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図解!然程解らない戦闘解説!

 作中でのややこしい、宮殿周囲での攻防について視覚的に解説していきたいと思います。

 作中の文章をご覧になって、意味が全く分からなかったぜ!という方は、宜しければご一読下さい。


 また、作中では主人公や一部の人間からの目線でしか描かなかったので、語られていない部分(主に敵側の)が多々あります。

 そこに関しても出来る限り細かく記載していきます。


 作中での根本的に説明不足、筆者の文章力が雀の涙程も無い、等の要因によってこの解説を執筆致しましたが、それでもやっぱりよく分からないかもしれません(泣)

 それに関してはご了承下さい。


 もしかしたら、文章は読まずに図だけ見た方が分かりやすいかも…

 文章に色々と細かく書き過ぎてしまったので…


 図に関しては、ちゃっちいパワポ製の図に彩りを与えるべく、wikiからのコピペのNATO兵科記号を流用しております。

(本来の使い方とは全然違うけどお許しを)




挿絵(By みてみん)


 本来の冬宮周辺。


 周囲を市街地で囲まれている。

 ただし、地図外北西部には中規模の川(海がかなり近く、正しくは河口)が存在しており、西側は市街地も直ぐに海や川に阻まれて途切れてしまう。

 また、広場と市街地の間には壁などは設けられておらず、衛兵によって市民の広場への侵入は制限されているものの、広場への侵入を防ぐのは低い仮設の柵などだけである。

 冬宮は戦闘が起こる事を想定されておらず、宮殿の建物自体は非常に攻撃に対して脆い。

 広場の地面は石でできており、障害物は幾つかの像など、限られた数しか無い。

 比較的近い位置に軍港があり、宮殿は沿岸部に存在するものの、未だに海は凍っており、船舶の使用は不可能である。



 ・両軍の目的

 帝国軍

 宮殿の防衛及び敵軍の殲滅。


 敵軍

 宮殿を囮に帝国軍を誘い出しての殲滅。




 Phase1

 敵軍の接近


 敵軍

 全体 約100,000 (アレクセイ・ペトロヴィーチ・ボラトゥージェフ=フリューミン麾下(きか))


 帝国軍

 全体 約48,000

 第1近衛師団 約20,000 (チェーホフ少佐麾下)

 第2近衛師団 約20,000

 第1近衛騎兵連隊 約2,000

 第2近衛騎兵連隊 約2,000

 宮殿衛兵 約4,000



挿絵(By みてみん)


 最初の段階では敵側兵力が宮殿側兵力の二倍。

 夜間に小部隊に分け、市街地を縫って前進。

 前進しつつ、兵力の半分を市街地へと忍ばせる。

 この時、全体的に南東側に兵力が集中しているのは、北西側には地図の外に川と海があるからである。

 そのため、内陸側の南東から海側の北西へと順に拡散していく。

 攻撃側は隠密の必要性により、全員徒歩である。

 一兵卒から高級士官に至るまで、例外は無い。


 ※この際市街地に残った側を「伏兵グループ」、残らなかった側を「包囲グループ」と呼称する。




 Phase2

 敵軍の市街地占拠完了


 敵軍

 全体 約100,000

 伏兵グループ第1師団 約20,000

 伏兵グループ第2師団 約10,000

 伏兵グループ第3師団 約10,000

 伏兵グループ第4師団 約10,000

 包囲グループ第1師団 約10,000

 包囲グループ第2師団 約15,000

 包囲グループ第3師団 約15,000

 包囲グループ第4師団 約10,000


 帝国軍

 全体 約48,000

 第1近衛師団 約20,000

 第2近衛師団 約20,000

 第1近衛騎兵連隊 約2,000

 第2近衛騎兵連隊 約2,000

 宮殿衛兵 約4,000



挿絵(By みてみん)


 伏兵グループが密かに市街地の掌握完了。

 伏兵グループは小隊毎に分かれ、各所に散るも、必要とあらば元隊へ即座に戻り戦闘を行えるよう、元々の集団を余り崩し過ぎないようにする。

 そのため、大隊の各構成小隊は広くとも半径1,000メートル圏内に固まって潜む事を要求される。

 その他にも連隊、中隊、と各戦術単位毎に最大分散範囲が細かく事前に決められており、各隊はそれを守る。

 この間に、包囲グループは冬宮広場付近に集結。

 この際、南東側の兵力が依然として多いのは初期の配置のせいでもあるが、宮殿襲撃時に朝陽を背にして攻撃する、というセオリーに従ったものである。

 この段階でもまだ宮殿側守備兵は敵の存在に気付いていない。

 近衛兵は平常時通り、形だけ待機しているだけで、即座に戦闘をするための準備など全く出来ていない。

 衛兵は宮殿内や広場各所に分散して配備されている。




 Phase3

 宮殿への攻撃開始


 敵軍

 全体 約100,000

 伏兵グループ第1師団 約20,000

 伏兵グループ第2師団 約10,000

 伏兵グループ第3師団 約10,000

 伏兵グループ第4師団 約10,000

 包囲グループ第1師団 約10,000

 包囲グループ第2師団 約15,000

 包囲グループ第3師団 約15,000

 包囲グループ第4師団 約10,000


 帝国軍

 全体 約48,000

 第1近衛師団 約20,000

 第2近衛師団 約20,000

 第1近衛騎兵連隊 約2,000

 第2近衛騎兵連隊 約2,000

 宮殿衛兵 約4,000



挿絵(By みてみん)


 夜明けを待ち、日の出と共に東側から朝陽を背にして攻撃開始。

 奇襲のセオリー通りである。

 ありきたりな攻撃だったが、長らく戦闘を経験していない帝国軍にはこれによって非常に大きな混乱が生じた。

 攻撃側の意図は、救援を呼ばせてその援軍を撃破する事にあるため、宮殿の守備兵を倒す事には無いのだが、決して倒してはいけない、というものでもないため、奇襲効果の助けを得て、攻撃を敢行する。

 万が一にも宮殿に被害が及ばないよう、細心の注意を払いながら攻撃。

 砲などの行軍に支障をきたすものは一切持って来ていないため、単純に各々が手に持つ銃を発砲するだけである。

 一部、手榴弾や迫撃砲など、携行可能な爆発物も利用して攻撃するが、明らかに奇襲とは言えども数万の兵を一息に殺すには火力不足であった。

 また、攻撃前に見つからないようにするため、射程ギリギリからの発砲にて奇襲は始まる事となる。

 それぞれ包囲グループ第1・2師団は第1近衛師団を挟み込む様に、包囲グループ第3・4師団は第2近衛師団を挟みこむ様に攻撃し、守備兵の数を間引こうとするも、攻撃を受けた宮殿側は、初撃の時点で不利を悟り、奇襲を受けた事による混乱から立ち直るべく退避。

 これによって近衛師団の包囲殲滅には至らず、大多数に宮殿まで後退されてしまう。

 初撃が比較的遠距離からのものであった事と、防衛側の兵がその場で立て直す事を一瞬で諦め、直ぐ様逃げた事によって、奇襲は大した成果を出す事が出来なかった。

 近衛師団側は宮殿周囲に設けられた防衛設備を利用して何とか反撃を試みるも、そもそもその頼りの防衛設備自体が化石の様な旧式の代物であり、全く効果が無かった。

 一方の近衛騎兵はその最大の特徴である馬を逃げるためだけに使い、こちらに関しては、全くと言って良い程に何もしなかった。

 攻撃側が無理をして攻めるつもりが無かったため、一定の距離をとって包囲グループが宮殿周囲を囲み、互いに睨み合う状態で状況は止まってしまう。




 Phase4

 包囲戦


 敵軍

 全体 約100,000

 伏兵グループ第1師団 約20,000

 伏兵グループ第2師団 約10,000

 伏兵グループ第3師団 約10,000

 伏兵グループ第4師団 約10,000

 包囲グループ第1師団 約10,000

 包囲グループ第2師団 約15,000

 包囲グループ第3師団 約15,000

 包囲グループ第4師団 約10,000


 帝国軍

 全体 約48,000

 第1近衛師団 約20,000

 第2近衛師団 約20,000

 第1近衛騎兵連隊 約2,000

 第2近衛騎兵連隊 約2,000

 宮殿衛兵 約4,000



挿絵(By みてみん)


 攻撃側が完全に宮殿を取り囲む。

 その後、小規模な攻撃を何度か繰り返すも、決定的な行動には出ず、小康状態。




 Phase5

 援軍到着


 敵軍

 全体 約100,000

 伏兵グループ第1師団 約20,000

 伏兵グループ第2師団 約10,000

 伏兵グループ第3師団 約10,000

 伏兵グループ第4師団 約10,000

 包囲グループ第1師団 約10,000

 包囲グループ第2師団 約15,000

 包囲グループ第3師団 約15,000

 包囲グループ第4師団 約10,000


 帝国軍

 全体 約128,000

 近衛兵 約40,000

 衛兵 約8,000

 臨編歩兵部隊 約60,000 (ニコライ麾下)

 臨編砲兵部隊 約5,000(ニコライ麾下)

 臨編騎兵部隊 約10,000 (ニコライ麾下)

 臨編翼騎兵部隊 約5,000 (ニコライ麾下)



挿絵(By みてみん)


 ニコライ率いる歩兵部隊が到着。

 遅れて、翼騎兵、騎兵、砲兵も到着。

 全員サーベル装備であり、馬とワイバーンには欺瞞(ぎまん)措置済みの爆薬を背負わせている。

 ここからが作中でのシーンである。




 Phase6

 援軍の攻撃準備


 敵軍

 全体 約100,000

 伏兵グループ第1師団 約20,000

 伏兵グループ第2師団 約10,000

 伏兵グループ第3師団 約10,000

 伏兵グループ第4師団 約10,000

 包囲グループ第1師団 約10,000

 包囲グループ第2師団 約15,000

 包囲グループ第3師団 約15,000

 包囲グループ第4師団 約10,000


 帝国軍

 全体 約128,000

 近衛兵 約40,000

 衛兵 約8,000

 臨編歩兵部隊 約60,000

 臨編砲兵部隊 約5,000

 臨編騎兵部隊 約10,000

 臨編翼騎兵部隊 約5,000



挿絵(By みてみん)


 騎兵と翼騎兵は宮殿周囲の敵を囲む様にして待機。

 騎兵は四方を囲うが、翼騎兵は数が少ないため、南側にだけ配置する。

 ワイバーンは地上の敵兵に妨げられる事無く進めるので、一方向からの接近であっても他方面にも影響可能である。

 伏兵グループは動かない。

 当初の予定を変更し、歩兵と砲兵は散開せず、一箇所に固まって待機。

 この際に途中で作戦の変更などを挟むが、引き続き作中の内容なので詳細は割愛。



 Phase7

 突撃


 敵軍

 全体 約100,000

 伏兵グループ第1師団 約20,000

 伏兵グループ第2師団 約10,000

 伏兵グループ第3師団 約10,000

 伏兵グループ第4師団 約10,000

 包囲グループ第1師団 約10,000

 包囲グループ第2師団 約15,000

 包囲グループ第3師団 約15,000

 包囲グループ第4師団 約10,000


 帝国軍

 全体 約128,000

 近衛兵 約40,000

 衛兵 約8,000

 臨編歩兵部隊 約60,000

 臨編砲兵部隊 約5,000

 臨編騎兵部隊 約10,000

 臨編翼騎兵部隊 約5,000



挿絵(By みてみん)


 我慢比べが続き、攻撃側が痺れを切らしたところで騎兵と翼騎兵は下馬し、敵に馬とワイバーンをけしかけた後、直ぐに離脱、後方の本隊に合流する。

 以後、騎兵と翼騎兵は歩兵として戦う事となる。

 接近前に過半数の馬やワイバーンは敵弾の餌食となり、敵陣にまで辿り着く事が出来なかったが、三分の一前後が辛うじて接近及び浸透に成功し、敵に大きな被害を与える。

 作中では目視にて帝国軍側は“最低でも敵の八割は継戦不能状態に陥っていると思われる”とニコライに報告したが、これは間違いである。

 これは戦場に蔓延(はびこ)る楽観主義の一種でしかなく、実際には起爆タイミングや偏りの問題上、被害の規模に場所毎の差異が生じ、敵方の死者は三割、重症軽傷含めて継戦不能状態に陥った者は六割程度であった。

 しかし、戦場に於いてはこの六割が非常に大きい。

 一般には、軍隊とは損耗率四割ですらも全滅と見做される程に脆い。

 軍隊は人員が欠ける事を前提として成っている組織ではあるが、それでも四割の損耗でも著しくその能力を低下させてしまうのである。

 つまり、六割が継戦不能に陥った時点で敵の包囲グループはもう戦えなくなったも同然だった。

 まだ敵が残っているのに帝国軍が包囲グループをここで無視したのはそれが理由である。




 Phase8

 更なる包囲


 敵軍

 全体 約50,000

 伏兵グループ第1師団 戦闘不能

 伏兵グループ第2師団 戦闘不能

 伏兵グループ第3師団 戦闘不能

 伏兵グループ第4師団 戦闘不能

 包囲グループ第1師団 約10,000

 包囲グループ第2師団 約15,000

 包囲グループ第3師団 約15,000

 包囲グループ第4師団 約10,000


 帝国軍

 全体 約128,000

 近衛兵 約40,000

 衛兵 約8,000

 臨編歩兵部隊 約60,000

 臨編砲兵部隊 約5,000

 臨編騎兵部隊 約10,000 (下馬)

 臨編翼騎兵部隊 約5,000 (下馬)



挿絵(By みてみん)


 帝国軍の近衛兵や衛兵は完全に遊兵と化している。

 ニコライ率いる、サーベル装備の歩兵八万に、それを包囲する敵の伏兵グループ五万は行動開始。

 この際、伏兵グループが即座に行動を起こす事が出来ず、全騎兵、翼騎兵の合流を許してしまったのは、彼等も状況の把握に苦労していたからである。

 帝国軍は危うく全滅の危機に瀕するが、その後ニコライによる呼び掛け、ヴィートゲンシュテインの策によりフリューミンは自死。

 敵側はフリューミンだけでなくその他幾つかの貴族の私兵との連合軍であったが、フリューミン個人の力のみで纏まっていたため、彼の死によって組織としての団結は崩れてしまう。

 負けを悟った敵側の上層部の大半は降伏を選択し、一部は敗走を選んだ。

 これにより、帝国軍は辛くも勝利を収める。




 ・ポイント

 帝国軍が勝利出来たのは、(ひとえ)にニコライの存在によるものであった。

 ニコライの皇太子としての威光が無ければ、例え本当に砲艦移送を成功させていたとしても帝国軍側に勝利は無かった。

 そういう意味では、ニコライに軍の指揮を任せたヴィートゲンシュテインこそが最大の功労者であるとも言える。

 ヴィートゲンシュテインは敵がフリューミンである事を予測して敢えてニコライに兵を率いさせたのかもしれない。

 だとしたらこの人、かなりの切れ者である。

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