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CIII.統制方位盤射撃

※注釈

・ピティシナドット級戦艦

戦艦。一番艦「ピティシナドット」二番艦「デメラドット」三番艦「ニジードット」四番艦「マニガドット」。

全長402メートル。

ヘルシャー級の全級に当たり、主砲はヘルシャー級やシュタール級と同じものを四基十二門。

つまり、火力だけで言えばシュタール級と全く同等である。

ただしシュタール級の様な特異な砲配置はしていない。

そこそこの火力にそこそこの速力を持つ本級の最大の特徴は防御力であり、“艦隊の盾になる”という戦艦の仕事を追求した末に誕生したのがこのピティシナドット級であった。

これは本級設計当時に既存の小型艦の防御力不足が問題視されていた事が大きく影響している。

ヘルシャー級よりも旧式ながら、就役当時から本級はヘルシャー級に僅かに劣る程度という驚異的な防御力を誇った。

当時は各国海軍の砲が現在と比べて全体的に小型であったという事もあって、当時としては過剰な程の防御力であったと言える。

その後もシールド発生機の新型への更新などによってその圧倒的な防御力を維持し続け、最終的にヘルシャー級を越える事は無くとも十分に比肩し得るものであった。

ちなみに船名は全て地名が由来で、名前の後ろに付く「ドット」とはヴァルト東部の地名によく見られるものである。


・測距儀

軍艦のプラモデルを見た事はありますか?

日本の軍艦はどれも艦上構造物が他国と比べて(良くも悪くも)ゴチャゴチャしていて解りづらいのですが、よく見れば、艦橋を貫く様に十数メートルにも及ぶ長い棒状のものが付いているのが分かります。これが測距儀です。

やれ主砲だ、やれ装甲だ、とそういった目立つ部分にばかり注目が行きがちであまり目立たぬ分野ですが、下手をすれば測距儀というものは主砲火力なぞよりもよっぽど重要なものです。

どんなに火力があっても、当たらなければどうという事はないのですから。

その名の通り、測距儀とは目標物との距離を測るための機械です。

この長い棒の両端にレンズが付いており、それぞれが双眼鏡の右目部分と左目部分の様になっています。

例えば、十五メートルの測距儀なら右目と左目の間に十五メートルの間隔がある訳で、これを利用して後述の三角測量の原理で距離を測定します。

ちなみに、三笠(日露戦争時の連合艦隊旗艦)の測距儀は一・五メートル。

これが約四十年後の戦艦大和では十五メートルになっているのですから、火砲の進化を感じますね。

どんどん射程距離が伸びて、十倍の長さになったんです。


・三角測量

シンプルかつそこそこ正確なため、遥か昔から測量の方法の一つとして使用されていました。

そもそも、大半の生物の目が二つなのもこの三角測量の原理で距離を測るためで、生物ならば誰しもが無意識に行っている…それぐらいシンプルかつ有用な方法です。

上記の測距儀なるものも要は、人間の両目の間の数センチの距離を数メートルにまで伸ばすための機器なのですよ。

そう考えると、何だかそれ程難しい話でもないと思えるのではないでしょうか。

はい、実際に難しくはありません。

特別な道具も必要無く、距離を求めるための計算も高校一年生程度の数学知識(というか、三角関数さえ分かっていれば他に何の知識も要らない)があれば十分です。(などと言いつつ、いざ計算してみると筆者はうっかり簡単なはずの計算をミスってしまいました…タンジェントってややこしくて、筆者の若かりし頃、高校時代から苦手だったんですよね…うーん、勉強って大事ですね)

つまり、日本国民の過半数は今直ぐにでも測量が出来ちゃいます!

道具はお手元の文房具──机にしまってある定規と分度器──さえあればそれだけで無問題ですね!

…という事で、興味のある方は自分と色んなものの距離を実際に測って遊んでみましょう(笑)

詳しくは、下図をご覧下さい。

この原理さえご理解頂ければ、測距儀が長くなっていった経緯も明白でしょう。

基準となる二点が長ければ長い程正確になるのです。


・発令所

船の頭脳とも言える場所。

“船の頭脳”なんて言い方をすると艦橋のイメージがあるかもしれませんが、艦の情報を集約して実際に計算などを行っていたのはこの発令所で、艦橋が右脳なら発令所は左脳(?)みたいなイメージですね。

艦橋が敵さんから丸見え撃ってちょーだい状態だったのに対して、発令所は大抵装甲区画内にあり、大事に守られていました。

目立たないかもしれないけど、弾道計算等インテリな仕事をする大事な場所なんですよ。


・射撃盤

言ってしまえば計算機の事です。

昔の計算機ですので、機械式でガチャンガチャンとカッコいい音を立てながら色々とややこしい計算をしていたのですね。

WWIIの頃というのは、我々の想像以上にハイテクだったのです。


・フラックス弾(FLAX)

架空。

ヴァルト王国海軍の例の特殊な対空用砲弾の事。

勿論元ネタとしては日本の三式弾がモデルですが、三式弾とは色々と異なる部分も多いです。

先ず第一に、三式弾は元々対地攻撃用であるのに対してフラックス弾は対地攻撃用途に使えないという事。

第二に、三式弾は戦艦用で大型の砲でしか扱えなかったの対し、フラックス弾は重巡レベルの砲でも使用出来るタイプも存在し、勿論戦艦でもそれらを副砲で用いる事が可能であった点です。

御都合主義と言いますか…まあ、現実世界の三式弾よりもフラックス弾の方が便利かつ効果も高いという設定ですね。


※既出のお船も念のために記載しておきます☆

・ヘルシャー級戦艦

一番艦「ヘルシャー」、二番艦「ケーニヒ」。

全長430メートル。排水量世界第三位。

世界最高レベルの性能のグラデナディフェンスインダストリーズ社製CR-605防御シールド発生装置を採用し、鉄壁の防御を誇った。

主砲は四基十六門で、主砲一、二番は前方、三、四番は後方にある。


・シュタール級戦艦

一番艦「シュタール」、二番艦「クイビシェフ」、三番艦「ヤマト」、四番艦「フランネーター」。

全長376メートル、四基十二門で主砲口径はヘルシャー級と同じ。

しかし主砲の配置が独特で、一から三番が前方、四番が後方に置かれている。

また、船速が比較的速い事も相まって非常に前方に強い突撃型の戦艦である。

正面の砲門数だけで見ればヘルシャー級の八門に対し九門と、優れた火力を発揮する。

ヘルシャー級には劣るものの、サイズの割にシールド性能の高い、セルナーフリートシステムズ社製第5世代シールドジェネレーターを装備し、かなりの攻撃に耐え得る。

挿絵(By みてみん)


「では、これより訓練を兼ねて点検射を開始する。総員、持ち場に着け!」


その様な事は言われずとも全員とっくの昔に自分の持ち場に着いているのだが、誰もそれに反論する者はいない。


数百隻にも及ぶ大艦隊が生み出す大きな円の中心部──ヴァルト王国海軍旗艦(フラグシップ)、「デメラドット」──の艦橋(ブリッジ)は見慣れぬお客様を四人招いていた。

戦艦デメラドットの艦長、ヴァルト王国艦隊司令官の二人と航海長他数名のヴァルト軍人に加え、フォーアツァイトから二名、プラトークから二名のお客である。


プラトークからの二名のうち片方はマセリン少将、もう一人はフルシチョフではなくまた別のプラトーク軍人だ。

フォーアツァイトからは白馬でも駆っていた方が似合いそうな美男子二人。こう見えて上位の軍人である。

フォーアツァイトの軍の上層部というのは実力で上り詰めたベテランと彼らの様な貴族出身の若者がほぼ同じくらいの割合で混ざっていて、勿論この二人は後者に当たる。

何れにせよ、どちらも比較的若いというのが最大の特徴かもしれない。


対するヴァルト王国の艦長と司令官の二人はまさしく海の男とでも言うべき様相を呈していて、齢六十を数えるベテラン中のベテラン。

誰が狙った訳でもなく、たまたまこの様な組み合わせになっていた。


「敵誘引を兼ねて…とは言わないのですか?」


フォーアツァイトの将校Aが訊ねる。


「その通りですが、何でもかんでも正直に伝えれば良いという訳ではありません。やはり囮になるという事は船員にとっても不安でしょう。いたずらに不安を煽るよりかは黙っていた方が良い事もあるのですよ」


ヴァルトの司令官の言葉を受け、フムフムと何度も頷くと彼は熱心にメモを取る。


続いて、フォーアツァイトの将校Bが質問する。


「成る程…しかし、その程度の事は乗組員とてとうに気付いているのではないでしょうか。誰だってある程度の情報を得ていれば自分達が囮役である事ぐらい簡単に予想出来るかと。それでも黙っておくべきなのですか?それは逆に不信感に繋がると思うのですが」


「いや、それは少し違います。ここで優先すべきは上への不信感を抑える事などではなく、船員自身の精神的安定でしょう。例え薄々事実に勘付いていたのだとしても、それを我々が告げるのと自分で疑うのでは大きく違います。要は…言い方は悪いですが、ほんの少し希望を持つ余地を残しておいてあげるのですよ。長年試してきて、結局これが最善だという結論に至りました」


「参考になります」


彼もまた手帳にペンで何やら必死にメモを取り始める。

何だか異様な光景だ。


フォーアツァイトから派遣されてきたこの二人は、なんでもこれが初陣らしい。

そのせいか研修生の如き様子で何か質問してはメモを取ってばかりいる。


今の状況を説明すると、数分前に我々は敵潜伏予想海域付近に遂に到着。

メーヴェから提供された情報では、現在我々の艦隊の右側約五百キロメートル四方の区画の何処かにコナー()は潜伏しているらしい。

我々は今、その海域の南側を隣り合うようにして東から西に航行している状況だ。


敵潜伏予想海域にそのまま突っ込んだのでは、敵と正面衝突(ヘッドオン)してしまう可能性が高い。

正面に向かって逃げなければならないのに、その方向が敵によって塞がれている…なんて状況だけは避けねばならないので、わざわざこうして少し遠回りしている訳だ。

結局敵が何処にいるのかは大雑把にしか分からないので、念のためにかなり大回りでぐるっとここまで回って来ている。

おかげさまで、未だ敵影を見ず。


だが、このままでは何のためにここまで来たのやら、である。

しっかりと敵をおびき寄せなければならない。


そこでこれから行うのが“訓練を兼ねた点検射”──またの名を“コナー君お出迎え祝砲”(マセリン命名)──である。

予想海域に向けて盛大にプレゼント(砲弾)をドッカンと送り込み、それと同時に祝砲で歓迎パーティーを繰り広げようという魂胆だ。

敵がこれに上手く引っ掛かってくれれば、ベストな位置関係で鬼ごっこ(チェイス)をスタート出来る。


「砲撃は我が艦(デメラドット)と同型艦のピティシナドット、それにクイビシェフとヤマト、フランネーターの五隻で行います」


ピティシナドット級戦艦は元々四隻だったが、先の海戦で二隻喪失し、現在残るは整備中でたまたま戦闘に参加していなかったために生き残った一番艦ピティシナドットと二番艦デメラドットのみ。

虎の子のヘルシャー級が二隻とも沈んでしまったため、現状、残存艦の中では最強の戦艦である。


シュタール級戦艦は四隻のうちネームシップのシュタールが沈み、別任務従事中で戦闘に参加しなかったクイビシェフとフランネーター、戦闘に参加しながらも生還したヤマトの三隻。


この五隻が本作戦に参加しているヴァルト戦艦の全てだ。

他にもヴァルト海軍には何隻か残存艦する戦艦があったのだが、それらは速力に問題があり参加していない。


この五隻は同じ主砲を載せている事もあり、同時に点検射とやらを行う。

フォーアツァイトとプラトークから二名ずつここに人を派遣しているのもこれを見学するためだ。


「今回は戦艦五隻による“統制方位盤射撃”を行います。これはメーヴェからの技術供与によって可能になった特殊な射撃方法ですが、我が国では既に所属する全大型艦にこれを採用しております」


「確か…何隻分もの観測データを共有する事によってより精度の高い砲撃が可能になるとお聞きしていますが?」


「そうです、簡単に言えばそうなります。従来は各艦が自艦で得られた観測データだけを用いて砲撃を行っていましたが、それでは船上という一箇所からの観測となるのでどうしても正確性に欠けてしまいます。シンプルな三角測量の原理で測距していますが、一方向からのデータではどうしても誤差が生じてしまいます。そこで生まれたのがこの統制方位盤射撃というシステムなのです」


何隻もの船から得られた距離データを共有すれば、それは単艦で得られるものと比べて測定精度が格段に上がる事はまず間違いない。


しかし、手放しに喜べる夢の技術という訳でもない。

このシステムの採用のためにはいくつもの大きな壁を乗り越える必要がある。


第一に、そもそもこれを可能とするために求められる技術水準が非常に高いという事が挙げられる。

各艦の測定データを瞬時に正しく纏め、それを元に実際に砲撃せねばならないから情報処理・伝達に関する高度な技術が要求される。

(我々の言う意味での)コンピューターが存在しないこの世界でそれを実現する事は決して容易い事ではない。


更にそれだけではなく、他にも多くの高度な技術が求めれられる。

即距のために常に各艦が互いの位置を正確に把握しておく必要性があるのだ。

技術的なハードルとしてはこれが最も高く、このシステムの肝とはまさにそれである。


二つ目としては導入コストという面がある。

上述の様に高度な技術が要求される事から、必然的に必要機器等もコストがかさみ、導入に際して無視出来ないレベルの高額な費用がかかってしまう。

また、それは一艦だけで済む話ではなく各艦間のネットワークを形成すべく何隻もの船に導入する必要がある。

それを考えればおいそれと乗っかれる話ではない。


三つ目に、これがメーヴェで開発されたシステムであるという事。

要は、採用に際してメーヴェにお許しをもらわないとそもそも導入不可能なのである。


以上より、“メーヴェの友好国かつ運用していけるだけの技術と財力がある国”というのが絶対条件である事が分かる。

現状、この条件を満たしつつそれを欲している国はヴァルト王国の他に無く、故にこの“統制方位盤射撃”というものはメーヴェとヴァルトの専売特許であった。


また、“このシステムを欲している国”というのもかなり限られている。

統制方位盤射撃というものが最もその効果を発揮するのは遠距離での砲撃戦という局面で、ほぼ戦艦専用のシステムだと言える。

だが、この世界にそれ程多くの戦艦を有する国がいくつあるだろうか?

海に面する全ての国が戦艦を持っている訳ではないし、もっと言えば海軍すら擁さない国すら存在するのである。


戦艦は「国力を示す」と言われるぐらいに金がかかる。

言わば、国家の宝である。

プラトークの現状を見れば分かる様に、ぽんぽんと簡単に建造出来るものではないのだ。


それをいくつも持つとなれば、それ相応の国力がある国に限られる。

この事からも、統制方位盤射撃という画期的発明が未だ二国でしか採用されていないというのも仕方のない事であった。

以前はフォーアツァイトもこのシステムに関心を寄せていたのだが、“メーヴェとの友好関係”という点で不合格であったため採用ならず。

現在は多数の艦を喪ったせいで採用どころではない。


「各艦には基本的に五つの測距儀が備わっています。各砲塔に一つずつと、艦橋に一つ。今回は全五隻で砲撃を行うので計二十五個ですね。各測距儀から得られたデータは一度発令所に送られ、一隻分のデータとして処理されます。この際、目標物と自艦との間の距離は五つの測距儀と目標物の間の距離の平均値として計算します。次に、纏められたそのデータを周囲の味方艦に向けて発信します。同時に他の艦から送られてくるデータも受け取る事になりますね。これをまた発令所に伝達し、射撃盤を用いて計算を行います。ここまでの流れを、着弾観測後次の砲撃までの間の短い時間で行わねばなりません。射撃間隔は半分ずつ交互に撃つ場合だと十秒程度しかありませんので大変忙しくなってしまいます」


「それだけの作業を十秒で済ますなど…とても可能だとは思えないのですが?」


「そうでしょうね。でも、それを可能とするのがメーヴェから提供された技術なのですよ。申し訳ありません、守秘義務があるので詳しくはお話し出来ませんが」


ここで、マセリンは疑問を投げかける。


「統制方位盤射撃の素晴らしさは十分に理解出来ました。しかし、少々気になる点がありまして…今回大きく関わってくる事ですから」


「何でしょうか?」


「対艦戦闘に於ける有用性は今ご説明頂いた通りなのでしょうが、それは対空戦闘でも使用可能なのですか?ご自慢のフラックス弾を撃つ際にも利用出来るのなら今回も役に立つのでしょうが」


聞いた話では、先の戦闘に於いてヴァルト王国艦は統制方位盤射撃を全く行わなかったらしい。

それが可能な大型艦が多数参加していたにも拘らず、だ。

これは敢えて行わなかったのか。それとも()()()()()()のか。


マセリンの真剣な面持ちを見て、ヴァルトの司令官の老人もまたゴホンと咳払いを一つ。


「結論から申し上げますと、可能です。ただし使用出来る状況は対艦戦闘と比べれば非常に限られたものとなってしまいますが」


「では、以前の戦闘でそれを使わなかった理由は?」


「恐らくは奇襲を受けた事による混乱が主な理由だと思います。戦闘準備の完了していない状況で敵と遭遇してしまったため、各艦がバラバラの状態だったのだと証言からは予想されます。ただ、そこでもし統制方位盤射撃を行っていたとしてもそれだけで状況が大きく変わるものだとは思えませんが」


「では、取り敢えず今回は可能だという認識で良いですね?」


「勿論です。お任せ下さい」


彼はニッと笑う。

それは、海の男には似合わぬお茶目な笑顔であった。

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