五話
俺達は森を抜けるために寝床から出発した。準備したものは河川に沢山いた魚ぐらいだった。俺は少し変わったカルナさんに違和感を感じてこっそりとカードを奪ってみると。
おいおいまじかよ。俺より上じゃねーか。
俺が寝ている間によく俺よりも上げれたものだと感心したがなんか腑に落ちない。そんなことを思いながらばれないようにカードを戻す。
スキル『気配探知』を覚えていたのにはうらやましいと思った。俺が『気配探知』を覚えようとすると6ポイントかかる。けど今の目標は同じ6ポイントの『超観察眼』。持っていて損はないだろうと思ったからだ。
俺とカルナさんはゆっくり歩いていると、途中ゴブリンが襲撃してきたがカルナさんは気配探知を駆使してバンバン倒していった。背中はカルナさんに任せてカルナさんの指示でゴブリンを倒していく。すると俺は3体ほどでレベルが上がった。
すぐレベルが上がったな。前は7体ぐらいでレベルが上がったのにカルナさんの分も足されているのか。「少し離れる」と告げてカルナさんにゴブリンを任せると少し離れてカードをみた。
10m まだ経験値が足されていた。
20m まだ足される
30m 足されなくなった
足されなくなったのをみてカルナさんをみるとカルナさんはゴブリンを大量に切り倒していく。その様子はさながら鬼のようだった。
よかった。カルナさんが敵じゃなくて。
と少し安堵した。そして適当に離れた供述をするために木の実を取って戻った。
『黄昏森の実』
『黄昏森』の木にしか実らない実。『黄昏森』の素材は高価で取引される。
その後俺達は出ることのできなさそうなこの森を歩いていると右のほうで馬のような足音が聞こえた。
_______ひひ~ん
さらに馬の鳴き声して馬のほうを向くとなんか馬の上にものすごく強そうな装備をした人がいた。そして俺達に目もくれず一瞬で消えていった。けど目もくれない理由は一つあった。
「ねぇ、バラ。みえた?あの馬の上に乗っていた人。首、なかったわよ」
少しカルナさんは驚いているようだった。カルナさんもいっていたように、さっき通った馬に乗っていた騎士みたいな人は首がなかった。そして俺はあることをおもった。
目がないから目もくれれないかって。馬に騎士に、首がない・・・って
「カルナさん、さっきに騎士みたいな人の腕に首なかった?」
と聞いてみた。俺が思っているのはデュラハンだった。俺はその騎士と馬に夢中で腕のほうはみていなかった。
「ごめん。私、そこまでみてなかった。それに近く通っても全く探知できなかったよ」
カルナさんも一緒だったようだが、気配探知に引っかからないほどだから一応強そうと思った。
「追ってみない?」
カルナさんは提案してみるが追いつけそうにない。でも足跡がついていたのでそのことに乗ることにした。そして足跡をおっていくと左のほうで声がした。
「これ人の声かな?」
俺達は耳を左のほうに傾けた。
「こ・・・くれ・・・・・」
ギリギリ日本語が聞き取れた。そして俺達は足跡追跡を中止して声のする方に向かった。すると竹や木で作られた柵と門があり、門の上には少し大きく『黄昏村』と書いてあった。
「入るわよ」
カルナさんは覚悟を決めて入ると、カードが光った。そしてカードをみると装備欄の横に『町』の項目が出てきてみてみると、『黄昏村 Lv1』と書いてあった。
「これが目的の町攻略の一つですね」
「そうみたいね」
迷い村を少し歩くと村長みたいな人が立っていた。
「この村に客人とは珍しいの~」
早速声を掛けてくれた。村長の年齢は80歳ぐらいで経験豊富な爺さんみたいなイメージだった。
「いえ、迷っていたらここに着いたんですよ」
カルナさんはきた理由を村長に説明すると「ほぉー」と感心したように髭をいじった。
「迷ってたどり着くことも珍しいんじゃがな。でもどうするんじゃ?この森から出たいのであれば案内はするが」
森を案内してくれるにはいいが、一応この村も目的の町に入っているのでせめてクリアしていきたい。周りのモンスターも弱かったし。
「できれば当分この村に泊まりたいのですが」
申し訳なく聞いたが村長は「人が増えることはいいことじゃ」といって了承してくれ宿までも紹介してくれた。その宿は木や石で作られたちゃんとした家のようだった。こういう村はなんか、弥生時代そうな三角な家で暮らしているかと思った。宿に入ると7歳ぐらいの少女と少年達がいた。
「村長、この子達は?」
宿の中をみた村長は、「しまった」というような顔をして俺達に説明した。
「この子達は家のとなりに暮らしている人たちの子ども達でな、滅多に人がこないから遊び場として貸し出しているのじゃよ。すまない、すぐに追い出すよ」
はぁ~、とため息をつきながらしぶしぶ入っていった。なんか申し訳なさそうに思った俺達は村長を呼び戻した。
「大丈夫ですよ。一緒にいても」
テンションの低かった村長はすぐに目を見開いて「そうかそうか」と上機嫌になり後のことは俺達に任せて、帰っていった。
「さてと」
改めなおし中に入ると子ども達は俺達に近づいてきた。
「わぁ~、すごい剣だ。かっこいいな」
俺達の装備に驚いているようだった。この世界の人たちはAIとかだと思っていたがみているともはや普通の人間のように表情や動きをみせた。
「お兄さん達、名前は?」
俺は初めてこういう質問をされたのでよくあることで返してみた。
「まず、君達から先に名乗るもんじゃないかな?」
そういうとすぐに答えてくれた。
「僕の名前は、アル、右にいるのが、カル。さらに右が、ナル。左がタル、そしてハルだ」
みてみると、アル:男、カル:女、ナル:男、タル:男、ハル:女だった。名前を言ってもらったので俺達も名乗った。
「俺は海斗」
「私は香瑠奈」
「カイト、カルナ」
少し片言だがあっていたのでカルの頭を撫でてあげたがとてもうれしそうで愛くるしくなった。その後少し会話や遊び、午後になると帰っていった。門限あるのか~。
俺は最初のこの説明を思い出すとあることが浮かんだ。
「確か町をクリアするにはボスを倒すらしいけど。まさかあの騎士と戦うことになったりして」
それを言うとカルナさんは少し渋い顔をして「それはいやだな~」とため息をつく。そして俺達は道具や装備を一式確認することにした。カルナさんは、ゴブリンからドロップした子供用な斧がたくさんあった。対して俺は拾った木の実や枝、花と魚がたくさんあった。
アイテムを戻そうとカードを取りだすとあることに気付いた。
この10000Gってなんだ。金か?
そう思った俺は宿を出て近くにいたナルに聞いてみた。
「これは金だね。すごいねお兄ちゃん。10000Gも持っているなんて」
いまいちこの世界の金の価値がわからない。
「ナル、この宿代はいくらかわかるか?」
聞いてみたらキョトンとした表情をして答えた。
「たぶん金は取らないと思うな。滅多に森から出ないし、ほとんど自給自足だからね。さらに久しぶりの客だし」
「そうか、ならその腰のナイフは何Gだ?」
「え?これは護身用と狩りのために親から貰うんだよ」
うっ・・・なかなか金の価値がわからない。お菓子の値段を聞こうと思ったがお菓子の価値がわからない。
「それなら、売店はないか?」
それなら、といってナルは売店まで案内してくれた。
「ここが売店だよ」
見た感じはあまり宿と変わってないが中は売店のようだった。商品があり剣や、アイテム、お菓子や食べ物まであった。
「めずらしいじゃねーか。ナル、客人か?」
「そう」
声の主は、ここの店主で、顔はごつく、盗んだらすぐに捕まえてきそうな面構えだった。商品を見ていって、俺はその中で一番高そうな長剣を選んだ。
「この剣何えn・・Gですか」
いつもの『円』をいうところだった。いきなり単位が変わると意識しないと間違えそうだ。
「この剣はここ一番の値段で1000Gだ」
思ったより安いな。最初だから安いのかわからなかったがその横にあった弓と矢を買った。
弓:500G 矢:10G×100
「客人。剣は買わないのか?」
少し催促してきたが剣はいらなかった。
「いえ、剣はいりません。俺にはあわなそうなので」
すると、その途端店主のおっさんは俺をまじまじとみた。
「客人は、機動力重視って感じか。ならもうすぐ使えそうなアイテムや剣が入荷するからまた来るといい」
この村の人達は結構親切な人が多いなと思った。それで安心した俺は、「また来ます」と告げて宿に帰った。
「遅い」
宿に帰るとカルナさんが腹を抱えてこっちをみた。すると腹から「ぐ~」と音がなる。すぐさま俺は魚を取り出してキッチンへ向かった。
この宿にはキッチンがありコンロはなくかまどだった。使い方を聞くのが面倒だったのでカルナさんに火を起こしてもらった。そしてそこの魚をぶちこみ焼いた。焚き火よりも火の通しがよくすぐに焼け、焼き加減もばっちりだった。
「やっと食える。バラ、どこいってたのよ~」
と少し睨んでくるがさっきの腹の音を思い出すと全然怖くなかった。
「いや、この世界の金のことを聞いてたんだよ。そしてついでに弓矢も買ってみた」
弓矢をみせるとカルナさんはうらやましそうにみてきた。
「ずるい、私も今度行かせなさい」
「はいはい」
といって俺は魚を食べた。何も思わずいつも通りに魚を口に運んだら思ったよりもうまく思わず声がでた。
「うまい」
その後に食べたカルナさんもうまいといってくれた。そしてその魚の臭いは村にも流れていたようで、村長や先ほどの子ども達、おそらすその親が宿に入ってきた。
「お前さんたち、河川に行ったのか?」
河川に行くことがとても珍しいことなのか。些細なことを聞いてきた。
「行きましたけど?」
その回答に村人たちの目が点になった。
「熊、いなかった?」
「いましたけど、倒して、一晩しましたけど」
その言葉を聞いて目が点になったまま開いた口が開かなくなっていた。
「そんなにすごいことなの・・・?」
カルナさんが聞くと村人達は頭をブンブン縦に振った。それほどすごいのか。
「実は最近あの熊が住み着いてね~。魚が取れなくなったんだよ」
「最初は僕達が河川で遊んでいる途中で襲ってきたんだよ。その時一緒にいたラルのおかげで助かったけどラルは・・・戻ったときには髪しかなかった」
突然ハルが泣き出した。いやなことを思い出したのだろう。そして村人達も少し俯いている。
「ならこれを」
俺は少しでもこの状況を打開するためにアイテムから『熊の爪』を渡した。
「ほんとだったか」
村長はその爪を取り驚きで少し手が震えていた。そして村長は元気を取り戻し、みんなに継げた。
「今日は宴じゃ~」
「「「「「「おお~」」」」」」
入村一日目で宴とは・・・ポイントは明日振るか。
・海斗
レベル20
攻撃力 5
防御力 7
すばやさ 35
魔法攻撃力 8
魔法防御力 7
スキル バックステップLv3 窃盗Lv.1 暗闇目視Lv.1 無音歩行Lv.1
・カルナさん
レベル22
攻撃力 20
防御力 7
すばやさ 24
魔法攻撃力 4
魔法防御力 4
スキル バックステップLv.1 動体視力アップLv.1 居合い切り強化Lv.1 炎切りLv.1 気配探知Lv.1
いままで会話が多かったのでできるだけ会話以外を増やすことをしてみました。