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声劇用台本置き場

雨の日にアメを売る少女(台本形式)

作者: 結衣

練習として台本かいてみました。

男女比は、男1:女1です。

時間は10分くらいです。


※ニコ生やこえ部での使用は自由です。

強制ではないですが、連絡くれるとうれしいです。

あと可能ならURLの記載をお願いします。

雨の日にアメを売る少女


人物

・男子学生(高校生)

・少女


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 周りは田んぼや畑が広がっていて、建物すら近くにない。

 土砂降りの中、一人の制服姿の男子が傘もなしに走っている。

 (以後、物語の進行に応じて雨は弱くなっていく)


学生 「最悪。急に雨が降るなんてな。ああ、重い! なんで雨が降るだけで服って重くなるんだ? こんなことなら傘持ってくればよかった。それともあいつんちに寄り道したのが悪かったのか?」


 前方にレインコートを着用の、カゴを持った一人の少女(小学生くらい)が立っている。


学生 「……なんだあそこにいるの? 傘もささずに……小学生か? まあ、いいか。(通りすぎようとする)」

少女 「アメは、いりませんか?」

学生 「……え?」

少女 「アメは、いりませんか?」

学生 「あんた、何してんだ? 傘もささずに……」

少女 「アメを売ってるの」

学生 「ア、アメ?」

少女 「一粒なめればあなたも幸せ。いりませんか?」

学生 「いらない」

少女 「いらない? じゃあ、これ! 疲れがとれるんだよ」

学生 「いらないって」

少女 「お金はいらないよ。タダ」

学生 「タダ?」

少女 「人間ってタダって言葉に弱いんだよね?」

学生 「それって、売ってることになるのか?」

少女 「細かいことは気にしないで」

学生 「細かいか……?」

少女 「(アメを学生に握らせて)なめて。おいしいよ。」


少女、微笑む。その笑顔を見ているとなぜか拒否する気が消える。

両端がねじられているタイプの包み紙は透明で、中身が見える。黄緑色。


学生 「マスカットか……マスカットは嫌いなんだよ」

少女 「マスカットじゃないから、安心して」

学生 「じゃあ、青リンゴか?」


 学生、ついにアメを口に入れる。少しして、驚愕。疑惑の眼差しを少女にぶつける。


少女 「(歌う感じで)まん丸黄緑キャベツ味」

学生 「な、なんでキャベツなんだよ!」

少女 「え、嫌だった?」

学生 「嫌とかそういう話じゃーー」

少女 「レタスがよかった?」

学生 「そういう問題じゃなくて――」

少女 「じゃあ、キュウリ? えっと、キュウリ味は確かカゴの中に……」

学生 「そうじゃなくて、おかしいだろ!」

少女 「何が?」

学生 「だから……いや、もう、いい」

少女 「そう? でも、効果あったみたいだね。お兄ちゃん、元気だもん」

学生 「(疲れがとれてるのに気がついて)甘いもの……いや、アメってこんなに早く疲れがとれるものなのか?」

少女 「これは魔法のアメなの。だからだよ。(透明のビニール傘を用意して)見てて」

学生 「傘あったのかよ!」

少女 「この傘を回してっと。くるくるくるくる雨からアメへ」

学生 「……え? 傘に当たった雨が……光ってる?」

少女 「雨からアメへ」

学生 「光がかごの中に……?」

少女 「これでアメは完成。おいしいよ」

学生 「かごの中身が増えてる……(呆然とした様子で)何が起きたんだ?」

少女 「アメができたの」

学生 「これ、全部アメ」

少女 「そうだよ」

学生 「なんでアメが?」

少女 「傘を回したから」

学生 「何で傘を回すとアメが?」

少女 「アメが作れる傘だから。私、雨の日にアメを作って皆に売るのが仕事なの」

学生 「あんた、何者?」

少女 「雨っていうの。空から降る方の雨」

学生 「……雨? いや、俺が聞きたいのは名前じゃなくてーー」

少女 「お兄ちゃん、お名前は?」

学生 「近藤和彦。だから、俺は名前じゃなくてあんたの――」

少女 「どうなったかなぁ。(包を開いて)うん、いい感じ」

学生 「それは何味なんだ?」

少女 「えっとねぇ、これは……まん丸オレンジ人参味」

学生 「オレンジにしとけよ!」

少女 「え、オレンジだよ!」

学生 「今自分で人参って……」

少女 「見て、この奇麗なオレンジ色。お兄ちゃん、目、悪いの?」

学生 「……色の問題じゃなくて、味の問題だ。何でオレンジ味じゃなくて、人参味なんだ?」

少女 「あのね、野菜はアメになるんだよ! 本で読んだの」

学生 「何言ってんだよ。野菜はアメにならねえよ。誰だよ、そんな変な本書いた奴」

少女 「イチゴは野菜なんでしょ?」

学生 「そうだった気もするけど、どうだったかな」

少女 「それに見て。この本にちゃんと書いてあるから」

学生 「料理本……?」

少女 「どのページだったかなぁ……」

学生 「書いてあるわけないだろ」

少女 「あった!」

学生 「え!?」

少女 「このページ。読んで読んで」

学生 「何々、人参、ジャガイモを一口サイズに切り……」

少女 「そこじゃないよ。ここ!」

学生 「タマネギを飴色になるまで炒めてください……」

少女 「ね。書いてあるでしょ。タマネギを飴色になるまでって」

学生 「は?」

少女 「だから、タマネギを飴色になるまでって」

学生 「書いてあるけど。でも、」

少女 「飴色になるってことは、おいしいアメになるってことなんだよ!」

学生 「それは違うだろ。」

少女 「だからね、野菜味のアメをいっぱい作るの! だけどタマネギ味がまだ作れないんだ」

学生 「作らなくていいよ」

少女 「ううん、作る! 」

学生 「かご持ったまま跳ねるな! あーあ、アメ飛び散って……」

少女 「私ね、いろんな味のアメを作るのが夢なの」

学生 「だからってタマネギとかキャベツって……なんでそんなものまで。普通にイチゴとかリンゴとかにしとけ」

少女 「アメは幸せを運んでくれるんだよ。でも、人間って幸せに思うこと、皆違うよね?」

学生 「そうだな。俺はサッカーやってる時が一番幸せだけど、友人にはゲーム一筋なんてやつもいるし……」

少女 「アメは幸せを運んでくれるんだよ。だから、色々な味があれば、その分幸せは増える。多くの人に幸せになってもらいたいから、色々な味作るんだ」

学生 「(その様子に何かを感じたらしい)そっか。……頑張れ」

少女 「うん、頑張る!」

学生 「でも、人にアメを売る前にはちゃんと何の味か教えろよ。なめた味がキュウリとかキャベツじゃ皆驚くからな」

少女 「わかった。そうする」

学生 「それとさ、イチゴとかリンゴとかの普通の味の方が幸せになれる奴もいると思うし、作れよな。野菜だけを作るのはやめた方がいい。いや、やめろ」

少女 「そうだね。そういうのも作る」

学生 「じゃあ俺、もう行くから。じゃあな」

少女 「行っちゃうの?」

学生 「雨降ってるし……」

少女 「ちょっとだけ待って。もう一回アメ作るから。くるくるくるくる雨からアメへ。えっと、ハンカチハンカチ。これに入れてっと。はい、どうぞ。」

学生 「(ハンカチを少し開いて)さっきのより、小さいな」

少女 「うん。雨が弱くなってきたから……もう、やみそうだね。仕事、できなくなっちゃう」

学生 「仕事って、確か……」

少女 「雨の日にアメを作って皆に売ること」

学生 「そういや、さっきも言ってたよな。だけどあんたも物好きだよな。こんな雨の日に売るなんて。客なんていないんじゃないのか? ただでさえ田舎なのに」

少女 「そうだけど、雨の日じゃないとアメは作れないから。そしたら売ることができない」

学生 「雨が降ってる間に作って、晴れてる時に売ればいいじゃないか」

少女 「無理だよ。私、雨だから」

学生 「ああ。雨って名前なんだよな。でも、雨って変わった名前だよな」

少女 「違うよ。私、雨なの」

学生 「分かってるって。じゃあ、今度こそ帰るよ。じゃあな。お、雨もやんだみたいだ。(アメ入りのハンカチを鞄に入れながら)今度は晴れの日にこいよ。そしたらまたアメもらってやるからさ。でも、前もって味は教えろよな」


 学生が再度少女を振り向くが、彼女の姿はない。


学生 「あれ? あいつ、どこ行ったんだ? この辺に隠れられそうな場所はないはずなのに……」


 少女がいた場所には、飛び散ったアメしかない。


学生 「(アメを一カ所に集めながら)あーあ、そのままにしちゃって。今度会ったら、片付けろって言わなきゃな。それにしてももったいない。人を幸せにするはずのアメを落とすなんて。幸せにしたいなら、色々と気をつけろよな。……幸せ、か」


 学生、鞄からアメを一粒取り出す。赤色である。


学生 「やっぱり小さい。この赤、何味なんだ? 何の味か前もって教えろって言ったばかりなのに……もう一回、注意しといた方がいいかもな。それにしてもあいつ、ほんとにどこ行ったんだ? (もらったアメを口にふくむ)トマト味か。トマトは好きだからいいけどさ、……次は何を作るんだろ、あいつ」



ありがとうございました。

これは昔演劇の台本の練習として書いたやつを声劇用にアレンジしたものとなっています。

小説や演劇の台本とは違う難しさがあった。


使う人がいるとは思えないけど、使用はご自由に。


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― 新着の感想 ―
[良い点] わかりやすく、読んでいて楽しかったです。 [気になる点] 特に。 [一言] 失礼を承知でお願いいたしますが、 私は、文芸部なのですが このお話を読んでとても感動し このような話を書いてみた…
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