第5話 アレン国
「よくいらっしゃっいました」
二一達がアレンに到着すると、すぐにシーパが迎えに来た。
「ここにちゃんと来るのは、あいつらを助けに来たとき以来だな」
「あの時は大変でしたね。私も手助けに行く余裕がありませんでしたから、申し訳ございませんでしたね」
シーパが和美と里香に頭を下げる。
「いえいえ、あの時は俺達も自分の実力を見誤っていましたし」
「…………結果的に無事でしたし……」
「まぁこの2人以外のやつらが原因なんだけどな」
和美と里香が気にしてないというように手を振ったのだが、二一は原因がこの2人にないことをわざわざ言う。
事実、和美の指示に従っていれば、あそこまでギリギリになることはなかったので、あながち間違ってもいない。
「ははは、まぁ皆さんご無事で本当に良かった。あの塔は偶然でしたが、かなり強いものでした。あれが無くなってからは、塔の発生頻度も下がり、我々の魔物討伐も効率よくなりましたよ」
「シーパさんは、あの塔のようなものをいくつも攻略されてるんですか?」
「ああ、ルフトほどではないが、私の国は首都のルヴァン国以外は、ほぼ整備されていなくて、森と湖だけしかない。魔物が住み着いている場所も多くてね。ときどきドルツやアレンに討伐の依頼はしているが、ほとんどはこちらでやっている」
「人手足りるんですか?」
「このアレン国はほぼ全員が戦いの心得を持っている。私も含めて皆自分の身は自分で守ることにはしてある。首都ルヴァン以外にも、整備していないが、そのまま住み着いている住民もいるくらいだ」
「なるほど、俺は好きな考え方ですけど、国としては大変なんじゃありませんか? 分業できないと」
「その苦労はあるね。皆が作物を作って、皆がものを売り買いして、皆が戦うから、魔物が多くなって、私の父親が就任するまでは、ろくに人とのつながりは無かった。きちんと周りの国とつながりを持つようになったのも割と最近だ。一歩間違えれば、ルフトのようになっていたかもしれないね。まぁ、資源が多いから、あそこまではないだろうが」
ルフトと同じく、あまり回りの国と関わらない国ではあったが、湖と森の多いアレンは、少なくとも資源に困ることは無い。魔物が多くなり、他国の援助が必要になるまでは、ある程度独立国家だったので、国の特色が変わっているのである。
「今なら魔物が出てきても、私のプラズマで一撃なんだからね」
二一の左肩に乗るサリアンが、自信ありげに言う。
「おや? 二一殿。またメンバーが増えておりますね。この子は?」
「サリアンです。見た目は耳折れ並みに小さいですけど、竜人族です」
「なんと! それは協力な味方を得ましたな。心強い。最近は魔物の侵攻も激しく、戦力はあるに越したことはない。それに、ヴァーテルベイルがかつてないほどの危機を伝えている。もしかすると、四天王クラスの相手が出てくる可能性も否定しきれない」
「とりあえず、今の前線で戦いましょう。このアレン国が落ちるようなことはあってはいけませんから」
「お願いしよう」
そして、二一達は激戦区となっている魔国とアレン国の国境近くに向かった。
最前線にはかなり大量の魔物がいた。
「うりゃぁぁ!」
「くらえです!」
「本気の私を見せちゃいます!」
最前線には、和美、クレアロッテ、サリアンが立ち、敵をなぎ倒す。
「…………えい…………」
「皆、頑張ってっ」
後衛では、遠距離攻撃ができる里香と、回復のスキルのある歩がいる。
「……そいつは、打撃が効かない。デッカーがいけ。そいつの弱点は尻尾だ。回避して後ろから攻撃しろ。
そいつは勝手に爆発する。だから距離だけとっとけ」
「……幸運譲渡だけしておきますのでございます」
そして、後衛には二一もいた。二一は、情報通をつかって、周りの仲間に指示を出していた。
もちろん二一もチートなので、前線で戦うことはできるが、アレン国の近くにいる魔物は、レベルが高く、また、種類も異なるので、ほぼ初見の戦いになる。
シーパから情報を得て、二一がそれを把握し、情報通と交えて、うまい戦いをできるように指示に回った。
中には、明らかに適正に気をつけないと、ダメージを受ける相手もいた。
毒性が強いガス状で、打撃攻撃無効なポイズンスモッグ、これは里香が一撃で消し去る。
人間からの攻撃と魔法を受けない呪いつぼはクレアロッテが倒す。
ドラゴンもいたが、同じドラゴンでも竜人族は格上。サリアンの敵ではない。
その他の普通の敵は、速度、攻撃力に優れる和美が一気になぎ倒す。
直接攻撃、間接攻撃、人間、亜人、そして、回復要因、ほぼ完璧な布陣に加え、二一が適正を指示するのだから、本能のまま戦う魔物が、相手になることはなかった。
1日で、ほぼ国境沿いにいた魔物は殲滅に成功した。




