First Love
冬を間近に控えたある秋の日に私の恋は終わりを告げた。
長かったような短かったような、ただ純粋にあなたに恋した日々でした。
私はあと何回恋をするのだろう。
きっとこれから先何度となく恋に落ちるかもしれない。
けれど今だけはそんな風には思えない。
きっと私にとってこれが最後の恋となるのでしょう。
心のどこかでそうあってほしいとさえ願っているんだ。
先生と出逢って先生にただ真っ直ぐに恋をしたあの日々は、紛れもなく私の青春そのもので。
それは確かにあの日あの場所にありました。
「結婚おめでと〜先生!」
空は綺麗で空気も良い。
みんな笑ってて幸せな時間が流れてる。
だけど私の心の雨は晴れない。
「先生たちの出会いのきっかけは〜?」
「学生時代からの彼女だよ〜」
私が知っている先生はしょせんほんのわずかで。
たったひとかけらの先生であって。
先生たちの間には私なんかが入れない歴史があって。
私が抱いた儚い恋心は、音もたてずにもろく崩れ落ちていきました。
思えば私の青春は先生と出逢ったあの日から始まったんだったなぁ。
「これから3年間よろしくね!」
毎日先生を見つめては喜び、話せては舞い上がり、すれ違いに傷つき、会えない日々に涙を流していた。
先生に恋をして私の青春を捧げたこと後悔なんてしていないよ。
ただ悔しいだけ。
想いのままにあなたにぶつかっていくことが出来なかった。
涙が溢れて止まらない。
哀しいんじゃないよ。
悔しいだけ。
苦しいんじゃない。
いつも見ているだけだった自分にムカついているだけだよ。
「大丈夫?気持ち…伝えなくて良いの?」
友達の優しさにも今は泣けてくる。
「ばかみたいだよね。勝手に恋して勝手に終わって…浮かれて舞い上がってバレンタイン作っちゃったりお土産あげに行ったりさ。本当バカみたいで笑える…。」
本当は笑っておめでとうって言いたいのに…
笑ってお幸せにって言いたいのにな…
好きな人の幸せを一番に願えるほど私はまだ大人じゃない。
「彼女は居ないよ」
先生。
あの言葉はどういう嘘ですか?
私を傷つけないための嘘?
先生なりの優しさなのですか?
「じゃあ特別ね!」
そう言って教えてくれた電話番号は一度もかけることはなかったね。
もちろん愛しい番号から着信が鳴ることもありませんでした。
今もね、届くはずのないメールを、返ってくるはずのないメールを夢見て待っているんだよ。
今はまだ言えない。
先生、結婚おめでとうなんて絶対に言えないよ。
だってそう口にしたら全てがなくなってしまいそうな気がするんだ。
私はまだ想い出の中から出られない。
私のものになんてならなくていいから誰のものにもならないで。
本当は私だけの先生で居て。
私にとって最初のこの恋が最後の恋であるように…
いま心から祈りを込めて…