十話
私はバラからアイスをもらい元気を取り戻した。
夜、バラが風呂に入っている間に宿を出た。道中家から子ども達の笑い声がするがそれに構わず村をでる。
村をでた目的は自分のレベルアップのためだった。さすがにバラには知識で負けている分戦力では勝ちたかったからだ。
_____さて、どこから行けばいいのか
候補は2つあった。1つは最初に寝泊まりした熊がいた河川、2つ目は『ランダム苗木』のある付近。
考えた結果、苗木のほうを行くことにした。
苗木までは数分でついた。
「さて、なにがいるかな」
_____ガサガサ
近くで音がした。音のほうへ近づいてその音の正体をみる。
______ゴフゴフ
そこには落ちた果物を勢いよく食べる1.5mほどのイノシシの姿があった。そしてそのイノシシは私に気づき向いてくる。
「最悪・・・・」
そのイノシシは私に向かって全速力で走ってきた。
風呂から上がり俺は机に置いてあるメモをみた。
『ちょっと外に行ってきます』
と書かれていた。
____もしかして俺をほっといてレベルアップにいったのか?
一瞬でそのことが頭によぎった。でも夜外に出るとしたらそのことが妥当だった。
俺はすぐに宿をでて商人のところへいく。だが商人はみてないといった。そのことからすぐにアイスを買いにいってはいないことがわかった。
村をでて河川を目指した。道は覚えていたのですぐについたが彼女の姿はなかった。
間違えた?そう思って周りをみるが見当たらない。
_____ドスン!ドスン!
後ろから足音がした。それに気づき振り向く。
_____ガオォォォ
前に倒したぐらいの大きさの熊が立っていた。
「まじかよ・・・・・」
俺はすぐに短剣を取り出して後ろに下がった。だが熊は問答無用でこちらを目指して走ってきた。
______ドスドスドスドス!
私は全力でイノシシから逃げていた。
「思ったより早いんだけど」
走っているもののイノシシのほうが早くすぐ追いつかれてしまう。その度に左右によけて別方向に走るがイノシシは華麗に方向転換し、さらには木さえものともせずに避けて追ってくる。
「こうなったら一か八か」
私はイノシシがこちらに追い付いた瞬間斜め後ろに避けイノシシの真横に着いた。
「いまだ!」
刀をイノシシに切り込もうとした瞬間、『気配探知』が近くの敵を探知した。
その位置は・・・・
「・・・!真横にいる」
右を向いた途端、もう1匹のイノシシが目と鼻の先まで近づいていた。
「まずい。『バックステップ』!」
私は最初に会得したスキルを思い出す。2匹目のイノシシは私の鼻から約数センチを通過し九死に一生をえた。
____まさか2体いるなんて
2匹のイノシシは私を向き襲い掛かる準備をする。
「仕方がない。これを使うしか」
私はついでに買っていた武器をポーチから取り出す。
_____パァン!
私は取り出した短銃を取り出して空に向かって撃った。
______バラ!気づいて!
俺は熊の攻撃を寸前で避ける。
_____危ない危ない
隙を狙い短剣で切るが最初にあった時よりダメージが入らなかった。
_____まさかのよく道中に配置されているボスでもない強モンスターかよ!
何度切りかかるが避けるときに石に足をつまずき倒れてしまった。
その隙を熊は見逃さず大きく振りかぶっている。
____避けられない!
そのまま熊は腕を大きく振り俺の脇腹を抉るように爪でとらえて数メートル飛ばした。
「ぐあぁ・・・血が」
想像以上の痛みで立てない。くそ・・・・・どうする?はっ!そういえば
ポーチから回復薬を取り出してそれを飲む。すると血がでていた脇腹の傷がふさがり、痛みも少し引いたが立てるのがやっとのぐらいだった。
「だいぶ効くなこれは」
少し安心したが熊は追い打ちをかけるように襲ってきた。一撃目を間一髪で避けて2つ目を飲んだ。次は痛みが引いてほぼ本調子ぐらいの体調戻った。そして2撃目を難なく避け距離を取る。
「まだ2つ分ぐらいの体力なのか」
あと7つ・・・回復薬の数を確認し熊をみる。
「さて、行動パターンは読めた。あとはミスらないのみ」
その時・・・
_____パァン!
と遠くから音がなる。
「カルナさんはあっちか」
最初はカルナさんに向かうか考えたが熊を野放しにはできなかった。
「急がなければ」
熊を倒すのに20分かかった。何回か攻撃を食らってしまい、倒した時には回復薬が底をついた。
「はぁ、はぁ、待っててください。カルナさん」
そして音のした方へ向かって走っていった。
2匹のイノシシに追われ森中を駆け回っていた。なんとか避けるが反撃する隙がない。
「早くきて~」
さきほど私が撃った短銃は火縄銃をハンドガンみたいにした形状で一発撃つと次は30秒間撃てない代物だった。対プレイヤー戦に取っておきたかったが使うしかなかった。
そのまま10分逃げたがバラがくる気配がない・・・
____そうか、最初からそうすればよかったんだ
私はあることを見落としていた。それはバラを探知することだった。そしてすぐさま『気配探知』を使う。
「まだ宿じゃなかったらいいんだけど」
____・・・・・・!
バラの気配を探知したがその近くにある反応に思わず驚いてしまった。そしてその位置にも。
「私と全く逆じゃない。それにまだ熊がいたなんて」
私はまだバラの力は借りれないと思い、そのまま逃げまわった。
その20分後、1匹のイノシシの動きが止まった。
「ふぅ~、おまたせ」
そのイノシシの後ろにバラの姿があった。
熊を倒した俺はすぐにドロップアイテムを拾い音のしたほうへ向かう。数分でついたが近くにはいないようだった。
「これは?」
下をみると小さい足跡と大きな足跡があった。
____足跡か!
そして俺はそれをたどり走って向かう。意外と遠く10分ぐらいかかったが奥にイノシシの姿やカルナさんの姿が見えた。
弓を取り出して1匹のイノシシに放つ。その矢は見事にあたりイノシシがこちらをみた。そして走って距離を詰めて一撃加える。熊よりはダメージが入っていた。
カルナさんをみると少し泣きそうになっていた。無理もないだろう俺は『暗闇目視』があるからくっきり夜も問題なく見えているがカルナさんはおそらく俺の4分の1ぐらいしかみえていないだろう。そんな彼女に安心させるように言葉を発する。
「おまたせ」
やっと来てくれた!
姿は見えないが気配探知でなんとか位置はわかった。
「遅いじゃない!」
必死で涙をこらえて言った。だが今は目の前のイノシシに意識を集中させる。
「そっちは任せたわよ」
その後はすぐに決着がついた。バラの速さは私以上なのであっさり倒していて私に加勢して倒してくれた。
「ありがとう」
私はバラに感謝をする。安心したのか体の力が入らずに思わず倒れてしまった。
「大丈夫ですか?」
「ごめん、動けない」
バラの背中を借りて帰ることになった。そして帰ると、「もうこんなことしないでくださいよ。せめて俺も誘ってください」
ととても心配させてしまったようだった。
バラが熊と戦ったことを聞いたが、今回は二人とも敵の相性が悪かったらしい。逆だったらここまで苦戦はしなかったといっていた。
今回の一件でバラにはとても大きな借りを作ってしまった。これはいつか返さなければ私の腹の虫が収まらない。
私は無力だ・・・・
ついそう思ってしまう。そしてその日私は寝つけることができなかった。
・海斗
レベル29
攻撃力 5
防御力 7
すばやさ 35
魔法攻撃力 8
魔法防御力 7
スキル バックステップLv3 窃盗Lv.1 暗闇目視Lv.1 無音歩行Lv.1
所持金 4650G
・カルナさん
レベル30
攻撃力 20
防御力 7
すばやさ 24
魔法攻撃力 4
魔法防御力 4
スキル バックステップLv.1 動体視力アップLv.1 居合い切り強化Lv.1 炎切りLv.1 気配探知Lv.1
所持金 12800G
ポイント
カイト ステータス12、スキル12 カルナ ステータス10 スキル10
侍は銃を使わないですが、使っている人もいるんじゃないかというただの想像で持たせました。