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盗人少年と侍少女  作者: チョコパン
一の町 『黄昏村』
9/31

九話

翌日、俺とカルナさんは作戦会議を開いた。

「でもどうするの?食料は近くにある畑あと森にいる動物達、果実ぐらいよ」

 畑があるものの小さく10m×10mしかない、村の人口32人にはぎりぎりの大きさだ。しかもそれを4分割し、米、そして残り3枠は季節ごとに育てる野菜を変えていた。今は、キャベツ、カブ、葉ネギを育てている。


「秋ね」

カルナさんはその植物をみるなりその野菜がどの季節かをすぐに答えた。

「カルナさんわかるんですか」

そんなことをいうと目を細くしてこっちをみてくる。

「祖母の家が農家だったから時々手伝っているときに覚えたのよ。まさかここで役立つとは思わなかったけどね」

手伝っているときのことを思い出したのか「ふっ」と少し笑みを浮かべたようにみえた。

「ってことはもうすぐ冬ですか」

この世界の季節が現実通りなら俺の言う通りになる。だがそれにともない装備も冬に変えないとおそらく寒さで動けなくなるだろう。

「冬か~」

カルナさんはそういうと自分の服装を見た。着物は着たことがないのでわからないがその着物は、動きやすさ重視なのか冬を越すには少し厳しいとのではないかとうかがえた。

「なら服を・・・・そうじゃないわ。今は服よりも食料難よ」

無理やり本題に戻すと試しに近くの農場に向かうことにした。


「ここが・・・・確かにテレビで見たものよりは小さい気がする」

その畑をみると村人たちはすぐに収穫に掛かっていた。手際がよく1時間もしないうちにすべて回収し終えていた。

「さて、次へ行きましょ」

次はいい場所がないか村を改めて回った。

「ん?あれは?」

対していい収穫がなく村を彷徨っていると畑にいく村人を数人見かけた。

「畑になにしにいくんですか?」

俺が聞くと村人は笑顔で答えた。

「収穫だけど」

それを聞いた俺達の頭の上に?マークが浮かぶ。

「さっき収穫はしたはずでは?」

カルナさんが聞くと次に村人がハテナマークを浮かべる。

「ならみていくかい?」

説明するのが難しかったのか村人は畑に俺達を連れて行った。すると・・・

「な・・・!」

「え・・・・」

そこにはさっき採取したばかりの野菜や米が生えていた。冷静に考えればこの収穫量で数週間も持つはずがない。だが俺達には収穫時間がここまで短いとは思うことができなかった。

「だいたいここの畑は一時間すると採取できるようになるんだよ」

村人があっけにとられた農業の説明をすると俺達は目を見開いた後少しにやけてしまった。この世界の仕様でそうなっていることはわかったがこの村だけなのかほかの場所も一時間で育つのかはわからないもののこの情報はとても使えた。それをカルナさんもわかったらしく、この問題は簡単に終わりそうだと思ったからだ。

「一時間で育つのになんで食料不足になるのかしら」

確かにそれは不思議だった。おそらく一回の収穫で全員分の一日の食料が手に入るだろう。それが毎一時間で取れるなら食料には困らないはずだ。

ならなぜ・・・・?

一つ目は荒らされていることを考えたが、一昨日のゴブリンぐらいこない限り荒らされないらしい。

二つ目は村人の食べる量が多いことを考えたが一緒に暮らしていてそれはみた。

これ以上は自分の頭じゃ思い浮かばなかった。カルナさんに聞いたものの考えつく案は一緒とのこと。俺達が必死に考えていると村人がこちらの顔を覗いてきた。

「どうしたんですか?」

俺がいうと彼は驚いて答えた。

「い、いや、村に来たばっかりなのにとても村に尽くしてくれると思ってね」

___まぁ、理由はちゃんとあるのだが・・・ん?

「この畑は全体で何回収穫してますか?」

俺は少し閃いたことを聞いてみた。

「ん~一日二回ぐらいかな」

__少な!

それを聞いていい仮説が浮かんだ。

「おそらく、ここ数回行われてる宴が原因で食糧不足になっているんじゃない?」

カルナさんにいうと「流石にそれは」といったが少し村人は下を向いていた。

「図星なの?!」

彼女は驚いた表情で村人をみる。

「ええ、あまり言いたくはなかったんですが」

それを聞いて少し安心した。それはもう宴を開かない限り食糧不足にはならないし、なったとしても時間が解決してくれるからだ。それもカルナさんは理解していた。

「これじゃ特にレベルも上がらなそうですね」

俺が少しがっかりするとカルナさんはなにか閃いたような顔をしている。

「バラ、あの苗木くれないかしら?」

とくに持っておく必要もないのですぐに渡した。すると彼女は村に戻り門のすぐ近くにその苗木を植えた。

「これは?」

「これならあそこまでいかなくてもすぐに果物が取れるでしょ?」

それはわかっていたのだがそれ以外に意味があるのかきくと「なんとなく」で済まされてしまった。だが俺はこのとき、その行為が役立つとは思いもしなかった。

 次の日俺達はカルナさんが植えた苗木をみてみるとそれは成長していて一昨日みたいな木になっていた。そしてそこには大人や子どもたちが集まっており肩車などして果物を取っていた。

「カイトだぁ」

「カルナ~」

子どもたちが俺達のところに集まってくる。なんで苗木を植えたたけでこんなに喜ばれるか不思議になる。

「二人ともありがとうございます」

それを聞いた俺達にはハテナマークを浮かべる。

「どういうことですか?」

「実は前から取ろうとしていたんだが熊がいつでてくるかわからないからあまり取りにいけなかったんだよ」

そういえばそんなことがあったなと思いつつ、理解する。おそらくいつもどうりで果実が取れるようになったことを忘れていたのだろう。

____ん?さっきから熊が倒したことによるイベントが多いけど俺達、熊を狩る順番間違えたんじゃないか?

そんなことを思うと俺達の周りでレベルアップの光が舞う。この光は村のレベルのほうだった。カードをみると『黄昏森 Lv.3』となっていた。

「やっぱり」

俺が声を漏らすとカルナさんが反応してきた。

「やっぱりってなによ」

「おそらく熊を狩る順番が違ったんだよ。だからわからなくなった。あの時熊を殺したりしなかったら、おそらく村の人が熊に襲われて果実が取れないイベントが発生するはずだった。その工程が飛ばされて食糧を取りに行くだけのクエストになってしまった。って感じかな」

我ながらよく言えたと褒めてやりたい。カルナさんも納得しているようで「なら私のファインプレーね」と誇っていた。もちろんその行為は大正解だったため俺はカルナさんに今日は大好物の食べ物を出してやろうと思った。


「アイス?」

どうやらカルナさんはアイスをご所望らしい。もちろん牛乳はあるもののアイスの作り方は知らなかった。仕方なくタルにアイスはあるのかと聞いてみると、彼はにやけながら俺を見ていた。

「なに~、彼女にプレゼント~」

_____なんと生意気な

と思いつつも一応プレゼントなのでそのまま聞いた。

「売店に売ってるよ。けど少し高いんだよね~」

タルはアイスを想像したのか少しよだれが垂れている。とりあえず果実をタルにあげ、売店に向かうことにした。


「ああ、あるよ。500G」

___500!?武器と一緒ぐらいの値段だな

一応お金は持っていたので買った。店を出ようとしたがタルのあの顔をみて少し罪悪感が生まれるので子どもたちにも買ってあげることにした。

「子どもたちにあげるのか?なら早くした方がいいぞ。この村冷凍庫ないから数時間も持たないぞ」

商人の親切心のおかげで溶かさずに済んだ。まず先に子どもたちの家によりアイスを渡した後、すぐに宿に戻った。


「おお~」

カルナさんはアイスをみるととても喜んでいた。アイスを口に含むとちゃんとスプーンについたアイスまでも舐め「んん~」ととろけている顔になる。

「ん!」

彼女は半分まで食べるとアイスを俺に向けてきた。

「バラも食べなさい。なんか私だけ食べていると罪悪感があるわ」

その行為に甘え俺も食べる。口に含むとすぐに口中に甘いバニラの味が広がる。バニラはとても濃厚で500Gでも元は取れているおいしさだった。

「おいしい!」

「でしょ!」

この味はとても忘れることはできず。なんなら村人にもこのおいしさを共有したいぐらいだった。


「ありがとう。バラ」

彼女は俺に笑顔でいった。その表情で言われるととても照れる。

「どういたしまして」

俺はこの世界にきて初めて『よかった』と思った。


「ああ~、この村を離れることになったら100個ストックしとこうかしら」

そうつぶやいたのが聞こえたが俺は風呂へ向かった。

・海斗

レベル24

攻撃力 5

防御力 7

すばやさ 35

魔法攻撃力 8

魔法防御力 7

スキル  バックステップLv3 窃盗Lv.1 暗闇目視Lv.1 無音歩行Lv.1

所持金 2650G

・カルナさん

レベル28

攻撃力 20

防御力 7

すばやさ 24

魔法攻撃力 4

魔法防御力 4

スキル バックステップLv.1  動体視力アップLv.1 居合い切り強化Lv.1 炎切りLv.1 気配探知Lv.1

所持金 12000G

ポイント

カイト ステータス7、スキル7  カルナ ステータス8 スキル8



所持金は敵または動物を倒すと増えます。

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