表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偏屈な召喚者は異世界でも変わらない  作者: 35
第10章 決戦編
102/104

第8話 最後の試練 VS魔王

「いよいよですね」


最初に戦って休憩を十分にとった和美が先頭に立って階段を上る。


この異世界に来てから短くない時間を過ごしてきて、いろいろな出来事があった。

そのすべてが終わる戦いになるのだから、全員緊張感を隠せなかった。


「プリンス、あんまり固くなるな。あんまり最後だとか考えるな。余計なことを考えると面倒くさいことになる」


しかし二一はいつも通りである。


二一にとっては最後の戦いも1つの戦いでしかないのだ。


「それでも……、やっぱり緊張するです」


クレアロッテも二一の肩の上で緊張している。同じく肩にいるサリアンも震えている。


2人して震えているので、二一本人が震えていなくても、震えているように見える。なので、全員緊張しているように見えたりする。


「ドアがありますね。開けて大丈夫でしょうか?」


「あの魔王は良くも悪くも正々堂々としてるから、大丈夫だとは思うぞ。でも慎重にな」


最初に魔王城に入るときに、きちんと段取りを説明していたので、魔王があまり卑怯な真似をしてこないと考えたが、一応警戒を二一はさせた。


ガチャ。


ドアを和美が開ける。


「あれが魔王……」


和美が入って、全員が4階に入る。


和美達の目線の先には大きな椅子がありそこに1人の男が座っていた。


見た目、大きさは限りなく人間に近いが、肌の黒さと角が人間ではないことをうかがわせる。


ミドリンのようにとてつもなく見た目が大きくはないのだが、そのオーラはさすが大魔王。距離があるのに、覇気を感じる。


「クックック。よくぞここまで来たな。どうやら見たところ、誰も欠くことなく来たようだ」


不気味な笑みを浮かべて、ヘルトメが足を組む。


「あんたが大魔王か」


「そうだ。そしてお前が勇者の二一だな。私の完全な計画をすべて台無しにしてくれたな。長い布石を打って準備をしていたのに。人間と亜人の対立を噂を回して流して、人間、亜人、魔物で3勢力で対立させて、魔物への対抗力を低くし、ルフトの不満分子を強くして、我々の仲間に引き入れ、アレン国も王を殺害して、混乱に陥れて内部からの破壊をさせて、ラルフもエドワードの殺害に成功して、その隙にタニアも陥れる作戦。作戦の実行そのものは成功していたが、作戦の結果としては失敗だ。そして、ミドリンを筆頭とした部下もほとんど失った。そして、隠し玉のイルも倒された」


「まだ俺が倒した覚えのないやつもいるはずだが?」


「お前が知らないだけだ。私はこの魔王城にお前らが来た時に、残っていた四天王のイクスナと四人衆の残りを各国に送り届けて、安定している国の情勢を混乱させようとした。だが、お前は、召喚者をバランスよく各国に派遣していた。そして、見事撃退した。私に残っているのは、もう私だけになった」


「おお、あいつらもよくやったな」


二一は、召喚メンバーをルナルデッタ達の王とも相談して、適性のある国に派遣していた。


「それで、どうするんだ?」


「これで私が勝っても、野望は事実上潰えたと言っていいだろう。また同じように世界を制覇するためには、また200年以上を費やすだろう。だから後はけじめとして私はお前らと戦う」


ヘルトメは立ち上がった。そのとてつもない迫力で。


「そのまっすぐな感情は嫌いじゃない。俺が戦う」


二一もドゥンケルハイトをもって、一歩前に出た。


「先輩!」


「お前らは下がっとけ。この魔王の底がわからない。まずは力量を見る」


和美が前に出ようとするが、二一が抑える。


「お前の武器はドゥンケルハイトか」


「ほかにも2つ使えるがな」


「私も2つ使うことができる。フラムリーヴルと、ヴァイスシュペーアを使用できる」


すると魔王は魔導書と槍を取り出す。


「あれは?」


「私たちの持ってるのと同じ?」


和美と里香が驚いていた。自分たちと同じものを持っていたからだ。


しかも、イルが持っていたような模造品ではない。間違いなく本物である。


「二一ちゃんっ。どうして国宝が2つあるの?」


「……なんとなく察してはいた。ヘルトメ、お前元人間だろ。しかも、元召喚者の」


「「「「「えっ?」」」」」


二一以外のメンバーがその二一の発言を聞いて驚いた。


「正解だ。やはりお前は察しがいいな。私の元の名前は、源至留みなもといたる。以前の召喚者の1人だ」


「やり方があまり魔王っぽくないからな。人間を相手にしているみたいだった。理由は知らないけどな」


「理由は私を倒したときに教えよう」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ