十四話
商人は裏道を知っているのかモンスター一人襲い掛かってこなかった。
「さすがですね」
俺が尊敬のまなざしを見せると
「当り前よ!」
と威勢よく答えた。
「よし、いくぞ」
商人は馬車の馬を操り、俺達は後ろの荷物のところに乗った。
5分くらいすると商人がこちらを覗いてきた。
「外をみてみろ。すごいぞ」
俺達は外をみると、絶景が広がっていた。
真ん中に一つの城、と町や城壁、そして城壁の外は草原が広がっていて、さらに城の真上上には太陽が見ていて神秘的だった。
「すごっ!」
「きれ~い」
俺達はその景色に見とれ、ハスガル城へ着くまでずっとみていた。
城壁の前にくるとその大きさに驚いた。
「大きすぎない!?」
その大きさは30m以上軽く超えてそうだった。
「そりゃ、モンスターたちに攻撃されても大丈夫なようにしているんだぜ」
商人は壁の大きさの意味を教えた後、門番らしき兵士にカードを渡していた。そしてそれを返されると馬車は城壁の中へ動いた。
「では、ここが、ハスガル城だ」
「中世ヨーロッパ・・・いや、どちらかというと現代より?」
よくゲームであるような中世ヨーロッパ風かと思ったものの、少し離れたところに大きい時計塔が立ってあり、そう判断した。
「ビッグベン・・・」
それは社会の教科書でみたロンドンのビッグベンにそっくりだった。
「ってことはロンドン?」
とカルナさんは思ったものの凱旋門みたいなものはみつからず、ロンドンではなさそうだった。
中央に大きな城が立っていた。ロンドンなら城も立っているだろうという考えなのでそこまで気にはならなかった。
「じゃあ、ここから俺は仕事だからあとは頑張れよ」
商人は荷物を降ろした後、手を振って見送ってくれた。
「「ありがとうございました~」」
「さて、まずどこから回ります?」
「まずはあの時計塔からかな」
時計塔までは見た感じ500mくらいの距離があり、ゆっくり歩きながら行くことにした。
道中繁華街や商店街など通る。印象はイラストなどでみる、布の屋根に木の柱、
そして木の箱の中にリンゴなど果実が入って積まれている。
逆に飲食店はレトロな店のように木の柱にニスが塗ってあり、机の脚は鉄で現代風に見える。
「見た感じ住みやすそうな町ね」
環境だけでは『黄昏村』より設備、整備は断然こっちのほうがいい。
商店街を抜け、人通りの少ない路地裏を横に通り過ぎた。
その瞬間に俺の視界が真っ黒にそまった。
私は景色に目を奪われてワクワクしながら路地裏を過ぎる。
後ろにはちゃんとバラはついてきていてなんとかはぐれてはいない。
「すごい景色だね(・・)」
バラはそういった瞬間、私の背筋に悪寒が走る。
そして私は刀を抜き、バラに向けた。
するとバラは、とても驚いている。驚きすぎている。
「あなた・・・・バラじゃない。バラなら冗談のように笑う…」
「グッ…!」
目の前が真っ暗になった瞬間『暗闇暗視』を使う。すると、首に腕が掛かっていた。力も強く、とても息苦しい。かろうじて前をみると路地裏へ連れ込まれている。
(まずい!)
すぐに腰に掛けてあるナイフを取り出そうとしたが即座にナイフを取られ、首に突きつけられる。
「動かないで」
その声は女の声だった。びっくりしたもののすぐにおとなしくした。
「そこまで」
路地裏の入口から知っている声がした。
スタスタと足音が2人分聞こえる。
声のした方へ向けると、一人の男とその後ろにカルナさんがいた。
カルナさんは刀をその男に向けている。
「バラになにかしたら・・・」
相方が人質になっていることみた首を絞めている女に少し力がはいり、少し苦しくなる。
(女って怖い!)
もしくはこの二人が例外なのか。
「あなたこそ、納須になにかしたら」
女が少し震えた声で威嚇するが、女が口にした名前は聞いたことがあった。
(いりす…?まさか)
目を凝らしよーくみるとそれは知っていた顔だった。
(げっ、後輩じゃん)
とりあえずこの状況がこのまま続くのも嫌なので早く決着をつけることにした。
「ふっ!」
俺は力いっぱい首を振り腕をほどこうとする。
あちら側に意識が向いていた女にとっては不意に近く、一瞬だけほどくことができた。そして逃げる瞬間にスキル『窃盗』でナイフを盗み女に向ける。
そして決着はついた。
「とりあえず話をききますか」
2人を集め、事情を聞くことにした。
「まさかそうそうプレイヤーに会えると思ったけどこういうかたちとは」
俺の想像だとばったりあって「あっ久しぶり!」みたなことになると思っていた。
「ん~でもなにから話したらいいのか」
少し悩んでとりあえず聞いておきたいことをきいてみた。
「なんで後輩の納須くんは俺を襲ったの?」
納須くんがブルブル震えている。とても言えそうになかった。おそらく俺を舐めすぎていたかそんな感じだろう。まぁカルナさんがいなかったら今頃終わっていたけど・・・
「でも、おかしくない?先輩だとわかれば普通は声を掛けるはずよ?」
それもそうだ。納須くんとは学校で何度も話すこともあったし部活でもサポートをしていたが、いきなり攻撃するような人ではない。
「実は先輩を見つける一日前に1組のプレイヤーにあったんです」
「「なに!?」」
見事に二人の思考が重なる。
まだプレイヤーがいたのか。
「名前は?」
カルナさんが相手の名を聞くと納須くんは少し悩みしぶしぶ答える。
「名前は言えません。そう言われました。」
監視でもされているかのように怯えている。
「特徴だけ・・・なら」
特徴か・・・。
できれば知り合いと合致してほしいものだが。
「女子生徒だった。目つきがとても悪く、ずっと見透かされている感じがする。そしてその人は学校でみたことがない」
誰だ?
全く俺には思い浮かばない。そんな特徴的な人がいたら嫌でも思い出しそうだが・・・・ん?
カルナさんを見ると頭を抱えていた。
「ごめん、それ私の親友」
(カルナさんの親友?!)
それだけでどれほどのつわものなのかと思う。
「一応いうけどみんな知っている人物よ」
そんな人いたか?
だがその人物を聞いて驚く。
「だって彼女は・・・・『生徒会長』だもの」
(なっ!?生徒会長だと・・・・)
俺の学校の生徒会長は支持率も高く、楽々生徒会長にまでなりつめたという。
普段は、赤眼鏡に黒髪のロング。みてからに『優等生』。
「あれは表の姿。眼鏡をはずしたらとても目つきが悪くなる」
確かに一度も生徒会長が眼鏡をはずす姿をみたことがなかった。はたしてカルナさんが呆れるほどの目つきの悪さなのか・・・少し楽しみでもある。
「そしてもう一人は」
カルナさんが聞くと納須は俺をじっと見ている。
(まさか・・・・)
「あいつか?」
そういうと納須は縦に首をふる。
「すみません。カルナさん、もう一人は俺の親友です」
「・・・・まじ?」
カルナさんは唖然としていた。
とすると2人組の名前は
恵(生徒会長)
明夜(俺の親友)
・海斗
レベル32
攻撃力 10
防御力 10
すばやさ 41
魔法攻撃力 8
魔法防御力 8
・スキル
バックステップLv3
窃盗Lv.1
暗闇目視Lv.1
無音歩行Lv.1
超観察眼Lv4
所持金 2950G
・カルナさん
レベル33
攻撃力 25
防御力 12
すばやさ 27
魔法攻撃力 4
魔法防御力 4
・スキル
バックステップLv.1
動体視力アップLv.2
ジャンプ力アップLv2
居合い切り強化Lv.2
炎切りLv.1
気配探知Lv.1
雷切りLv1
所持金 10700G
ポイント
カイト ステータス0、スキル3 カルナ ステータス0 スキル4