十六話
宿の部屋は俺と、カルナさんで共有して使った。少しでも宿賃を安くするためだ。
「でも、ほんとによかったんですか?分けなくて」
朝起きて支度している途中に聞いてみると
「今頃きくの?」
と言われた。まぁ、これまでにすでに洞窟の中やもう少しぼろい宿でも寝ていたのでたいしたことはないものの今になって少し意識してしまう。
「それと、あの二人を信用しますか?」
やはり昨日のことが気になる。いくら後輩だとしてもさすがに襲われちゃ警戒はしてしまう。
「信用はする」
「は」を強調して言っていたためやはり疑ってはいるのだろうと思った。
「さて、行きますか」
と俺の合図でカルナさんと宿をでる。宿の外ではすでに納須くんと銘さんが待っていた。
今日は特定アイテムを依頼人に届ける、いわゆるお使いクエストをメインの攻略をすると聞いているので、できるだけこの町の地図は頭に入れておきたいところ。けど、見た感じこの町をでないとモンスターもでないので他のクエストがどんなものなにかも想像ができない。
時間にしては3時間ほど、案内されつつ4つほどのクエストを終わらせ町レベルが3になった。早いと思いつつもそれに付き合っている後輩二人は4のままなので途中から難しくなるのか、それとももう終わっているから上がらないのかと、後者ならそろそろ追い付きたいところだ。
「先輩あそこ」
次のクエストを受けるべく、町を歩いていると納須くんが俺を呼んだ。指さしているところをみるとなにかいざこざがあるのか、おっさん二人が言い争っているのが見える。まさに一触即発だ。
(何かのクエストか?)
と思ったものの後輩二人も知らないクエストでおそらく案内中に後輩ルートのクエストが進んでしまったのだろう。ややこしすぎて頭が痛くなるゲーム設定についついプレイヤーカードに設定欄がないかみてしまう。もちろんのことそんな欄はなかった。
「止めに行きますね」
と納須くんが先に走っていく。俺達3人もそれに続いて走る。
「ちょっとどうしたんですか?」
納須くんは両者の肩を叩き、事情を聞こうと声を掛けた。その瞬間。
ブンッ!
右の人がいきなり納須くんに殴りかかる。不意を突かれた納須くんだったが、間一髪で避けることができた。それにほっとした俺だったが左にいた人も納須くんを殴ろうとしていた。
俺はすぐにバックから適当に石を取り出して左の人へ投げる。
「納須!避けろ」
すぐに俺の声を理解し納須くんは俺の投げた石をよけ、見事左の人に命中した。
そしてすぐに納須くんは右の人に体術を加え、気絶させる。
「すご」
とカルナさんは思わず口に出していた。
(その人を人質に取ったあなたの方がすごいと思いますが)
突っ込みをいれたいところだ。論点がずれているのでやめた。
「そいえば、あなたたちの職業なんだっけ?」
いざこざを止め、喧嘩していた二人を捕まえクエストクリアすると、カルナさんが職業について聞いた。
だがこれには少しリスクが高まってしまうので俺はあまり言いたくはなかった。
「私は、マジシャンです」
と納須くんが即答した。
「軍人」
と銘さんが答える。それに俺とカルナさんは少し警戒した。でも、銘さんはとくになにもしようとするそぶりはみせなかったので、俺達も教えることにした。
正直教えたくないという気もある。それは俺が盗人だと盗まれているのではないかという不信感を得てほしくないためだ。
「俺は盗人」
「私は侍」
俺達が職業を公開した途端、納須くんが俺の姿をまじまじとみる。
「なんかそんな感じがしていました」
と言われた。
「なんで?」
びっくりしてすぐに理由を聞いてしまった。
「いや、部活とかでも力とかでなく技術面でいろいろこざかしい手とか使っていたので」
後輩にそう思われていたのか。とショックを受ける。
「ふっ」
とカルナさんが微かに笑ったのが聞こえた。
「きこえましたよ?」
すぐに目線を反らしてきた。
「ん?いってないわよ?」
その後、昼食を一緒に食べ、6時間が経ち、なんとか二人に町レベルが追いつくことができた。
・海斗
レベル37
攻撃力 10
防御力 10
すばやさ 41
魔法攻撃力 8
魔法防御力 8
・スキル
バックステップLv3
窃盗Lv.1
暗闇目視Lv.1
無音歩行Lv.1
超観察眼Lv4
所持金 7950G
・カルナさん
レベル38
攻撃力 25
防御力 12
すばやさ 27
魔法攻撃力 4
魔法防御力 4
・スキル
バックステップLv.1
動体視力アップLv.2
ジャンプ力アップLv2
居合い切り強化Lv.2
炎切りLv.1
気配探知Lv.1
雷切りLv1
所持金 15700G
ポイント
カイト ステータス5、スキル8 カルナ ステータス5 スキル9