているのは日本でスタンド販売されているドネルケバブしかない。
それはスカルピオンも同様で、「みたいなモンだ」と早速注文する。メニューとしては一品目しかないが、増量やソースの種類で多少のアレンジはできた。
三人も倣って注文し、60銅貨を支払う。
「値段の割りにデカイっすね」
ショウの両手でも余る大きさだった。肉野菜増量の、ソースはよくわからないのでスタンダードで注文している。
大きく噛み付いた瞬間、少年はなぜか嬉しくなった。素直にうまいのだ。肉と野菜もそうだが、包む生地が調和している。こういう包み込む料理は、各種がうまくても別方向に向いていることが多く、うまさが伝わってこないときがある。しかしこれは精巧に組み合わさった歯車のように噛み合っていた。もちろん、感想の裏には空腹という最大の調味料が隠されていたのは否定できない。
「アンガスつつみっていうのが料理名なんですか?」
ショウが屋台の看板を見て訊いた。ご親切に日本語のルビまで振ってあった。
「店主がアンガスというらしい。彼が作ったオリジナル料理なんだろ」
「なるほど」
ショウは食べるのに集中しだした。
腹を満たし、現場近くで休憩をとる。作業開始まではまだ猶予があった。
「トイレいっとくかな。このあたりって、公衆トイレあります?」
「ないな。この地区は開発が遅れているからな」
スカルピオンがショウに答えた。
「そしたら、どこ行けばいいですか」
「そのへんの路地裏で済ませて来い。誰も気にしない」
「いいんですか?」
小学生低学年以来、外で用をすませた覚えがないので、少年には抵抗が大きかった。
「大丈夫だ。男女ともやってる。大のほうもな」
「マジっすか!?」
「まぁ、今はトイレも普及してるから減ってはいるらしいがな。オレたちの世界の中世ヨーロッパなんて、垂れ流しが基本だぞ。二階から降ってくるくらいだ」
「いやいや、さすがにウソでしょ?」
「信じなくてもいいが、時間がなくなるぞ。どうしてもイヤなら店で借りて来い」
「そうします」
ショウは手近な飲食店に入り、混雑している店内をすり抜けてトイレに入った。
とたん、強烈な臭いがした。
「なんだこれ、桶じゃん!」
便器かと思ったら、そこにあったのは桶だった。地面に掘られた凹みに桶がはまっており、汚物が溜まっている。そのそばには木でできた窓があり、多少なりと臭いが外に流れていた。
「いつも管理局か近くの水洗式を使ってたから知らなかったけど、一般的なトイレってこんなのなのか……」
吐き気を覚えながらも、膀胱は限界に近い。息を止めて用をたし、ショウは新鮮な空気を求めて外へ飛び出した。
「これはキツイなぁ。そっか、これが本当のこの世界なんだなぁ」
これが今日一日で最大の、心を揺さぶる出来事だった。
午後の仕事は床と壁の施工補助だった。主に指定場所に板材を持っていき、釘を打つまで押さえている程度の作業だ。問題なくこなし、四人の仕事は終わった。
スカルピオンは早々に離脱し、帰りはまた三人で歩いていた。もっとも、アキトシは逃亡しようとしてマルに捕まっただけではあるが。
異世界人管理局への帰路は、マルの提案で行きとは別の道を選んでいた。ショウ一人であれば大した寄り道もしなかっただろう。三人だからこそ知らない道も楽しめた。町という小さな舞台ではあるが、一つの冒険に違いはない。もしかするとこの同期三人でもっと大きな冒険に出る可能性もあるのではないかと、少年は少しワクワクした。
「で、ここどこだよ?」
二時間後、気がつけば完全に迷っていた。適当に歩き過ぎて現在地がまったくわからない。
「時計塔が向こうで、太陽がこっちだから、まっすぐ南下すればいいと思うんだけど」
アキトシが周辺を見回しながらマルに答えた。
「お、アッタマいいな。じゃ、ナビ頼む」
「え~」
イヤそうな顔をするアキトシの背中を押し、一同はまた歩き出した。
しばらく進むと見覚えのある場所に出た。イソギンチャクと作業した市場があった場所だ。マルもアキトシも馴染みの広場なので、黒髪の少年は喜びに手を叩き、オドオドした少年は胸をなでおろした。
「ここまで来れば帰り道は大丈夫だな」
「アキトシ、さすがだな」
マルが調子よくアキトシの首に腕を回した。彼も珍しくまんざらでもない顔をしている。
「あ、三バカ」
「誰がだ!」
いい気分を断ち切られ、マルが発言者に噛み付く。アカリだった。
「あんたらよ、あんたら。ガキみたいに街中ではしゃいで」
「いーだろがっ。おまえ、ダチがいないからってヒガんでんじゃねぇよ」
「ふっふーん」アカリは鼻で笑い、背後にいたアイリを前面に押し立てた。
「友達ならいるもんね」
「……脅迫されているなら助けるぞ」
ショウがアイリに訊く。
「あんた、失礼でしょうがっ」
「いや、朝あんなに噛み付いといて、友達と言われてもな」
「そ、それはそれじゃないっ。仕事を通じて結ばれる友情だってあるわよ」
「まぁ、あるにはあるだろうが……」
チラリとアイリを見る。彼女の表情は困ったままだった。
「やっぱイヤがってんじゃん」
マルがしらけた眼でアカリを見る。
「えと、そうでも、ない……かな」
アイリがつぶやくと、アカリは我が意を得たと彼女に抱きついた。
「どう、これが友情パワーよ!」
「どうでもいいや、行こうぜ」
そろそろ飽きてきたマルが、すべてを打ち切って歩きだした。
「おまえ、すげぇ身勝手だな」
ショウは苦笑してアイリたちに手を振って続いた。アキトシは軽くお辞儀をしてついて行く。
「ちょ、待ちなさいよ。どうせ同じところに行くんでしょうがっ」
アカリはアイリの手を引いて追いかける。結局、呉越同舟である。
「そっちはどうだった?」
アカリがマルとの舌戦を再開しはじめたので、ショウはとなりのアイリに訊ねた。
「わたしはずっと服を縫ってた。肌着だと思う。ミシンがないから、ちょっと大変」
「そっか。こっちは建築中の家で、床とか壁の板を三階まで上げてたよ。握力がもうないや」
強く握ろうとしても力が入らない。今日はツァーレ・モッラに頼んで疲労回復を頼もうと思っている。
「大変そう」
「大変だったよ」ショウは笑う。
「この世界に来なきゃ、一生経験しなかったかもな」
「働くって大変なんだね。わたし、知らなかった。大人になれば自然とやることで、自然にやれることだと思ってた」
その発言に、ショウは本当の彼女も見た目どおりの小さな女の子なのだろうと推測した。
「この世界はアイリには合わないか?」
「……わからない。来たばかりだし。でも、キライじゃない。ここでは、わたしとちゃんと話してくれる人がいるから」
「あー、それ。オレもそう思ってた。日本での自分にはちゃんと話せる人がいたんだろうかって」
「……いなかったの?」
アイリは戸惑いつつも訊ねた。その答えを彼女自身が探している。
「いたんじゃないかな」
「え?」
「たぶん、おそらく、だけど」
「それなら、どうしてそう思ったの?」
「決め付けてたんだよ。いないって。でも、本当はそうじゃないのかもしれない。こっちから話さなかっただけでさ。……まぁ、そもそもオレにはそんな真面目で深刻な話なんて何もなかったからなぁ」
少年は照れ隠しに笑った。
「ショウさんは、日本に帰りたい?」
その質問はきっと、彼女自身の迷いなのだろう。自分がそうであったように、彼女もまた、今と以前を比べて答えを出せずにいるのだ。
そういえば。
「今日の正午が、オレが日本に帰れるタイム・リミットだったな。すっかり忘れてたよ」
「いいの、それで?」
「もうどうしようもないし。それに、オレは決めてるんだ。この世界で何かをやりきって、アリアドに会うって。そして日本に帰る。帰れるかどうかわかんないけどな」
ショウは自然と笑顔になっていた。迷える時間は消滅したのだ。このさきは進むしかなかった。
「そう……」
アイリの表情は彼とは対極だった。彼女にはまだ悩む時間が与えられている。それに、覚悟もできていなかった。
「……なぁ、アイリはこの世界で何かしたいか?」
ショウの唐突な問いかけにアイリは首を振った。「わからない」というつぶやきは嘘ではなかった。
「もし残ると決めたときは、いっしょにがんばってみようぜ」
「え……」
「マルもアキトシもアカリもいる。同期でパーティーを組んでみるのも悪くないだろ」
少年は顔を輝かせた。
少女はドキッとし、下を向いた。肯定も否定もできなかった。
「おい、ショウ! こいつが寂しいからいっしょにメシを食いたいとか言ってんだけど、どうする?」
「そんなふうに言ってないでしょ! たまたまいっしょになったからついでにって――」
「それが寂しがり屋の論理ってヤツだ」
「このクソガキー!」
騒がしさがさらに増す。ショウはただ笑い、アキトシが仲裁に入る。一番後ろのアイリはそんな四人を眺め、少しだけ顔をほころばせた。
その夜、コープマン食堂でショウたちは乾杯をしていた。何の記念か、誰のためのかも知らずに、ただ雰囲気に流されて。テーブルを囲み、雑談し、食事をする。途中でまたも一人で食事にやってきたリーバを巻き込んで、レベル1の勇者たちはささやかな宴を楽しんだ。