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エッセイ 

チベットモンキーから学ぶ、おっさんと子供の関係

作者: NOMAR


 2018年、おっさんと子供の取り合わせがなろうに増えたような。個人的に好みなので楽しんで読ませてもらってます。

 おっさんと子供、紆余曲折あり人生経験を積んだ保護者と頼る者がいない少年、又は少女。

 ふたり手を取り寄り添いあって。


 映画だと『レオン』『赤ちゃんに乾杯』とかでしょうか。

 『岩窟王』にもこの要素はあるような。

 『魔法使いの嫁』は未来の夫婦かもしれないけれど、なんだか親子が垣間見えるような。


 今のものは少子化の影響からかおっさん視点のものが多い気がします。

 ただ、これを読んでいたときに思い出したもの。主役の行動とかが、

「なんだか、チベットモンキーみたい」


 ん? ということは?

 チベットモンキーを調べるとおっさんと子供ネタが出てくるのかも。

 なので今回はコレ。


 チベットモンキー


 オナガザル科のサルなんだけど尾が短いサル。チベットだけでなく中国の南部から東部一帯の山岳に生息。チベットマカク。

 森林開発による生息地の減少から生息数も激減。準絶滅危惧種でレッドリスト入り。


 このチベットモンキーの特徴として、まずケンカっ早い。

「なんじゃワレェ! 何見とんじゃゴラァ!」

「あぁ? 誰が貴様(きさん)なんぞ見とるかボケェ! ケンカ売っとんのかシャバ僧がぁ!」

「ワレが先にガンつけよったろうが! いわしたろうかダボがぁ!」

 ポカポカポカポカポカポカ


 と、まぁ、こんな感じでよくケンカします。でもそこは野性動物なので、どっちかが死ぬまでやったりとかはしませんが……、


「ま、待てや! 鼻血出たで、タンマ! タンマ!」

「何イモひいとんじゃゴラァ! ワシを無礼(ナメ)たらどうなるか、教えたらぁ!」


 たまに頭に血が上り過ぎて引きどころを見失うことがあります。冒険者ギルドの新入りにちょっかいをかける中級冒険者のように。

 しかし、チベットモンキーには独自の争いを納める方法があるのです。


「待て! ちょっと待ってくれや!」

「なんじゃおりゃあ!」

「じゃからちょい待てや! みいちゃーん、みいちゃん、ちょっとこっち来てー、おじさんのとこおいでー」

「あぁ? こいつは……」

「ワシの姪のみいちゃんじゃ、どうじゃ? 可愛いじゃろ?」

「おー、目ぇパッチリしてて可愛いのぉ」


 チベットモンキーの大人は大の子供好きなのです。可愛い子供を見ると、ケンカとかどうでもよくなってしまうのです。

 (注、ロリとかショタとかペドではありません)


「ワシに似ず可愛い子じゃろー」

「可愛いのー、可愛いのー、ビックリさせたか? おっちゃん怖くないぞー、ほーら、おっちゃん怖くないぞー」

「この毛並みとか、ウチの群れ1番の美人じゃろー」

「おぅ、笑ぅた! 笑ぅたぞー! ベロベロバー!」


 大事な事なのでもう1度。

 チベットモンキーの大人は大の子供好きなのです。

 (注、幼児性愛ではありません)

 ケンカも忘れてオス二頭が一緒に子供を可愛がります。

 ケンカをやめて仲直りの証しに二頭で子供を高く差し上げます。

 『橋渡し(ブリッジング)』と呼ばれるチベットモンキーの習性です。

 子はかすがい、なんていう言葉もありますが、可愛い子供がいれば争いをやめるのがチベットモンキーの習性です。

 ちっちゃい子にはデレデレのメロメロです。

 子供が群れにとって大事な要素になっている、一風変わったサル。他にも子供に役割があったりします。


 理由は解りませんが、群れを追い出されたオスが一頭います。エサが上手く取れないのかやつれていますね。

 どこかの群れに入れなければ、このまま死んでしまうかも知れません。しかし、このオスには最後の頼みの綱があります。

 その胸にしっかりと子供を抱えています。

 さんざん彷徨いてようやくひとつの群れを見つけました。


「あぁ? お前、どこの群れのモンじゃあ!」

「親分さん、あっしは訳あってもとの群れを追われたハグレ者です。今はどこの群れにも関係ありやせん」

「は! ボスの女に手でも出したか? みすぼらしい毛並みじゃのう」

「親分さん、あっしはどうなってもいい、じゃがぁ、この子は、この子だけは……」


 ハグレたオスはそっと群れのボスに胸に抱いた子供を差し出します。


「あっしがダメな親父で、息子にはひもじい思いをさせておりやす。この子だけでも、親分さんの群れに入れてやっちゃあ、くれませんか?」

「お、おぉ……、痩せてあばらが浮いとるやないか……、かわいそうに……」

「お願いしやす。親分さん、どうか、お願いしやす……」

「わかった! お前の息子はワシの群れで面倒みたるわ!」

「ありがとうございやす、親分さん。では、あっしはこれで……」

「待てぇい!!」

「親分さん?」

「どんなに情けのうてものう、子供には親が必要なんじゃ」

「……親分さん」

「お前もワシの群れで面倒みたる! じゃがのう、ワシの群れに使えんオスはいらんのじゃ! しっかりと働いてもらうぞ!」

「!ありがとうございやす、親分さん、ありがとうございやすぅ!」

「おぅ、お前ら! エサ取ってこい、子供が腹ぁ空かせとる!」

「「へい! 親分!」」


 こうして群れからハグレたオスは子供をダシにしてちゃっかりと別の群れに入りました。

 なんというかチベットモンキーにとって子供はとても重要なんですね。

 どんだけ子供好きなんだか。

 ♪おれたっちゃ子供がパスポート

 なんて歌が聞こえてきそうです。


 ひるがえってみて、少子化で子供が少なくなり学校の数も減っていく日本。

 なんだかつまらないことで言い合ったり、どうでもいいことで争ったり、引くに引けなくなって行くところまでいったり、いつまでもギスギスしてたりと。

 そういうことが増えたような気がします。

 子供が見てる、ということで大人の責任感に目覚めるなんていうこともあるわけで。

 親を育てるのが子供の視線だったりすることもあるわけで。

 これも少子化の弊害でしょうか。


 ちょっとイラッとしたときには、チベットモンキーの真似をして『橋渡し(ブリッジング)』などしてみては?



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